サラリーマンの時、どうやって勉強すれば良かったのか(1)
以前のエントリーで、サラリーマン時代にもっと勉強すればよかったと書いたけれど、実際に何をどう勉強すれば良かったのだろうか。
もちろん、勉強法については、百万の方法が書かれており、僕もたくさん読んだ。
しかし、結局、19年間に渡るサラリーマン生活でうまく勉強してそれを生かすことができなかった。
いくつかはっきりしたことがあって、
(1)日経新聞を隅々まで読んでもあまり能率は良くない
(2)ビジネス本をランダムに読んでも同じところをぐるぐる回って進歩しない
(3)英語などの語学の勉強は結局使う局面がないと続かない
では、どうすれば良かったのか。
僕が実践して成功したというわけではないので、あくまで後で考えたことだけれど、ちょっとまとめてみた。
まず勉強のテーマだが、
(1)自分の専門分野に関するテクニカルな勉強
(2)経営陣の意向を肌で感じるための経済、経営の勉強
(3)人間、組織の認識を深めるための勉強
(4)将来のための勉強
の四つに分けて考えるのが良いのではないだろうか。若い頃の僕はそのへんがごっちゃになっていたと思う。
(1)の専門分野の勉強はとくにその必要性も方法も書く必要はないだろう。
(2)経営、経済の勉強の目的はふたつで、「社長・経営陣の身になって考えるチカラをつけること」と「自分のおかれている環境の変化を予測できる能力を身につけること」だ。
たとえば、係長になれば、マネージメントの方法はいやがおうでも現場で学んでいくし、悩んだときには、先輩に尋ねたりマネジメントの本から学ぶことは誰でもやっていることだ。
だけど、会社が降ろしてくる方針、指示の意味を、まさに経営陣の肌感覚で理解するのは、相当難易度が高い。
そのためには、社の経営状況、経済動向、同業者の動向、将来の予測などについての広範囲な知識が必要になる。
現場にいて毎日走り回っていると、上からの指示が馬鹿げて見えることが多い。
もちろん、だめな会社、傾きつつある会社は、そんな指示を降ろしてくる場合もあるが、ちゃんとした会社であれば、たいていの場合、バカなのは現場で反発しているあなたの方である。
経営陣の危機感や株式市場からの圧力は、一般社員の想像から大きく乖離している場合が多い。
会社が馬鹿げたことをやっていると思ったら、経営陣の正気さを疑う前に、自分の勉強不足を疑ってみた方がよい。
そのためにはどうしたら良いだろうか。
日経新聞や各種の書籍はもちろん役に立つだろう。そして、そのときは、上に書いたなんのために、ということを常に意識した方がよい。それを常に意識することで、情報収集の効率があがると思う。
経営陣と親しくしていただいて、直接話を聞くことができれば、それもとても良い勉強になる。経営陣と直接でなくても、その薫陶を受けている上司がいれば、じっくりと話を聞かせてもらえば良いと思う。
会社に入って、ゴルフ、組合活動などが推奨されるのは、まさにそういうチャンスが増えるからでもある。
そして、株主になって、株主総会に出席するというのも良いかもしれない。総会に出れば、社長の肉声で、何を課題としていて、何をどんな風に達成することを、広く世界に約束したのか、ということがはっきりと理解できるのではないだろうか。
最近では株主総会の様子を動画で配信している会社も多いので、そういったものは、本気で見ておくべきだろう。
また、自社の株を持てば、株主の気持ちもよくわかるし、自社の業績にも敏感にならざるをえない。
もちろん、単元株数(100株とか)買うには少なくない資金が必要だし、株価の下落も心配だが、これ以上ない勉強になるだろう。
ちなみに、馬鹿げたように思える方針や指示が下りてきたら、反応の仕方は3種類。
(1)一見馬鹿げているようでも、その背後の意味を理解して、全力で取り組む
(2)意味は理解できないが、ともかく、全力で取り組む
(3)意味が理解できないので、サボタージュする
(1)であることが望ましいが、勉強が足りないうちはせめて(2)のやりかたで取り組んでほしいものだ。
ま だ見ぬ創造的な解決の方法がどこかにあって、経営陣がそういう方向を明示すべきだと思いこんで、現実的な指示をサボタージュする(3)のやりかたをしていると、将来組織での居場所がなくなるのは、間違いない。
photo by Xava du