次女の麦は現在、楽天店の店長で、仕入れもし、コーディネートや復刻アイテムの選定などをやってくれている。
僕や嫁が望んでいるのは、彼女が自分の食い扶持を稼いでくれるようになること、僕らがいなくなっても、会社を継ぐかどうかは別として、自分で食っていけるという自信をつけてもらうことだ。
だから、僕らが知らない分野を任せ、なるべくほったらかしにして、自分で勉強しながら先にすすんでいってもらうようにしているつもりだ。
最近、一皮むけたような気がしたので、「自分で食っていける自信ついたか?」と軽く訊ねてみたら、こんな答えが帰ってきた。
う~ん、それはわからないけど・・・でも、わからないことがあっても、投げ出さずに、ちゃんと読んだり、調べたりしたら、どこかに答えが書いてあって、絶対に答えに辿り着けるんだってことが、わかった。
それを聞いて安心したが、また、いっぽう、大学に行って、2年間外の会社で働いた経験があっても、「疑問を自分の力で解決する。どうしてもわからない時は、誰が知っているか、どうやったら質問できるか考える」というようなことは、学んでこなかったのかと思い、ちょっと不思議な気分になった。
おそらく、務めていた会社でも、やるべきこと、手順がほとんど決まっていて、自ら進み、そこに横たわる障害物をひとつひとつ乗り越えていく、ということをやった経験がなかったのだろう。そして、そういう経験がないひとは、麦に限らず多くいるのかもしれない、と。
もちろん、「どこかに答えが書いてある」とは言っても、必ず書いてあるわけではない。正しい答えがまだないものもあるだろうし、あっても、それが書かれていない場合だってある。
「どこかに答えが書いてある」というのは、「わからないこと」の程度による。
しかし、今朝、南スーダンの23才の青年、ジョージ・ジョン・メールさんが、自力で航空学を学び、自分が入手できる材料で試作機を作ったというニュースを見て、インターネットで調べれがわかるレベルというのは、僕が想像していたより相当高いのかもしれないと思った。
南スーダンは内戦ののちに、2011年独立したばかりの国で、2014年の「世界で最も脆弱な国家ランキング」*1で首位となったような貧しい国である。
航空学と学びたいと思っても、そんな学校はなく、彼が自力で学ぶための手段はインターネットだけであった。
もちろん、必要な資金も材料もないので、動画で見る限りプロペラはこんな木製である。
家族からも、彼はクレイジーでお金の無駄遣いをしていると目されている。
国の空軍が彼をリクルートしたいと語ったということだが、それはまだ実現していない。
この飛行機はまだ飛ばないらしいが、適切な資金援助さえあれば、アフリカで最高のイノベーターになれると、彼は楽観的に考えている。
彼の飛行機が実際に飛ぶ日が来るのかどうか、僕にはわからない。国際的な話題になっているので、資金提供者がすでに現れているかもしれない。
しかし、たしかなことは、彼が、南スーダンというまだ新しく貧しい国の発展を支える力強い柱の一本になるということだ。
何をするにせよ、疑問符の山に立ち止まったり絶望したりせず、必要なことはコツコツとどこからか調べてきて、限られた材料でなんとかこなしながら、先に進んでいく。
新しい国には、彼のような人間がたくさん必要とされるに違いない。
ジョージさんも、麦も、頑張れ!
ふたりとも、いつか必ず、空も飛べるはず!
(参照元:With No Aerospace Schools in South Sudan Youth Builds His Own Plane)
*1:非政府組織の平和基金会による