ICHIROYAのブログ

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WAGEMARKの挑戦~ソーシャルメディアで強欲にブレーキを!

 

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 過日行われたスイスの国民投票では、1:12イニシアティブ(同一会社内の最高の月給は、最低の給与のひとの年収を超えてはならないとするもの)は否決されたが、著しい格差についての議論は続いている。

 議論するときには、賃金の格差に関するなんらかの制限があってしかるべきなのかという点と、もし制限をもうけるとすれば、どういうふうにそれを設定すべきかという点を考えなければならないと思う。
 また、現状についての正確な認識も必要だ。
 
 
 下に貼ったアメリカの富の偏在の現状を説明する動画が興味深かった。
 動画から主要なポイントを切り出して説明してみる。
 以下の表は5000人のアメリカ人を対象にハーバード大の教授が調べた結果ということだ。

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 全アメリカ人を資産の額で5つのグループに分ける。
 図中の左端の紺色がもっとも貧しい20%の人たち、中央の緑がちょうど中間の20%の人たち、右端の赤がもっとも豊かな20%の人たちである。
 真ん中の棒グラフが、5000人のアメリカ人が現状はこれぐらいではないかと、予想した平均値で、「もっとも裕福な20%が富の半分を握っている」と考えていることを示している(THINK)。
 一番下の棒グラフが、「では、理想的な富の配分はどうあるべきでしょうか」との質問のうちの92%が選んだ配分である(IDEAL)。
 そして、一番上の棒グラフが、現実の富の配分を示している(ACTUAL)。
 大方のアメリカ人が考えるより、はるかに富は上位に集中しているのだ。

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 そのグラフに、トップの1%の資産を黒で表示したのがこのグラフ。
 一般のアメリカ人が上位20%が保有していてもよいと思う額を、実際は上位1%の人が独占している。

 下のグラフは、全アメリカ人を100人の人間に見立てて左から右に資産の少ない人から多い人を並べ、その資産の額を棒グラフで表したもの。
 ひとつめが、理想として選ばれたもの(IDEAL)。

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 二つ目が現状をこう認識しているというもの(THINK)で、最後のものは現状(ACTUAL)。
 これらのグラフはすべて、現状認識がいかに甘いかということを示しているのだ。

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 まあ、これはアメリカの話であるし、いま僕は日本の現状を調べてここに書く余裕はない。だが、現在のグローバルな資本主義の行きつく先はこういうことかもしれないと考える必要はあるはずだ。

 
 現在、アメリカの主要企業(Fortune 500)のCEOはそれぞれの会社の平均給与の300倍程度の給与を得ていると言われている。
 このページのグラフなどを見ればわかるが、昔からそうだったわけではなく、かつてはアメリカでもせいぜい30倍ぐらいだったのだ。

 このグラフはWAGEMARKという活動をしている団体のウェッブページに掲載されている。
  彼らはその給与の差が8倍以内におさまっている会社に「WAGEMARK」という認定をし、その認定を受けた企業をみんなで応援して、企業の新しい基準にしようとしている。

 僕は素晴らしいアイディアだと思う。
 報酬の天井を決められたらモチベーションが下がるという意見もあるが、その意見は程度問題と根本の問題がごっちゃになっていると思っている。
 彼らが主張する8倍が妥当なのか、スイスの議論で使われた12倍が妥当なのか、50倍ぐらいまでなら人間の業として許容すべきなのかについては、大いに議論はあるとは思う。
 しかし、おおむね、世界の世論もそちらの方向に向かっているように見えるし、僕もなんとかしないと、やがて悲惨な結末を迎えるのではと危惧する。
 
 

 もちろん、問題は、富を権力を上位1%の人間が握りそれを手放さないばかりでなく、それを利用して、法律をつくり、ルールを変え、マスコミを操作したりして、自らの富を守り、また子孫に受け継がせることを行っていることだ。
 その現状、相手プレイヤーと審判がグルになっている試合で、どう戦えばよいのだろうか?

 でも、ほら、僕らの住むこの現代には、革命や銃よりも強力なソーシャルメディアがあるではないか。
 強欲な人たちと戦いうる、ソーシャルメディアという最高の武器を手にしているのだ。
 WAGEMARKの取り組みは、この強欲でまみれた社会を変えうる方法、審判を抱き込んだ相手を倒す方法を示唆している点で、明るい一筋の光と言ってよいと思うのだ。