見果てぬ夢を追って
トムさんは英語1965年に大学を卒業して保険会社に就職した。
その会社で7年間働いたあと、代理店に移り8年間働いた。
合計15年間働いたのち、1980年に小さな代理店を買いとった。
しかし、ほんとうにしたいこと、小説を書きたいという思いが強くなってきた。
トムさんは空いた時間で小説を書き始めた。
代理店の仕事は徐々に減らし、書く時間を増やした。空いた時間はすべて小説を書くことに費やした。
その頃、妻のワンダさんは「書いてばかりいないで、保険を売りにいってちょうだい」と彼に文句を言った。
1984年、大学を卒業して20年近く経ったころ、トムさんは最初の本を出版した。
5000部は売りたいと思っていた。
しかし、その本は10年の間に2百万部売れた。
そう、トムさんとは、人気作家トム・クランシーさんであり、その処女作とは『レッド・オクトーバーを追え』である。
僕は20年近く百貨店で働き、15年近く古着屋として働いてきた。
そして、このささやかな人生を終えるまえに、やっぱり書きたい思いが強くなり、いったんは才能がないと思い諦めた小説を、また書いている。
僕はその夢、少なくとも完成させた小説をひとつは、商業出版できるかだろうか?
夢をとんでもないスケールで成し遂げたトムさんと違い、僕の場合は現在進行形である。
多くの人が、生活の資を稼ぐために、心の最奥にある情熱に蓋をしている。
それは見果てぬ夢、才能もないただの憧れだと言う。
夢など見るな、と言う人もいる。
そうかもしれない。
トムさんの奥さんがそうだったように、その夢を成し遂げるに必要な才能もないのに馬鹿だな、と周囲は言う。
だが、トムさんはやりきった。
僕は?
わからない。
このブログを始めた3年前、自分の体験談や考えを書いた本を商業出版するようになるなどということは、考えられないことであった。
よい歳をした大人がこんなブログを書いて恥ずかしいと思ったし、あからさまに馬鹿にする人もいた。
だが、少なくともここまで来た。
そして、やっぱり僕は小説が書きたい。
僕がいま、このブログに晒しているのは、またしても、よい歳をした大人の、まったくもってぶざまな姿だ。
夢を現実のものにする前に死ぬか、命がつきる前にそれを達成できるかの競争に、負けるもんかと叫んでいる姿だ。
ともかく、今日、2冊目の本が発売された。
この本は、自分の居場所がみつからないと悩んでいた四十才頃の会社員だった僕のために、僕のような人のために書いたものだ。
ぜひ、それが必要な多くの人に届いて欲しい。
で、僕のぶざまな挑戦は続く。
もろもろ、これからもよろしく!
僕が四十二歳で脱サラして、妻と始めた小さな起業の物語 (自分のビジネスを始めたい人に贈る二〇のエピソード)
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*トム・クランシーさんのことは、大好きなClear氏のブログで知りました。
photo by ™ Pacheco