世の中に存在しないものは説明されても理解できない~GWに素晴らしい所あるよ!
見たことのないものは理解出来ない。
どれほど説明されても、想像力でそれをアタマの中に組み上げることができないのである。
それを作ろうとしている人の中には、そのイメージははっきりとある。
だけど、それを説明して第三者に説明しようとすると、何か大切なものが抜け落ちて、肝心なことが伝わらなくなる。
3年前、足達さんとコオロギさんが森の中にアトリエをつくり始めたころ、僕は彼らと知り合い、その過程をFBでずっと見せていただいてきた。
おふたりは「アーティスト・コオロギさんのアトリエをつくるんだ」と一貫しておっしゃっていた。そして、アースバックハウスをつくったり、バス停をつくったり、ボーリングのボールをたくさん埋め込んでみたりと、なんだか楽しそうなものをぎつぎと森の中につくっていかれたのだが、見ている僕は、おふたりの努力はいったいどこへ到達するのだろう、と不安に思っていた。
その、アトリエ 「竜の通り道」が、今日5月1日に正式にオープンした。
残念ながら、今日、駆けつけることができないのだが、僕はあらためておふたりの仕事を彼らのウエッブページでじっくり見た。
そして、おふたりが考えていたことを、3年経った今、やっと完全に理解できたのである。
1.アトリエ 「竜の通り道」は、アーティスト、神路祇隆(コオロギタカシ)さんの作品を見せて売るための施設である。
2.アトリエは大分の森の中にある。そこは鹿やさまざまな鳥が訪れる優しい森で、そこに身を置くだけで、癒される空間である。
3.アトリエの施設は、足達さんとコオロギさんの手作りによるもので、建物から看板にいたるまで、すべてアーティスト・コオロギさんの世界観にもとづいてつくられている。いわば、そこは「コオロギさんのすみか」である。
4.訪れる人は、まるでメルヘンの中の「コオロギさんの住む世界」に入ったような気分になる。そして、そこでは、生身のコオロギさんが迎えてくれて、アートの制作の現場を見ることができるし、それぞれの作品の物語を聞かせてもらうことができる。
5.売りたいメインのものは、コオロギさんの絵やオブジェである。青木繁記念大賞公募展などの受賞歴もあるコオロギさんの絵を、美術マーケットの相場より安く、1号1万5千円程度(絵葉書2枚分のサイズで3万円)で販売する。
*第15回 青木繁記念大賞公募展「わだつみ賞」受賞作品 「犬 (空)」
6.一般的なアート施設のように、アートに興味のある人だけを対象とせず、コオロギさんの世界観に触れていただく人を増やすことを、まず目標とする。
とにかく森に来てもらって、ブランコやハンモックで遊んでくれるだけでも良い。あるいは、おふたりが森の中に作り上げたアースバックハウス、ゲストハウス、ツリーハウスを借りて何か楽しいことをやってもらってもいいし、安価な作品のレプリカを買ってもらってもいい。
(施設貸出に詳細についてはこちら)
7.コオロギさんのコンセプトを理解してくれる人に、施設を利用した手作り作品の販売やお店の出店を促し、より多くの人が訪れて楽しめる森にしていく。
(お店の出店については本腰をいれて出店する場合はこちら と 短期出店ならこちら)
つまり、そういうことなのである。
モノを買ってもらうことは、とくにそれが生活必需品でない場合、何かを買ってもらうことがいかに大変か、僕もよくわかっている。
それが、3万円する小さな絵であれば、なおさらである。
やっと理解できたことは、3年にわたるおふたりの努力は、コオロギさんの絵、美術の基準で言えばきっと安すぎる値段をつけた絵、だけど、一般の人にとってはかなり贅沢に思える値段の絵、それを売るための壮大な仕掛けをつくるために注がれてきたのである。
この龍のオブジェも、何のためかといえば、 その絵を売るためである。
誤解しないでいただきたい。
なんだ、そういうことだったのか、という話ではないのである。
たとえば、ディズニーランドやUSJでいったいいくらのおみやげやキャラクターグッズが売れているだろう。
京都や観光地のおみやげ屋さんで売られている総額はいったいいくらになるだろう。
必需品でないものを買ってもらうための最高の方法のひとつ。
それは、まず、お客様を楽しませ、そして、そこでの素晴らしい体験の一部を持って帰りたいというニーズ、ウォンツを創出することである。
若さと熱い志を武器に、ひたすら面白いものを作ろうとして突っ走っていた足達さんには、はっきりとそれを見据えていた。
足達さんはそう考えていたし、「コオロギさんのアトリエにする」と周囲にもおっしゃっていたのに、僕らのようなものには、足達さんが考えておられるビジネスの全体が「見えなかった」のである。
それが「見えなかった」人間には、おふたりは楽しそうなものを森の中に作られているけど、どうやって収入を得るんだろう、などと余計な心配をしていたのである。
まったくもって素晴らしいではないか!
人々を喜ばせて、アートを買っていただく!
まだ実績のない、若い足達さんの可能性を見込んで、このアトリエのコンセプトやビジネス面やを任せたもコオロギさんも素晴らしいではないか!
世はゴールデンウィークである。
まだ行く先の決まっていないかたは、ぜひ、おふたりのアトリエを訪れてみて欲しい。
* アトリエへのアクセスはこちらで
*足達さんたちに関する過去記事