人間ドックに行って判明したふたつの驚愕の事実!
人間ドックへ行ってきた。
今回、生まれてはじめて脳MRIの検査をしてもらった。
人の名前をすぐに忘れること、人の奥さんの名前をすぐに忘れること、人の子供さんの名前をすぐに忘れること、人のペットの名前をすぐに忘れることなどの症状に悩んでいるので、せっかくの人間ドックの機会であるし、映画やテレビで見るあの素晴らしい機械を体験しておくのも話のネタになるかと思い、大枚叩いて申し込んだのだった。
そして、その結果はまだではあるが、ひとつ長年露見しなかった持病があることが発見された。
僕は閉所恐怖症であった。
あのSF映画さながらの脳MRIという機械は、あの洗練されたカタチ、その電子うんぬんの能力にもかかわらず、昔のラジオみたいな音が始終するのだ。
頭を固定されて、フェイスガードみたいなものも被せられて、墓場の穴みたいなところに頭を突っ込まれたうえに、だ。
「閉所恐怖症のひとは無理かも~~~」と体験者の嫁が軽く言っていたのは聞いていたけど、とてもそんな甘いものではない。
「だめだったら、このボタン押してくださいね」といって、ボタンを握らされてくれる。
まさか、自分がそんなボタンが必要になるとは思いもしなかったけれど、いざ、そいつが始まってみたら、「もうだめだ、いつ押そう、いまでしょ、いやお金もったいなさすぎ、でも、もうだめだ、いつ押そう、いまでしょ・・・」と自問自答。
しかも、あの超先進的なマシンのはずの例のやつは、検査時間が15分から20分もかかるというのだ。
頭を突っ込まれたときに、たった1回、前を見たのが失敗だった。
間近にフェイスガードの上に見える天井はすぐそばにある。
頭はすっぽりと固定されているので、下半身と足はマシンの外。
いざとなったら、頭を引き出せるはずと、自分に言い聞かせる。それとも、肩にあるこいつのせいで、頭はつっかえてでないんじゃないか?
窒息しそうだ。
それに、今、地震が来て、機械が動かなくなったらどうする?
もう1回目を開けたら、絶対に叫んで暴れだしそうだったので、固く固く眼をとじて、何かほかのことを考えようとする。
しかし、思い出すのは、ベトナム旅行でいった狭い狭いクチの地下トンネルで行列が立ち往生して、ベトナム人が騒ぐ声が頭にガンガン響いてパニックになりそうになったときのこと。
もう完全に、一種の拷問であった。
あと3分と言われてやっと我にかえり、なんとか、この検査を乗り切った。
検査技師のかたに、ちょっとぼやいたら、「今度からは、閉所恐怖症ですって言っていただいたほうがいいかもですね」と言われてしまった。
すべての検査のあと、一部の検査結果をのぞいて、「健診成績通知書」というものが手渡され、医師の説明があった。
高脂血症の治療薬を飲んでいるので、結果に要注意の印はなかった。
骨密度が同年代の平均より低いこと、石が右の腎臓にひとつあった。もし背中右側に激痛がきたら、そいつが動いたせいかもしれないので、覚えておかれたらよいかも、と言われた。
でも、今回の健診で、ふたつ大きなことがわかった。
医師は気をつかって言わなかったけれど、僕は「閉所恐怖症」であった。
今後、脳MRIの検査を受けるときには、検査技師に、はっきりとその病状を述べたほうが良いし、新幹線のトイレより狭いトイレには金輪際入らないほうが良い。
もうひとつ、ショックだったことは、身長である。
この病院の身長測定器は、脳MRIのヤツと負けず劣らずの高性能機で、自動で降りてきたアームが、頭にそっとタッチ、一瞬にして、ミリ単位で身長がわかるのだ。
そして、今回、僕の身長は169.9cmであった。
おい!
いつ、僕の身長が、170cmを切って、160cm台になってしまったんだよ!
その1ミリが大違いなんだ!
そして、そして、成績表にかかれた2006年、2008年のデーターを見て、さらに驚いた。2006年には、僕の身長は、たしかに171.4cmあったのだ。それが、2008年には170.5cmになり、ついに、今年、160cm台に突入してしまったということが判明した。
僕は、7年で、170cm台の身長の男から、160cm台の身長の男に変わってしまった。
7年で、マイナス1.5cm。
今日判明した、2つ目の驚愕の事実は、僕は着々と縮んでいるということである。
このまま順調に縮んでいけば、61才で168.4cmに、75才で165.4cmに、そして100才頃には、160cmの大台も割り、159cmになってしまうのだ!
長く生きてもろくなことはない。