ICHIROYAのブログ

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絶対に失敗せずに「商売」を始める10のポイント

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  この記事は、「起業」一般について書いたものではない。
 たとえば、ウェッブサービスで一攫千金を狙う若者、独立するとすれば何人もの人があとを追うようなカリスマ性のあるひと、そんな人を対象に書いてはいない。
 対象は、僕のような普通の人間で、ある程度の期間サラリーマンをやって、どうしても事情があって辞めなければならなくなったひと、家族を抱えて独立に踏切り、絶対に失敗できないひと。自主退職に応じて辞めてはみたものの、就職がみつからない、自分で商売を始めるしかない・・・そんなひとを念頭においている。
 
 このノウハウに、「起業」と書きたくない。
 なんだか、「起業」というと、どこからかおカネをひっぱってきて、同志を集め、いちかばちかの冒険に出る、というイメージがつきまとう。
 だけど、養うべき家族がいれば、いちかばちかの勝負に出ることなど、簡単にできるものではない。
 僕も会社を辞めた当初、どこかで何度も読んだ「起業」のイメージがつきまとい、いちかばちかの勝負に打って出る寸前まで行った。
 でも、それを思い留まったのは、勝率が5割であったとしても、家族を5割の勝負に巻き込むことはできないという、ごく当然の理由だ。

 絶対に失敗できないなら、「起業」のイメージは捨て去ろう。
 「商売」「ショーバイ」を始めるのだ。
 それも小さく、小さく、リスクを極力抑えて。
 では、42才で、会社を辞めて、いわば路上に飛び出て10年生きてきた、僕の考えるそのポイントをお伝えしよう。
 

1.お店をつくるのはやめよう

 たとえば一部上場企業などに勤めていて会社を辞めると、あの人はどうした?という好奇心にさらされることになる。それもあって、とくに前職が華やかな人ほど、ほかの人に「見えるもの」、立派なお店や豪華なオフィスを欲しがるようだ。
 恥ずかしながら、僕も、当初事務所を借りた。実際のところ、そこには、合計100時間もおらず、数ヶ月後にこっそりと撤退した。
 お店もつくりかけて、手付金をうつ寸前までいって、やめた。
 現在、何かを売るのに、お店が必須であるということはないし、自宅以外に事務所がなけりゃならない理由はない。
 お店をつくれば、在庫がいるし、ずっと誰かが貼りつかなければならない。
 お店を持つということは、取りも直さず、いちかばちかの挑戦をするということだ。
 絶対に失敗できないなら、店鋪ビジネスはやめるべきだ。
 だから、当然、僕の流儀のなかには、飲食店の選択肢はない。
 さあ、自宅から、自宅のリビングのコタツから、商売を始めようではないか。
 心配することはない。PC一台あれば、世界につながるのは簡単だ。

2.人の嫌がる仕事をして喜んでもらおう

 僕らの古着業界では、こんな面白いことがおきる。
 たいていのひとは、業者専門の競市で商品を仕入れる。そして、仕入れの場では、自分が欲しいもの以外にも買わないといけない場合も多々ある。
 たとえば、20枚ぐらいの着物がヤマにされて出品され、その19枚は要らないが、1枚だけ欲しいというような場合だ。
 その1枚目当てに買う場合、残りの19枚は不要になるのだ。
 そして、それをいちいちたたんで持って帰るのが面倒臭くなる。
 その19枚だって売れるのだが、その人にとっては、それをせっせとたたんで、ちびちび販売するより、自分が価値をおいたほかのものを1枚売る方がずっと効率がよく儲かるのだ。
 古着業界に新しく入ってきた人たち、とくに若く既存の古着の価値観にとらわれていない人は、その19枚を貰って帰る。
 あげる側はたたまなくていいし、持って帰らなくていい、どうぞどうぞと喜んであげてしまう。
 そして、もちろん、その若い人たちはそれをヤフオクに出品したり、露天にもっていって詰め放題◯◯円!などと看板をぶら下げて売るのだ。
 高く売れるわけではない。でも、仕入れコストゼロなのだ。儲からないわけがない。
 
 僕はこの仕組を知った時、なるほどなと思った。
 たぶん、これと同じようなことは、色々な業界にあるのではないだろうか。その業界ですでに商売を確立しているひとは、自分の時間あたりの利益を計算して動く。そしてそれはある程度の金額になっているはずだ。
 その時間あたりの利益より下回った利益でよければ、喜んで仕事を回してくれるはずだ。
 それがなかなか難しいのは、体面を保ちたいという気持ちが残っているからだ。
 体面を捨てて、みんなが嫌がることをしよう。
 そうすれば、きっと、みんな助けてくれる。   

 

3.すぐに儲かる仕事を探そう

 試してみて、ある程度の利益が出なければ、すぐにほかのことを考えたほうがいい。
 1年先には儲かるかな、というようなレベルなら、結局、またいちかばちかになってしまう。
 だって、1年間の生活費をおいてスタートしたとしても、それを使い尽くしたあと、やっぱりダメだったってことになったら、沈没である。
 1年間の生活費を除いて、商売に使える金額を計算してみる。
 そして、その虎の子を、ちびちび使って、何度も試してみよう。
 何度も試して、このやりかたなら、ちゃんと儲かる!っていう方法を探しあてよう。

 

4.リピートのある商材を探そう

 小資本のビジネスは、なんと言ってもリピートが命だ。
 たとえば、中古車とか家のビジネスは、その金額が大きいからというよりも、基本的にリピートのない商材である点が難しいと思う。
 汗水たらしてお客様に満足していただいても、次の注文まで何年も待たなければならないとしたら、その間にチカラ尽きてしまう。
 単価は低くても、確実にリピート客になってくださる商材をみつけたほうが良い。

 

5.師匠をみつけよう

 商売で生きていくためには、学び続けることが必要だ。
 だけど、商売の真髄は、本には書いていないし、もちろん、ネットを探しても書いていないのだ。
 では、どうやって学ぶかというと、誰かに教えを乞うしかない。
  会社とは違って、商売の世界では、誰もタダでは教えてくれないことを肝に命じよう。
 教えてもらうために、一番早い道は、師匠をみつけて、文字通り、頭を地面にこすりつけてでも、弟子にしてもらえるように頼みこむことだ。
 だけど、すべてを師匠に預けてしまうようなやり方は推奨しない。
 師匠も人間だから、愛嬌と引き換えに、いつまでも教えてくれるとは限らないし、師匠についていっても充分に稼がせてはくれないかもしれない。
 これぞと思う人を複数みつけて、その人たちのためになることをして、可愛がってもらい、教えてもらったり、情報をもらったりする。
 なおかつ、自分は自分でみつけた稼ぐやりかたを続ける。そして、師匠たちに教えてもらったことを大事にして、一歩一歩ステップアップして、自分の仕事の価値を高めていく、ということが必要だと思う。

 

6.ビジネス書やネットにない売り方を考えてみよう

 10年前、僕が商売を始めたときは、ヤフオクやebayでリサイクル、アンティーク着物がよく売れた。
 その時、その情報はネットにあふれていなかったし、もちろん、それを情報商材にして売っているような人はいなかった。
 新しい売り方は、いつの時代も生まれていると思う。とくに、今ほど、ITの進展が早ければ。
 そしてそれが一番実りの多い時期には、けっしてその情報が広く伝わることはない。
 最近も、アメリカのアマゾンで売るという手法がネットで喧伝されるようになったが、たぶん、旬は過ぎたのではないかと思う。
 これからもそういったホットポイントは生まれ続けるだろう。
  できることなら、そのホットポイントをみつけたほうが良い。もちろん、それをみつけたとしても、そのポイントがホットである期間は短いだろう。だが、その波に乗ることで、その分野での商売のノウハウを短期間で学ぶことができ、また、資金的にも楽になるのだ。
 そういうホットポイントをみつけるためには、自分で売ってみるしかない、ということも肝に命じておくべきだろう。
 

7.得意なことの周辺で仕事を探そう

 僕の場合、今ではお笑いだが、当初、惣菜屋さんをやろうかなと思い、モデル店の前に張りこんで、客数を数えたこともある。
 だけど、僕は、ほんとうに、食べるものに興味が薄いのだ。味覚にも全然自信がない。
 結局、ネットの古着屋になったのだが、よくよく考えてみると、デザインやアートに多少なりとも興味があったこと、説明文などの文章を書くことも好きだったことが、今の商売に役だっている。
 やっぱり、ひとは、自分が得意なこと、好きなことに導かれるのだと思う。
 そして、好きになれることなら、たいていの苦労も耐えることができるのだった。

 

8.嫁や親族のもつノウハウを利用させてもらおう

 自分ができることはしれている。
 会社で学んだことは、実際の自分の商売にはあまり役に立たない。
 足りない分は、嫁や兄弟、親、親戚などに補ってもらえないか考えてみたらいいと思う。
 僕の場合は、嫁の英語、母親の着物の知識のふたつがあって、ようやく商売としてカタチになった。

 

9.誰かに任さないとできない仕事はやめよう

 自分に足りない分、できないことを誰かを雇って補うというのは、あまりお薦めできない。
 ビジネスが小さなうちは、自分と自分の家族で商売のプロセスが完結するようにしておくべきだ。
 手が足りない分は、誰かを雇用すれば良いが、いざとなったら、自分でやれる、家族の誰かがやれるという道は残しておく。
 そのひとがいなければ、すべてが成り立たないという状況は避ける。
 世の中は厳しい。いくら綺麗事を言っても、他人は他人だ。
 ビジネスのコアを他人に依存してしまえば、他人にそのビジネスの根幹を左右されることになってしまう。
 絶対に失敗できないなら、ビジネスを大きくするまえに、最悪の場合でも、戻れる地点をつくっておくことが大事だ。
 たったひとり、自分もしくは、自分の家族だけになっても、規模は小さくても商売は成り立つというようにしておけば、どんなことがあっても冷静でいることができるのだ。

 

10.借金はやめれ

 ここまで読んでくれたひとに、この項目は余計かもしれないが、なるべく借金はやめよう。
 「起業」の本を読んでいると、公的資金を借りることが常識なのかなと思えてくる。
 だけど、それは奨学金制度にも似ていて、返済の必要なお金であることには違いないのだ。借りる時は簡単でも、あとで苦労するのだ。
 借金はやめよう。
 上に書いたように商売を始めるなら、多くの資金は必要でないはずだ。
 借金をする前に、自分は体面にこだわっていないか、充分に汗をかいたか、必死で頭を下げたか、考えぬいたか、もう一度考えてみるべきだ。


 僕の思う、絶対に失敗しない商売のポイントはこんな感じだ。
 僕は「起業」は知らないが、「商売」なら少し知っていると思う。
 参考になれば嬉しい。
 それでは、あなたの「商売」の成功を祈っている。
 ふふふ~~「商売」は楽しいですよ!
 

photo by dok1

 

*2016年5月追記

僕の起業の成り行きについて、詳しく本に書きました。Kindle版もあります!

 

僕が四十二歳で脱サラして、妻と始めた小さな起業の物語 (自分のビジネスを始めたい人に贈る二〇のエピソード)
 

 
*ブログや本で書ききれない思いを短編小説にしています。起業に関係ある話はたとえばこちらです。

 

kyouki.hatenablog.com