4才の時に迷子になった青年が、Google Earthで母の居場所をつきとめた話
photo by streetwrk.com
『スラムドッグ・ミリオネア』にぶっ飛ばされた人も多いだろう。
この記事によれば、“A Long Way Home”(「家に帰る遠い道」)という本の映画化権が、カンヌ国際映画祭で1200万ドル(約14億円)で買われ、映画化が決定したという。記事によれば、『スラムドッグ・ミリオネア』に出演していたデーヴ・パテールや、ニコール・キッドマンの出演が予定されているという(監督はGarth Davisという人)。
さて、映画化されるのは、インドでおきたこんな実話だ。
4才の時、Saroo Brierleyさんは兄弟と駅で遊んでいた。兄弟の姿が見えなかったので、走り始めた電車に乗っていると思い、自分も飛び乗った。
その電車は、その電車は彼の住むカンドワという町から延々と東に向かった。結局、彼が電車を降りたのは、西ベンガルのコルカタという町だった。
Google Mapでその距離を示すとこんな感じ(列車では表示されなかった)。
彼はまだ4才だったので、完全に迷子になり、路上で物乞いをして暮らしはじめ、やがて孤児院に引き取られた。
その後、6才のときにオーストラリア人夫婦の養子になり、タスマニアで育てられた。
長じて、彼は立派なビジネスマンになった。
が、もちろん、インドに残してきた両親や家族のことを忘れることはできない。
彼は、Google Earthを使って、自分の家を探し始めた。
記事にはGoogle Earthとあるので、Google Earthで僕も、彼が実際にやったことをやってみた。
拡大していくと、こんな感じに。
しかし、拡大もここまで。
日本の都心部のように、インドの田舎ではストリートビューを見ることはできない。
最大に拡大しても、こういう衛星写真である。
彼はこのレベルの写真で、広大なインドを、自分が乗ったらしい鉄道路線をもとに、細かく調べ始めた。
手がかりは、20年以上昔の、彼の4才までの(4才である!)記憶。彼によれば兄弟でよく出歩いており、どこに滝があって、ダムがあって、というようなことははっきりと覚えていたという。
また、この記事によれば、彼は駅の名前(BではじまるBurhanpurみたいな発音をする)と町の名前(Ginestlay )らしきふたつの名詞をぼんやりと覚えていたという。ただし、どちらも正確ではなく、4才の時の記憶なので、スペルも定かではない。
普通に考えると、そんな曖昧な記憶を頼りに、上のような写真を何枚見ても、自分の昔住んでいた家を探し出せるとは、とても思えない。
Google Earthの衛星写真だけでなく、FBのページなどで質問したりして助けを求め、その正確な町の名前(Ganesh Talai)と駅の名前(Berampur)をつきとめた。
そして、結局、彼は自分の家を衛星写真の中に見つけるのである。
そして、その家に出かけていく。もしや、母や父はすでに死んでしまったのではないかと恐れながら。
その家の前に立ち、ノック。
出てきた人は、見知らぬ人であった。
しかし、事情を説明すると、その人は、彼のお母さんが現在住む場所へ連れて行ってくれて、再会が実現したのである。
また、『スラムドッグ・ミリオネア』みたいに、僕らをぶっ飛ばす映画になって欲しいな。