ベンツのオープンツーシーターを買った知人みたいに、中高年は好きなものを買おう!
ベンツのオープンSLKが明日の納車される。
いや、僕のことではない。
僕の知人が、ついに、自分が一番欲しい車を買うことにしたのだ。
もともと車が好きなひとで、よくふたりで車の話をしていたのだが、彼がいつか乗りたい車として、ベンツのツーシーターのオープンカーSLKをあげていたのだ。
いつか、SLKの屋根を開けてのんびり走りたい、と。
彼は40代。
ファッションも凝るタイプで、JWALKのボーカルのひとそっくりな風貌である。
子供の授業参観には最適とは言えない風貌だけど、ベンツのオープンに乗れば、若いお姉さんたちが振り向きそうな、そんなオヤジである。*1
僕もマツダのロードスターに乗っているので、いかにツーシーターのオープンが楽しいか、さんざん吹聴していたのだが、子どもたちがとうに成人した僕とは違い、子供たちの学費もいるということで、いつも堅実な彼は、家族用でも仕事用でもない、まさに「自分のための車」を買うことに、かなり抵抗があったようだ。
しかし、結局、中古だけど、買ったらしい。
おめでとう!
心から祝福したい。
僕は彼のこの買物を、浪費だなんて、ぜんぜん思わない。
いつも買う側のことを考えて、堅実な商売をしてきた彼だから、購入にあたって無理をしているはずもない。
家族のためにとか、老後のためにとか、もろもろの義務のためではなく、純粋に、自分のために、自分の喜びのために思い切った買い物をした。
ツーシーターのオープンなんて、家族形成期のひとたちにはとっても買えない。
ふたりしか乗れないし、荷物は積めないし、それでも駐車場代は普通にかかる。
大金持ちでなくても買えるとしたら、バイト代を好きに使える大学生か、少し余裕のできた中高年しかいない。
だけど、買えるはずの中高年は、将来が不安だとか、さまざまな制御スイッチが入っていて、思い切って、自分の楽しみにお金を使う勇気がない。
たしかに老後は心配だけど、両親を見ていると、結局はどれほどお金を残してもボケてしまえばおんなじだ。子供に迷惑がかからない程度のものを残すことができたら、それ以上のお金なんていらないはずだと思うようになった。
昔、ミゼットなどのツーシーターオープンに憧れたポパイ世代は、余裕があれば、SLKとか新型のロードスターとか、もっと買えばいいのにと思う。
あ、もちろん、オープンツーシーターに限らず、ほんとうに自分が好きなモノを、という意味だ。
なんだか、僕らの世代は、自分のためにお金を使うことが苦手なんじゃないかなと思うのだ。
僕らがほんとうに好きなものにお金を使う勇気をもてば、経済も活性化されて、若者にもお金が回る。
いいことづくめだ。
どうせ、30年か40年以内に、僕らは死ぬ。
したかったことがあるなら、いまのうちだ。
photo by NRMA Motoring and Services
*1:「いまどきの若いお姉さんはオープンツーシーターには振り向かない」というコメントいただきました。もっともです。文章の流れでそう書きましたが、彼はそんなことを期待してはおらず、純粋にオープンツーシーターを手繰る喜びを手に入れるために、SLKを買ったのです。その気持はオヤジにしかわからないかもしれません