ICHIROYAのブログ

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ヌルヌル気持ち悪いウナギの粘液からつくった新繊維『ヌタウナギーヌ』が着物を救う!

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by cramsay23


僕らの考えることは、常識や直感に囚われている。
たとえば、繊維といえば、綿か麻、もしくは、主に石油からつくるもの、と思っている。
そして、とくに石油からつくられるもの、テトロン、ポリエステルなどが、人類が辿り着いた最終の製品であると思い込んでいる。


しかし、BBCのこの記事によると、そんな常識を、未来の新繊維はぶっ飛ばしてしまいそうだ。
その繊維は、弾丸をも通さない硬さをもち、通気性もある、夢の繊維になるという。
そして、そいつが何からつくられるかというと、ヌタウナギという恐竜時代の生き残りの生物(便宜上、魚類に分類されているが、厳密な意味で言うと、魚類でもないらしい)が出す粘液だというのだ。
タウナギは、ウナギに似た特徴をもち、日本近海にも生息する。
韓国ではよく食べられており、日本でも一部、食用に利用されているらしい。


このヌタウナギは、体を粘液状のもので守っている。
その粘液は体から離れるとスライム状になって敵の攻撃を免れるという。
下の動画を見ていただくとわかりやすいのだが、確かにヌタウナギを食べようとしたサメが口を離しており、その口にスライム状のようなものがまとわりついている。

 




実際、実験室で、その粘液をとって、海水と混ぜてみたらどうなるのか、やってみた動画が、これである。

 

 

 この粘液はタンパク質でできている。
げげっ~この、なんだか気持ち悪い粘液で布をつくるの?とか、言っている場合ではない。
だって、あの最高級の繊維、光輝く絹だって、要は、イモムシの粘液ではないか。
気持ち悪い、とか、そんな馬鹿なと思ったひとは、自分の固定観念の強さを反省したほうが良い(僕も反省した!)。
ともかく、技術的には、これから布をつくることは、すでに可能だそうだ。

しかし、そういえば、スパイダーシルクというものもある。
蚕ではなく、蜘蛛が吐く糸で織った繊維だ。
それも実際に存在し、絹より相当、強度もあるらしい。が、いかんせん、蜘蛛は蚕のように、従順にたくさんの糸を吐いてはくれず、作ったとしても、めちゃくちゃ高価なものになってしまう。(下の写真はその一例)

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by amandabhslater


でも、それなら、ヌタウナギの粘液繊維も、スパイダーシルクもおんなじじゃないのか。
タウナギだって、大量の粘液を得るためには、漁獲だけでは足らず、養殖が必要になるはずだ。
ウナギだって、完全養殖は、人類の夢なのだ。
タウナギの養殖が簡単にできるとは思えない。


が、BBCの記事によれば、ヌタウナギの粘液の分子構造は、蜘蛛の糸の分子構造に比べてはるかに単純で、合成することができるかもしれない、という。
おお、それは凄い!


僕は、かってに、その新繊維を『ヌタウナギーヌ』と名付けることにした。


間違いない。
新繊維『ヌタウナギーヌ』が、人類の衣料に一大変革を起こすであろう。


たとえば、着物は、なんと言っても絹が良い。
でも、絹は、普段に着るものの素材としては、高価過ぎるし、繊細過ぎる。
代用品として最初につくられた人絹(レーヨン)は、風合いがいまひとつだし、さらに弱い。
いまの主力はポリエステルで、よく出来ていると思うけど、やはり風合いの点でかなわない。とくに、帯などにすると、絹の使用感は、絶対に、出せない。
その点、『ヌタウナギーヌ』は素晴らしい。
同じタンパク質なので、締める時も、キュッキュッと絹ずれの音がして、しっかりと締めることができるのである。
もちろん、強いので洗濯もOKだし、万一、銃で撃たれたり、包丁を刺されたりしても、身を守ってくれるのであ~~る!


まあ、ちょっと、眉唾と思う、あなたの気持ちはわかる。
しかし、これは、僕が言っていることではなく、あのBBCが報じていることなのだ!
『ヌタウナギーヌ』が、マーケット縮小の続く着物を復活させ、人類の衣服の歴史を塗り替えるのは、火をみるより明らかなのである。