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ICHIROYAのブログ

元気が出る海外の最新トピックや、ウジウジ考えたこととか、たまに着物のこと! 

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こういうタイトルの記事を毛嫌いしないほうが良い10個の理由

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  ネットでよく見かけるタイトルに、『〇〇すべき10の理由』とか『〇〇ための本当に大切な8つの技術』とかっていうのがある。
 かく言う僕も、たとえば『絶対に失敗せずに「商売」を始める10のポイント』などという記事を書いたことがあり、いただいたコメントのなかに「タイトル詐欺っぽいタイトルで価値ある本文、っていう一周回ったタイトル詐欺」っていうのがあってちょっと面白かった。
 こういう書式のタイトルと記事はあまりに多く目にするし、内容が伴わないと思われることも多いので、そもそもこの書式のタイトルは「怪しい気なもの」という印象が強くまとわりついているのだなと納得した。

 ところで、今日読んだこの記事『Crazy Ways Web 2.0 Companies Tap Into Humanity’s Innate Need for Organization』(組織化したい人間の本能を利用するクレイジーなWeb2.0会社)に、そのあたりのことも書いてあってとても面白かった。

 そもそも、『〇〇すべき10の理由』というような記事の書式を表す言葉があって、それは"listicle"(リスティクル)というのだそうだ。"list"(リスト)と”article"(記事)をくっつけてつくられている。
 このリスティクルは欧米でも大人気だ。
 そして、もうひとつ人気になっている形式は、コメントなしでタイトルとリストだけからなる記事だそうだ。
 たとえば、The AWLというサイトの"Listacles Without Commentary"(コメントなしのリスティクル)というシリーズも大人気だそうだ。フォーマットとしては、「興味をひくタイトル + トップに画像ひとつ +  箇条書きのリスト」となっている。たとえば、この記事は「ニューヨークのかわりに吹き飛ばして欲しいアメリカの街」というタイトルに、自由の女神の写真1枚、30個の都市のリストのみで構成されている。

 さて、この記事によれば、そういったリストのみの記事やリスティクルがこうももてはやされるのは、人間の本質的な欲求に基づいており、タイトルそのものがそれを約束するのでよりクリックされやすいということだ。つまり理解するために必要となる概念化や分類や分析を記事が前もって行ってくれており、内容も限定されていて、記事の長さも短いものと、タイトルを見るだけでわかるからだ。
 記事のなかで言われているように、現代人は「野菜をばりばりそのままで食べるよりも、パックの野菜ジュースを飲むほうを好む」のである。

 ところで、英語圏ではもうひとつ顕著になっているタイトルのスタイルがある。それはUpworthy というサイトのもので、あっという間にそのスタイルが広がったという。Upworthyがどれほど凄いかというと、去年の11月のビジター数は8700万ユニークユーザーで、New York Timesの月間平均3100万の3倍近くを獲得しているのだ。

 そのスタイルの見本は、こんな感じ。

“We Don’t Hear Enough From Native American Voices. Here’s An Inspiring Message From One.” (私たちはネイティブアメリカンの声を十分には聞いていない。ここにインスパイアリングなひとつのメッセージがある)

 

“We May Tell Our Kids That Life Isn't Fair, But We Should Actually Listen To Them Talk About Fairness” (私たちは子供たちに人生は公平ではないと教えるかもしれない。だけど子供たちが公平さについて話すときはちゃんと聞いてあげるべきだ)

 
 長い。
 ふたつの文章からなり、エモーショナルな(感情的な)気持ちをかき立てられ、書き手の主張のスタンスが読み取れる。伝えたいメッセージのポイントはタイトルに含まれているけれども、クリックしなければ詳細はわからない。
 このスタイルはいままでのジャーナリズムの記事タイトルのスタイルとはかなり異なり、ネット時代、SNS時代に発達した新しいスタイルと言えそうだ。
 このタイトルのスタイルがクリックされる率は非常に高く、同じようなタイトルが量産されているようだ。

 僕はこの記事を読んで、なるほどなと思った。
 ネットで読まれやすい、拡散しやすい記事とフォーマットのスタイルというのはたしかに存在し、それがどんどん進化しているのだ。
 もちろん、中身のないそういう記事もそういうスタイルで量産されているので、「胡散臭さ」もぬぐえないのだが、そのスタイルで書かれているから内容がないとは限らない。たとえば、僕の好きな書き手の
Geoffrey Jamesさんのビジネスの記事の多くがリスティクルの形式で書かれているが、まさにビジネスの野菜ジュースのような記事ばかりでとても参考になる。
 
 ところで、言わずもがなだけれど、人々はいつも野菜ジュースを求めているとは限らず、採れたてのキュウリを生でかじりたい場合もあるし、丁寧に料理してゆっくり味わいたいときもある。
 記事や文章もそうで、複雑で高度なことを考えるときは上に書いたようなフォーマットは使いづらいし、長い文章、読みにくいけれど味わいのある文章、読んでいて心地よい文章を読みたい欲求もある。
 最高のチカラをもっている書き手なら、「読みやすい」「拡散しやすい」フォーマットなどはすっ飛ばして、自分の独自の語り口で書いたものが広く拡散していく。
 究極的には、そんな書き手を目指したいものだ。
 
 あっ、すみません。
 いまさら10個の理由を箇条書きにする気力がなくなりました。
 タイトル詐欺でした。お詫びします!
  
 

 


 
 

 

 

 

 photo by Ian Mutto