2月17日に本が出ます ~ 夢の実現には苦い味がする
夢が叶ったね、と会社時代の友達が言ってくれた。
たしかに、会社員の頃、本を出すのが夢だった。
たぶん、自分の人生には何か大きなこともワクワクすることもおきずに終わるんだろうなと思った時、生涯に1冊何かを書き残せることができたらいいなと思ったことがある。
昨日の日経新聞の朝刊に本の宣伝がのっていた。
そろそろ発売されるということや日経新聞に宣伝を出してくださるということは聞いていたけれど、いつとは聞いていなかったので、フェイスブックで教えてもらってはじめてわかった。
僕の夢は叶ったのだろうか。
しかし、これが夢の実現だとしたら、その味は苦い。
内容は僕が18年の会社員の生活のなかで、どんな失敗をしたのか、どんなに情けない組織人だったのか、組織人としての成熟を迎える前に、なぜ気持ちを折ってやめてしまったのかという話だ。
よい歳をした大人が告白するには、あまりに情けない、恥ずかしい内容だ。
ブログを読んでくださり、本を出しましょうと連絡をくださったバジリコ出版の長廻社長さんは、「組織人として生きる難しさは今も昔も変わらない、こんな時代・風潮だからこそ、それを真っ向から語る本を出したいと思っていた」とおっしゃられた。
それはありがたい話ですが、もし、その本が売れたら、僕は「18年もの会社勤めに失敗した情けない人間」であるというイメージを自分に貼りつけることになり、僕の人生にとってメリットはないんじゃないでしょうか。
僕はそう言って、長廻社長に少し抵抗した。
どちらかと言えば、あの記事に関する話ではなくて、40代からの再生の物語、つまり会社を辞めた僕と嫁が自立の道を探しだした話を書きたいんです、と。
その内容なら、僕は誇りをもって本の形にできる。
それは、もし、この本が売れたらね、ということになった。
僕も出版の厳しさは知っているつもりだし、「売れる本」と「売りたい本」や「書きたい本」の間に大きな溝が存在することは想像できる。
もとになったブログ記事があれほど共有されたということは、そこになにか「売れる要素」を含んでいるのだろう。
僕は長廻社長の申し出をありがたく受けることにした。
内容はブログに書いたもの、寄稿したものなどと重なっている部分もある。
だけど、新たに書いた部分も多く、ある程度時系列にまとめて書きなおしたので、メッセージとしてはひとつのまとまったものとなったと思う。
会社や組織のなかで悩みながら懸命に働いている人へ、僕が贈りたいメッセージを渾身の力をこめて書いた。
だけど、この話は、この本で終わりにしたい。
僕がいかにダメな社会人だったか、組織人として失格だったか、すべてをさらけだした。
僕が達成したという成功はあまりに小さく、そのバカさかげんにはあんぐりとされるだろう。
もう、充分だ。
55才にもなって、恥をさらすだけで終わるのか。
恥をさらした甲斐あって、多くのひとに必要なメッセージが届くのか。
おそらく、アマゾンのレビューに、厳しいコメントが寄せられるだろう。ちょうど元記事に辛辣なコメントが並んだ時と同じように。
それでも、それが必要と思える人に、届けたかったメッセージなのか。
イエス。
もし、これが夢の実現なら、やはり、夢の実現には苦い味がする。
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