疲れて少し眠いような時がもっとも創造的な仕事に向く時間?
いつも読ませていただいているGeoffrey Jamesさんの記事を読んでいて、ライターの彼がライターズブロック(何かを書く時、批判精神が高まって書けなくなること)をどう乗り越えるかという話が書いてあって、とても興味深く読んだ。
Geofferyさんのやり方は、少し眠い時に書いてみるというものだった。
英語で少し検索してみたら、「分析的な問題解決は早朝の方が能率が良いが、創造的な問題解決は少し疲れた頃のほうが良いものができる」という論文があちこちで紹介されていることに気がついた。
その実験では、創造的な問題解決の回答率は20%ほどアップしたそうだ。
この場合の創造的な問題解決とは、たとえばこんな質問の答えを出すというようなものだ。
ある男がアンティークのディーラーに美しい青銅のコインを買ってくれないかと言った。そのコインの表には皇帝らしき絵が、裏には「544BC」という年号が彫られていた。ディーラーは警察に連絡した。なぜか。
Geofferyさんの場合、少し眠いとか疲れている時に書くと不思議と良いものが書けるそうだ。
Geofferyさんも書かれているように、ブレインストーミングの会議では、しばしば最高のアイディアは皆が疲れ果てたころにふと出てきたりする。
それも、そういう理由があるとすれば、納得がいく。
そういえば、ヘミングウェイが、「酔ってガシガシ書け、シラフになってから修正せよ」というのがあって(たぶんこんな意味のこと。記憶は曖昧。確認する時間も今はない)、きっとそれはいい方法だろうなと思っていた。
ライターズブロックというのは本当に厄介な落とし穴で、意識が冴えているほど落ちてしまいやすい。
その点、少し酔っていたり、少し疲れて頭がうまく回らないなあというような時は、批判精神の軛が外れて、自由に創造力を発揮できそうな気がする。
何度も書いているように、僕はいわゆるモーニングパーソンで、毎朝4時半に起きて書き物も朝やるが、ひょっとしたら、小説とかエッセイとかを書くのは、寝る前のほうがいいのかもしれないな、と思い始めた。
夜にも何度か書いてみて、もうひとつだなと思っていたのだが、それも僕の思い込みだったのかもしれない。
僕の文章が真面目過ぎて面白くないとしたら、早朝に書いているからかもしれない。いつか深夜版のハードボイルドなIchiroをお届けできる日が来るかも。
(上の問題の解答)
*紀元前に作られたコインに「BC」という年号が使われているはずがないから、その男は詐欺師。
photo by Jason Devaun