本屋さんみたいなオランダの最新コンセプトの図書館に行ってみたい!
上の写真を見て、『洒落た本屋さん』だな、と思われただろうか?
いや、オランダのアルメレという新興都市(新しい干拓地に作られた都市)にある『Nieuwe Bibliotheek(New Library/新しい図書館)』である。
なんだか本屋さんみたいなのも道理で、来館者が減少傾向にあるオランダで、この図書館は本屋さんのコンセプトを取り込んで2010年に開館されたもので、順調に利用者を伸ばし、もっとも新しく成功した図書館のモデルのひとつとみなされているのだ。
もちろん、僕はオランダには行ったことがない。この記事によれば、という話なので、ご了承願いたい。
この図書館では、本のグルーピングは 「areas of interest(興味分野)」によってくくられていて、フィクションとノンフィクションはそれぞれのグループに混在している。
また、本屋さんのように、多くの本が表紙を見せて展示されている。
この2点がもっともいままでの図書館と異なる点だが、ほかにもたくさんの工夫がされている。
Seats2meet(S2M)というシステムに登録されており、自身もナレッジ(知識・スキル)を登録すれば、図書館のフリースペースにどんなナレッジを持つ人が「今現在」いるかを知ることができ、そこで直接話を始めることもできる。
もちろん、カフェもあり、各種のイベント、ゲームができる施設、読書のできるガーデン席などもある。
この図書館は開館後2か月で10万人の来館者があり、その後も、地域のナレッジ・コミュニティのハブとして多くの人に利用されている。2013年の来来館者は、予想をはるかに上回る114万人であった。
アルメレという町が新しい町であるだけに、コミュニティとしての価値は計り知れないものがあるという。
以前は、来館者は本屋CDを借りに来て、手続きをすませてさっさと帰っていくという風に利用されていたが、今では、多くの人はもっと長時間滞在するようになり、誰かと会ったり、本やCDを探したり、コーヒーを飲んだり、いっしょに勉強したりするようになった。
記事によれば、オランダの図書館利用者数はダウントレンドにあり、それをなんとかするために、この新しい図書館は生まれたとある。
日本ではどうなのかと思ったら、文部科学省のデーターによれば
図書館数 平成8年 2,396 → 平成23年 3,274 (36.6%増)
利用者数 平成7年 約1億2000万人 → 平成22年 約1億8750万人 (56.3%増)
貸出札数 平成7年 約4億400万冊 → 平成22年 約6億8200万冊 (68.8%増)
となっており、けっしてダウントレンドではない。直近の2,3年でも、上記の数値は順調に伸びている。
ということは、日本の図書館はオランダのように大きな改革は必要とされていないということなのかもしれない。
だが・・
僕自身は、ここ数年ぐらいは図書館を利用する回数が激減した。
よく利用させていただいていた時も、借りたい本を探して借りだしてすぐに帰るというパターンだった。
でも、地域にこんな図書館ができたら入り浸ってしまうだろうなと思う。
グルーピングや編集、平置きの本などの工夫によって、自分が知らなかった本との出合いがある。
また、ガーデンに腰掛けて本を読んでいたら、Seats2meet(S2M)で、偶然そこに来ておられる染織家の人と知り合ったり、あるいは、いらない着物の売却について相談を持ちかけられたりする。
地域の図書館が、文字通り、リアルな現実の、紙と人に触れることのできる、ナレッジ・ハブになれば、これほど素敵なことはないな、と思うのであった!
オランダ、行ってみたい。
all photos by Silvain de Munck