野心的でいることと現状に満足して幸せでいること
2冊目となる本を脱稿した。
僕が会社を辞めて自営の道に歩みだした頃、会社員から自営業者への転身をはかったころの話と、僕が考える起業に関するヒントを集めたものだ。
1冊目は組織の中で生きるなら、成熟した組織人となって欲しい。僕のような失敗をして欲しくないというメッセージを。
2冊目は、それでもどうしても組織の中で生きるのが難しければ、組織の外で生きる方法もあるよ、というメッセージを渾身の力を込めて書いた。
1冊目は大ベストセラーというわけにはいかなかったけど、アマゾンのカテゴリーでは瞬間的に1位になったし、半年近く経った現在もカテゴリーの8位~50位ぐらいでウロウロしている。韓国での翻訳出版の契約料も入ってきたし、3刷目に入っているので、僕としてはとても嬉しく思っている(応援ありがとうございます!)。
いまは口コミで売れているのだと思う。おそらく、読んでいただいた方が、そのメッセージを誰か伝えたいと思い、薦めてくれているのだろう。僕にはそれがもっとも嬉しい。あの本はすべての人に役立つわけではないので、そのメッセージがもっとも必要な人に届くためには、そうやって読まれることがもっとも効果的だと思う。
2冊目の原稿を出版社の方に渡したあと、これで僕がすべきだったもっとも大きな仕事は終わったのかなと、思った。
僕の人生をかけて学んだこと、誤解されることが多く、あまりわかりやすい伝え方がされていない、ふたつのこと。
それを僕の体験を通じて、なるべくわかりやすい方法で文章にして、必要な人に届ける。
ひょっとしたら、それこそが、僕が生きている間にするべき最大のことだったんじゃないだろうか。
そう思えて、ちょっと脱力した。
3年前にこのブログを書き始めた時、僕はかなり野心的だったと思う。
毎日、毎日、今度こそヒットを書いてやると思いながら、書いていた。
そして、驚くことに、その頃の夢見ていたことは、おおむね達成した。
僕はいま、とても幸せだし、「書くこと」の現状に満足している。そのことは、ブログの更新頻度や記事の密度からも伝わってしまうだろうと思う。
僕は現状に満足して、書くことの情熱と野心を失ってしまうだろうか。
僕は自分の心境の変化を、観察していた。
目標を達成してしまえば情熱を失うことはよくあることだし、自分の中でもそういったことは何度かあった。
しかし、現状に満足して幸せでいることと、それでも野心的でいることは、同居しうるのだなと、最近感じている。
というのは、なにかのメッセージをストレートに伝える役目としての本やブログでは、僕のもっている最大のもの、伝えるべきものは書き終えたと思っているのだが、フィクション(小説)というフォーマットで書いて、それを商業出版したいという別の本気の野心がむくむくと立ち上がってきたからだ。
「書く」という同じフィールドでは、「現状に満足して幸せ」と「野心的でいること」が併存しているのである。
おそらく、ほんとうに好きなことは、目的や野心が達成されたからといって、それをすることを嫌になったり飽きたりはしないのだろう。
そこでこそ、満足しつつ、渇望できる。
小説の原稿は10万語ぐらい書いた。半分というところだ。
自分の夢や野心をここに宣言することに、僕は慣れてきた。
なので、また、書いておこうと思う。
来年には、あえて例えると『半沢直樹シリーズの百貨店版のような小説』を完成させて、商業出版したい。
出版してやろうという出版社はいらっしゃいませんか?
photo by Fred Mancosu