バーチャル日本染織博物館っていうのは、どうだろう?
バーチャル日本染織博物館っていうのは、どうだろう?
この思いつきを、ときどき頭の隅から取り出しては、考えてみる。
常々、アンティークの染織品をまとめて見ることのできる施設がないのは、不便だと思っているのだけど、よく考えたら、ネット上でも、そういうサイトはない。
一足飛びに、リアルな博物館と行かなくても、ネットできちんと見れれば、古い日本の染織品の凄さを知ることのできる良いツールになるのではないだろうか。
もちろん、日本語、英語の両方で読めるようにして、海外向けの発信に注力する。
大枠は、こんなことになるだろう。
(1)アンティークの染織品の逸品だけを、ネット上で展示し、英語・日本語の説明文をつけて紹介する。(英語はネイティブでかつ学術的に正しい言葉で)
(2)品目については、一級の染織品を持つ、コレクター、古裂ディーラーのものをお借りして、撮影する。
(3)そのコレクター、ディーラーの紹介もきっちりと行い、連絡先も明記する。
(4)出品商品の選定、説明文のコメントなどは、数人のチームで行い、出品商品のレベルの維持、正確さの保持に務める。
(5)販売の意思のある商品は、「販売可」という表示をつけ(値段はつけずに)、出品元に連絡をとって交渉することもできる。
(6)もちろん、一品目あたり、写真は多数掲載する。繊維組織の拡大写真も掲載する。
我社、ICHIROYAは、海外向け、日本向けにアンティークのネット販売をしている。
とくに、海外ではそれなりに知られていると思う( たとえば、アメリカで、Google検索をしたら、「Kimono」で2位。たくさんの海外の着物コレクターのお手伝いをしている )
なので、上記のようなことを、もし、するとしたら、一番近い位置にいるような気がする。
つくったサイトをネット上で充分に露出することは難しくない。
ご高齢のある一級のコレクターのかたから、自分のコレクションをネット上に、公開したいというようなご相談を受けたこともある。
だが、もちろん、課題はある。
一番は、経費だ。
ホスティング経費 5万円
事務所経費 10万円
人件費 英語担当 20万円
写真ほか担当(2名) 30万円
運賃ほか雑費 10万円
月に200点程度の出品をするとして、ざっと最低ラインで考えても、月80万ぐらいはかかりそうだ。
もちろん、当初、サイトの構築とデザインワークに200万ぐらいかかるだろう。
月80万でも、年間にすると、1000万近くなる。
この金額を景気の動向にかかわらず、コンスタントに負担しないといけない。
しかも、長期に渡って。
(5)に書いた販売で、いくらか出品者に持ってもらったら良いではないか、売れた場合、売上の何割かをいただきサイト運営費に当てればいいではないか、という考えもある。
ただ、それでは、売上・収益がメインのサイトに変質していく危険がある、と思うのだ。
しかも、売上を把握するために、サイトの仕組みや契約、日常業務が複雑になってしまう。
販売もできる、ということで、コレクターの方に、出品意欲を高めてもらう、ということに留めておいた方が良いような気がするのだ。
ほかに、収益を得る方法としては、
(A)宣伝・広告の枠をつくって売る
(B) 博物館のミュージアムショップのように、販売サイトを付随させる
などが考えられる。
広告収入はある程度見込めるとは思う。でも、月80万は、この種のサイトのには、桁外れに大きな金額だ。
(B)の場合は、純益で80万を残す必要があり、そのための人、サイト、事務スペースなども必要になる。こちらのほうは、無理ではないが、サイト本体にかけると同様な汗と知恵を絞る必要がある。
色々考えてみるのだけど、そこで考えが行き詰ってしまう。
それにしても、日本っていう国は、不思議な国だ。
布に対する愛情が、どの民族より飛び抜けている。
いまでも、産業革命以前のインド更紗などが、古い蔵から、ぽろっと出てきたりする。
諸先輩がたが溢れんばかりの愛情と執念で集めた日本の古裂の数々、海外から渡ってきて大切にされてきた渡りの布たち。
それらにもっと光を当てて、広く世界の、日本の人たちに見てもらう方法はないのか、うまく保持する方法はないのか・・
なかなか答えは出ません。
( 写真は アンティーク 鳥づくし刺繍丸帯 逸品でやんす!)