ICHIROYAのブログ

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どんな業界なら地べたから商売を始めて成功できるのだろうか?

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 今日はこれを読んでくださっている方にお尋ねしてみたいことがある。
 何度も書いているように、僕は自分で商売を始めるなら、なるべく少額で始めるほうが良いし、その気になればその方法はどこにでもあるはず、と思っている。
 その象徴的な例として、僕の業界で起きていることを紹介したのだが、読んでもよくわからなかったと言われたので、もう少し丁寧に書いてみる。

 僕はリサイクル着物を、主に、業者だけが集まる専門の競り市で仕入れしている。
 その競り市では、もちろん、高い値段を提示したものが競り落とす。
 安い値段でなら、誰でも売れるが、その商品をちゃんとした値段で売ろうとすると、その価値をわかってそれが欲しいと思っているお客様を数多くもっている必要がある。一番高く買ってもまだ儲けを出せるチャンスがあるものが競り勝つわけである。
 
 おおむね、そういった商品は数万円から数十万円の価格帯での戦いになる。
 
 さて、その場に、会社を辞めて、リサイクル店を都心部につくるんだというÀさんが、誰かに紹介してもらって、その競り市にやって来るとする。
 ほぼ確実に、Àさんは欲しい商品を何も仕入れることができない。
 Àさんの欲しいものは、長く商売をやっている他の業者も欲しいし、お客様の数も違えば、自由にできるお金も桁違い、また、競り市での駆け引きも知り尽くしている。
 Aさんは、もっとも欲しいものは競り負けして買えず、たいして欲しくもないものをいくつか、自分の想定していた売値以上の値段で競り落としてしまい、肩を落として市を去ることになるだろう。

 Aさんの商売はうまくいかない。
 理由は明らかで、強力な同業者に正面から戦いを挑もうとしているから、跳ね返されてしまうのだ。
 既存の同業者と同じ売り方で(都心のリサイクル店)、同じ商品を(売れ筋を)、同じお客様に売ろうとしている。
 
 たとえば、そんなひとりの業者さんの手伝いに来ていたBさんは、こんな風なやり方をした。
 市場に来ると、みんなに挨拶して、ちょっとしたことは手伝い、ずっと市場での売買を観察していた。
 市場に出品される商品は、みんなから引く手あまたの数万円以上のものばかりでもなく、たくさん山のように積まれても、みんなが欲しくないものも数多くある。
 山のように積まれたなかに、業者さんが欲しがる商品がひとつだけ入っているような場合もある。
 その山(20枚から30枚の着物のヤマ)を競り落とした業者さんの中には、欲しい一枚をのぞいて、あとは要らないという人もいる。価値がないわけではないのだが、その業者さんにしてみれば、自分の店に合わなかったり、それで得られる利益が、普段の自分の時間あたりの人件費に比べてはるかに安いため、手をつける気になれないのである。
 
 そういう人が、1枚だけ手元に残して、「Bさん!残り要らない?!」とBさんに声をかける。
 Bさんは、「はい、いいですよ、いただきます!」と礼を言って、そのヤマの商品をタダでもらってしまう。
 そんなことが市場の間に何回か続けば、Bさんの、仕入れ代金ゼロの着物のヤマが大きくなっていく。
 そして、Bさんはその着物を、一枚一枚、ヤフオクや、露天で売るのである。
 仕入れゼロであれば、損のしようもない。かかるのは、自分の人件費だけである。
 
 また、競り市でそうやって、みんなにニコニコして、要らないものを引き取ってくれる人気者のBさんは、いつまでもそこにいない。
 Bさんはやがて、競り市でも声を出して、落札するようになる。Bさんはみなに有難がられているので、周囲の業者もことさら敵視することもない。
 そうやって、安いものを大量に売り買いするうちに、お客様の声を真摯に聞いて、もっと良いもの、もっと珍しいもの、もっと高いものへと、その商材をアップグレードしていく。
 そして、2,3年経った頃、業者のみんなは、Bさんが、ある分野では最高の値段で競り落とす、とんでもない強敵となって、競り市の最前列に、あいかわらずニコニコしながら、座っているところを目撃することになるのである。
 僕はこの業界に13年のキャリアしかないが、そういうBさんのような人を、何度も見ているのである。
 
 さて、僕は、このような地べたから商売を始める方法は、多くの業界にあるのではないかと思っている。
 ただし、僕は限られた経験しかないので、ほんとうにそうなのか、みんなの意見を聞いてみたと思い、この記事を書いている。
 たとえば、もちろん、電気機器をつくる業界とか、エネルギー関連の会社とかには、そんなチャンスはないだろうと思える。
 では、ウェッブ業界ではどうなんだろう?
 安値で受注しても、ステップアップすることが難しく、同じ場所にいることになるんだろうか?
 それとも、本人の工夫と努力次第で、そこからステップアップしていくことが、普通にできるのだろうか?

 あなたのいる業界、あなたのいる世界ではどうなのか、教えていただけると嬉しい。

 
 

 


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