ICHIROYAのブログ

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サラリーマンの時、どうやって勉強すれば良かったのか(2)

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*サラリーマンの時、どうやって勉強すれば良かったのか(1) の続きです

 

 若いころ、自分は司馬遼太郎のファンのくせに、時代小説を読むオヤジたちが嫌いだった。
 時代小説を読んで、生き方を学ぶとか、ぞっとした。
 いまでは、そんな不遜な若いころの僕に、ぞっとする。
 
 人間や組織のありかたに関する知恵は、どれほど学んでも、ここで習得・卒業ということは決してない。
 毎日の業務でそれを学ぶこともできるが、本を読むことで学ぶこともできる。
 体験談やノンフィクションも良いだろうし、ブログでも良いと思う。
 そして、いま見直すべきは、小説を読むことの有用性ではないかと感じている。
 仕事に焦っていたころ、小説というのは、所詮フィクションであり、エンターテイメントであると思い込んでいた。
 だが、やっぱり、よくできた小説を読むという行為は、人間や組織について知るよい勉強なのだ。(こんな実験結果もある)
 ノンフィクションや実話の場合、どうしても書けない部分や、粉飾された部分があり、ノンフィクションとはいうものの、心の中のことは、逆にフィクションになってしまっている場合がある。
 小説の場合は、事実関係はフィクションでも、登場人物の心理描写はありのままに書ける分、よりホンモノに近い人間を描きだすことが可能だ。読者として、登場人物の苦難や喜びを、まるでホンモノのように体験することができる。
 
 僕の昔の上司で偉くなられた方は、酒席のつきあいもよい方だったが、通勤時間には必ず、多種多様な本を読んでおられ、小説のときも多かった。だけど、自己啓発系の本や、ビジネス本の新刊売場に並んでいるような本を読んでおられるところは見た覚えがない。
 人間や組織のありかたを深く知ろうとすれば、小説も読まなければならないのである。
 

 ところで、仕事とは直接関係はないが、自分が生涯続けていけるような勉強のテーマをひとつみつけて、それを続けるべきだと思う。
 うちでしばらく働いてくださったOさんは、カズオ・イシグロなどの熱烈なファンで、それを原書で読むのが趣味だった。英語は読むだけで、メールなどを書くことはできません、とおっしゃっていたのだけど、英文メールを書いてもらうと、嫁やTOEIC高得点のほかのスタッフにも絶対に書けないような格調高い文章がスラスラ出てくる。
 彼女の趣味の読書は、血肉となって、自然と彼女の英文に出てくるのだった。 
 それは英語やそのほかの語学である必要はなく、映画が好きで好きで仕方がなければ映画の研究でもいいと思うし、Jazzの歴史と広がりをとことん楽しむことでも、剣の道を極めることでもいいと思うのだ。

 それは、「趣味」と言ってしまえないような、もう少し、自分の根源的な欲望から出てくる楽しみや好奇心で、人生のサブテーマといっても良いようなものだ。
 仕事に入れ込んでただただ忙しく日々をおくってしまうと、誰でももっていたはずのそういった欲望や好奇心を失ってしまいがちだ。
 だが、あえて時間をつくってでも、そういったものを追いかけ続けたほうが良いと思う。 
 それは、いつか仕事に役立つときが来るかもしれなし、定年退職や窓際に追いやられてしまったときなどに、人生の次の柱になりうる。
 僕の場合、大学時代にやっていたスポーツ(アイスホッケー)はきっぱりとやめてしまったし、小説を読むこともやめてしまい、映画に対する熱意も失ってしまった。
 忙しいからと、自分で、次から次に、その扉を締めてしまった。
 いったん扉を閉じてしまうと、その扉は錆びついてしまって、なかなか開いてくれないのだ。

  

  長々と書いてきたが、今から思えば、そんな風に勉強すれば良かったなと思う。
 若いかたには長い時間があるので、僕の考えは考えとして、自分なりの勉強方法をみつけて、コツコツ長く続けていって欲しいものだ。

 まあ、僕も、今のところ健康なので、100才まで生きるものとして、心を入れ替えて、勉強、頑張ります! 
  
photo by austens