ICHIROYAのブログ

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語られなかった友の祝辞

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 先日のパーティで、わざわざ東京から来てくれるという友に祝辞を頼んでいた。いくつか突発的なことが重なり、電車の時間に間に合わなくなってしまい、その祝辞をいただくことができなかった。申し訳なく、また残念に思っていたら、スピーチの原稿を送ってくださったので、紹介したいと思う。

 もちろん、『祝辞』なので、そこに描かれているのは、針小棒大、嘘と紙一重の誇張、パーティで受けそうな潤色であり、ホンモノの僕ではない。
 ぴかぴか光る金髪のアフロヘアのカツラと、真っ白なスーツにクロのシャツおよびシルバーアクセサリーとつけ胸毛という、あのパーティの時であれば、それはそれで全部聞き流すことができるのだが、さすがに朝、事務所の机の前に座っていると、お尻がムズムズしてきた。
 しかし、せっかく、皆に披露してくださる予定だったスピーチの原稿である。
 そのまま紹介させていただくべきだろう。
 いや、それでも、いくらなんでも誤解を生みそうな部分、思い出したくない部分があったので、そこだけは線引をし、また何文字か削除させていただいた。
  
 ワッタン(渡邊淳さん)、そして、同じく高校時代からの友達で、奥様のミヤちゃん、ほんとうにありがとう!

 

 ただいまご紹介にあずかりました高校時代からの友人、渡邊淳です。
 豊中高校の友人を代表して一言お祝いの言葉を述べさせていただきます。

 和田一郎君のことを高校時代の呼び方でワーチンと呼ばせていただくことをお許し下さい。

 ワーチン、この度は作家デビューならびにデビュー作の大成功本当におめでとうございます。心からお祝い申し上げます。
 ワーチンは高校時代から作家志望でした。僕がどんな作家の本を読んでいるの、と聞いたら間髪入れずにボルヘスと返事が返って来ました。当時ジャンプやマガジンしか読んでなかった僕には、いったいそれ誰?という感じてしたが、薦められた「不死の人」はスケールの大きい作品で今も僕の書棚に鎮座しています。
 ワーチンは高校時代、常にあくなきチャレンジャーでした。クラブは確か柔道部に入っていたと思いますが、勉強とクラブだけには飽き足らず、常に自分の可能性、限界を試しているようでした。
 2年生の頃はバンドに挑戦して文化祭でAmericaのSister's Golden Hairを演奏しました。
 3年になっては映画作りに挑戦してワーチンが総監督の重責を担って、われらがI組の同窓会のレジェンドになっているあの名作「怪傑ゾロ」を作り上げたのです。
 彼は女性にも積極的でした。(**9文字削除**)に積極果敢にアプローチして(**11文字削除**)ました。
 大丸時代にもこの積極性を発揮して生涯の伴侶、才色兼備の由佳さんを射止められたことと思います。

 さて皆さんも既にワーチンのデビュー作を読まれたことと思います。この本は単なるハウツー本ではありません。確かに中身は社会人の後輩に当てられた実に役に立つアドバィスに満ち満ちていますが、読者の心が揺さぶられるのは、その裏面にある、赤裸々に告白されたワーチンの18年の苦労、失敗、挫折があるからでしょう。
 そうですこの本はワーチンの18年間の社会人としてのバイオグラフィーなのです。
 昔から彼には権力への反感、コンプレックスとプライド、挑戦 と失敗が常に同居していました。それが万華鏡の様に姿を変えながら現れてくるのがワーチンの魅力なのです。

 さらにもう一つ加えるならば、これが一番肝心なところかも知れませんが、皆さんはワーチンのブログで「自殺騒動をおこしたTK君へ」という文章をお読みになられましたか? 僕も家内もあれを読んで心打たれたのですが、メールで死をほのめかした日本の若者にドイツの知り合いがワーチンに救助の要請をした話です。結局TK 君は無事と分るのですが、ワーチンはそのTK 君に苦言を呈します。そうです。自分にも他人にも真剣であること真摯であることが、彼の生きる姿勢、またそれがワーチンの作品の背骨だと僕は思うのです。

 ワーチン、これからも飽くなき挑戦を続 けて下さい。それが最もあなたらしい生き方だから。そしてその生き方で読者を魅了して下さい。第二弾の発行とハルキ・ムラカミより先にノーベル文学賞を取られることを祈念して大変簡単ではございますが、お祝いの挨拶 とさせていただきます。

  

photo by Bengin Ahmad