あなたには「コンビ」を組む相手がいるか?
ふたりで会社を始めました、と若い人が言うと、つい、大丈夫かなと思ってしまう。
そして、意見が別れたとき、どちらが決定権を持つか決めているのかと訊ねる。
あるいは、そうしておかないと、上手く回りだしても将来の分裂は必至だと、知ったように言ってしまう。
クリエィティブなことはもちろん、スタートアップはなおさら、結局は「ひとり」で背負うものだとの固定観念がある。
しかし、実際のところ、本当に天才的な仕事は、孤独な個人作業だけで達成されたものは少なく、じつは「ふたり」で行なわれたものが多い、「天才の最小単位はひとりではなく、コンビ(pair)だ」という話を今朝読んだ。(The End of ‘Genius’)
ポール・マッカートニーとジョン・レノン、フロイドと Wilhelm Fliess、キング牧師とRalph Abernathy、ピカソとジョルジュ・ブラックなどの例が挙げられている。CSルイスとトルーキン、ナボコフと妻のヴェラなども、じつはそういった例に近いことも述べられている。
日本の実業界では、本田宗一郎氏と藤沢武夫氏のコンビが有名だ。
中学生のころ、ビートルズの本を読んで、ジョンとポールがどうやってふたりで曲を作っていたのかを知り、なるほどと思ったことがある。主旋律をポールが作って、サビはジョンが手伝ったりということを、日常的に行っていたようである。
成人してからもっとも感動したコンビの話は、やはり本田宗一郎氏と藤沢武夫氏の話である。
ひとりよりもコンビが強い理由は、常識的に考えてもわかる。
お互いにもっているものを出し合って、それをやりとりして昇華させていけば、たとえば、5+5=10ではなく、5x5=25になるのであろう。
しかし、残念ながら、最強のコンビでも、いつまでも続くとは限らない。いや、多くの場合、やがてコンビにもヒビが入り、バラバラになってしまう。
ジョンとポールのような世界最強のコンビでも。
おそらく、理想のコンビというものは、どちらが上でも下でもなく、それぞれが持っている異質なものを必須として、同じ目標と理念に沿って、どこまでも進むことができる二人組なのだろう。
その際、ふたりが強い絆で結ばれていれば、どちらが表に立って目立っているかとか、どちらが代表取締役社長なのか、ということは問題にならない。
ことを成すには、「コンビ」が最強である。
だけど、世の中に、ホンモノの「コンビ」は少ない。
ほとんどの「コンビ」は小石の一撃で崩れ落ちてしまうような、薄いガラスの城である。
あなたには、「コンビ」の相手がいるだろうか?
photo by TexasEagle