ICHIROYAのブログ

元気が出る海外の最新トピックや、ウジウジ考えたこととか、たまに着物のこと! 

★★★当ブログはじつはリサイクル/アンティーク着物屋のブログです。記事をお楽しみいただけましたら最高。いつか、着物が必要になった時に思い出していただければ、なお喜びます!お店はこちらになります。★★★


アンティーク・リサイクル着物屋さんになるには


絹と人絹の燃え方の違い=上が絹(蛋白質なので髪などと同じ。燃えずに、玉になる。玉は潰せる)、下が人絹(原料はパルプなので燃え続けて灰になる)
( 経緯糸とも絹・人絹の場合です。交織の場合は、微妙な燃え方をしますので、その際は、経糸、緯糸を別々に燃やしてみましょう。また、どっぷりと黒の染料に染められたものは、絹でもきれいな玉にならず、燃えるような燃えないような、ですので、ご注意)

**********

まかり間違って、もし、アンティーク着物屋さんになりたいっ!とか思ったら、どうしたらいいんでしょうか。
また、なりたいと思ったら、誰でもなれるもんでしょうか。

僕が、ほんとうのことを、お教えしましょう。
なりたいと本気で思うなら、アンティーク、リサイクル着物屋さんには、誰でもなれます。
これは、よくあるプラス思考の表現ではなくて(「日頃の気持ちの持ちようで、望めば何でも手に入ります」ってか?)、ほんとうの話です。
では、順をおってお話します。


1)生活をダウンサイジングしましょう
ノウハウを得るまでは、稼ぎは、間違いなく、アルバイト程度になります。
あなたが若いアンティークファンの女性で、身軽ならまず安心ですが、40才の家族もちで、会社から飛び出してしまったとかなら、まず、奥様に働いてもらって、しばらく、家計は奥様に頼りましょう。
万一、アルバイト程度の収入が20~30年続いても、腐らずにがんばり続けること。
それが成功の第一の秘訣です。

2)師匠をみつけましょう
絶対に必要なのは、師匠です。
もしくは、アンティーク着物のプロの家族にお願いして、その家に生まれ直すか、養子にしてもらいましょう。
どこかのアンティークショップがスタッフを募集していたら、応募して、2,3年働いてみるのも良いでしょう。
で、師匠となるひとをみつけて教えてもらったら、生涯、そのひとを師匠として、恩を返せるときは、返し続けましょう。
いくら自分ができるといっても、師匠を踏んづけるようなことをしてはいけません。
また、師匠があなたを踏んづけたとしても、それは愛のムチ。
師匠が亡くなるまで、耐え続けましょう。

3)最初は店を持ってはいけません
店をもつのは、お客様がある程度できてからにしましょう。
アンティークやリサイクルの着物の場合、ネット販売、露天、販売会など、コストのかからない販売方法がたくさんあります。
お客様が先、お店はそのお客様のために、あとで作る。「お店が先で、そのお店でお客様をつくる」は、資金がうなっているひとのやりかたです。
銀行からお金をひっぱってでも、銀座のお店のオーナーになりたい、と思ったら、商売を替える必要があります。

4)なにがあってもお客様に迷惑をかけてはいけません
世の中はなかなか厳しく、破れたもの、生地の弱いもの、偽物などを、あなたが高く買ってしまうことは避けられません。
それは、みなが、あなたのことを考え、騙されたほうが悪い、注意深く生きろよ、と教えてくださっているのです。
だからといって、あなたは、おなじことをして、ほかのひとに、世の中の厳しさを教えてあげることは厳禁です。
はめられたり、失敗したりしたら、すべて、自分で飲み込みなさい。
なにがあっても、お客様や仲間に迷惑をかけてはいけません。
そのために、おカネがなくなっても、一番だいじな信頼・信用を得ることができるのです。
信頼・信用は、薄い紙のごとくですが、たくさん重なると、かんたんには破れない厚い本のようになり、あなたの生涯の宝になるでしょう。

5)感性と実証的感性をともに磨きましょう
いいものを見抜くには、たくさん良いものを見る、につきます。
しかし、いいものをたくさん見ると言っても、ほんとうにレアなものは、そうそう見る、触れる機会はありません。
なので、師匠をもつことが圧倒的に大事になってきます。
ただし、「いいものを感じること」とともに、「それが良いのはなぜか、その違いは、物理的なものか」を突き詰めて考える癖をつけましょう。
この世界の一級のかたも、案外、マイクロスコープで、糸や染めを仔細に調べておられます。
たとえば、現代のポリエステルの着物はとてもよくできており、信じられないとおもいますが、何十年選手の古着屋さんたちの間で、絹かポリエステルかで意見が割れるときがあるのです。
「俺にはホンモノを見分ける眼力がある」と信じて露とも疑わないひとは、ちょっとした危険人物です。

6)やってみなはれ
意気込んで書き始めた記事ですが、もう書くことがなくなってしまいました。
どんな世界も同じとおもいますが、まじめにお客様や仲間のことを考えてやれば、古着屋になれると思います。
ただし、先輩たちより、お客様、ノウハウ、資金力がないないの状況で立ち上がらなければならないので、少なくとも、先輩たちより、何倍も働く必要はあります。
で、最後の問題は、アンティークは、ものがどんどんなくなっていることです。
現代の着物もあまり売れていないので、ゆくゆくは、リサイクル着物の市場も、枯れてくるような気がします。
でも、そんなこと、気にしませんよね!
斜陽だろうがなんだろうが、どうぞ、この世界へ、飛び込んできてください!



PS 師匠のくだりは、僕の師匠のことではなく、師匠選びが大切ですってことの、僕流のジョークですので、あしからず。また、「斜陽」というのは、客観的な業界に対する見方で、逆に言えば、若いかたでいまからこの業界に入ってこられるかたは、「斜陽と言われる業界で、自分ががんばって、着物を復活させてやる!」ぐらいの心意気が必要ということです。いつも、受け狙いで書いてしまいますので、ちょっと、ちょっとっていう部分あります。あしからず。