ただのキャンプじゃないんだぜ、それをおいらは「マイクロアドベンチャー」と呼ぶ!
誰しもが、たぶん、誰しもが冒険「アドベンチャー」に出たいと一度は夢想したことがあるはずだ。
だけど、たいていの人はお金や時間、仕事や家族との関わりのために、冒険「アドベンチャー」にでることはできない。
しかし、「マイクロアドベンチャー」になら、来週にだって出かけることができる。
会社の就業時間が来たら会社を飛び出し、駅のロッカーに入れたバックパックを拾ってアウトドアウエアに着替え、仲間数人と落ち合って山へ向かう。
郊外の小さな山だ。数十分で登れる。
夕焼けに染まる山並みを見ながら、焚き火をたてて料理を始める。
火を囲んでビールで乾杯したころには、満天の星。
酔っ払ったらシュラフにくるまって、馬鹿話をしながら眠りに落ちる。
早朝。鳥の声で眼を覚ましたら、みんなを起こし、手早く荷物をまとめて山を降りる。ラッシュにはまだ早い電車にのって会社のそばの駅に行き、ロッカーからビジネスバッグとスーツを取り出して変身。
会社の近くの喫茶店で朝食を取りながらニッケイを読み、定刻に出社する。
それが、Alastair Humphreysさんが提唱する「マイクロアドベンチャー」だ。
彼は冒険家。大西洋に乗り出したり、自転車で世界を回ったり、ユーコン川をカヌーでくだったりとクレイジーな冒険をかさね、2012年にはナショナルジオグラフィック誌の「アドベンチャー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれている。
そんな彼も結婚して子供がふたりでき、様々な制約に縛られるようになったのだろう。
このインタビュー記事によれば、彼が「マイクロアドベンチャー」を提唱しはじめたのは、こういう理由だ。
みんなが僕のことを「普通じゃない」人間って思っていることに気がついたんだ。そんなの馬鹿げてる!多くの人たちが人生に冒険を望んでいるのに、様々な障害があってそれを実行できずにいる、時間とか、お金とか、専門知識とか、suburbia*1とか。僕は制約があっても冒険をする方法はあるんだってことを、みんなに伝えたい。小さな冒険でも、冒険をまったくしないよりはずっと素敵なんだ!
実際に彼はロンドンを拠点に「マイクロアドベンチャー」のツアーを実施している。暖かな格好をして寝袋だけを持っていけば、200ポンド(約2万円)の料金でそんな小さな冒険に参加することができる。
彼の「マイクロアドベンチャー」の紹介のページには、今年の直近の日程が書かれているのだが、それは6/4(水)、6/11(水)、6/18(水)、6/9(月)、6/23(月)で、いずれもビジネスデーに設定されている。
「マイクロアドベンチャー」は、お手軽なようではあるけど、周到な準備が必要になりそうだ。
とくに、日本の郊外の山や海岸、湖畔などに訪れる場合、その場所でのキャンプや焚き火がOKかどうか調べる必要があるし、短時間でキャンプ地に到達できて翌朝の都心までの時間も確認が必要だ。
しかし、たしかにこういった「マイクロアドベンチャー」ができれば、平凡な毎日に大きなリフレッシュ効果とインスピレーションが得られることは間違いないと思う。
「アウトドア」と言ってしまえばそれまでなんだけど、たしかに、「マイクロアドベンチャー」というコンセプトで考えると、近くの山にわざわざキャンプに行くことがとても新鮮でワクワクすることに思えてくるのだ。
Food Microadventure from Alastair Humphreys on Vimeo.
photo by Ville Miettinen