順調に伸びている今だからこそ、なにがなんでも新事業を成功させなければ!
僕らが国内向けの販売を始めて5年経つ。
おかげさまで多くのお客様に支えられて、順調に売上は伸びている。
まだまだリサイクル着物のマーケットは大きいので、伸びる余地はあると思っているが、着物そのもののマーケットのサイズが3000億円程度だから、リサイクルでかつネット販売の規模は限定的である(100億程度という話も聞いたことがあるか、はっきりとはわからない)。
なんとなく、このままがんばっていけば、順調に伸びるような気はする。
だけど、冷静に考えてみれば、新品のマーケット、とくに高級呉服のマーケットに明るさが見えないだけに、何年かのうちに、うちの伸びも頭打ちになることは確実である。
5年の間には、多くのものが劇的に変わった。
ネット関連の機器やSNSなどはもちろん、リサイクルやアンティークの着物の仕入れ現場を見ているだけでも、取引価格の変動にはすさまじいものがある。
2年前なら数万円が当然だったものが、1万円ぐらいになってしまったものは、ざらにある。
日々肌で感じるのは、とにかく、出てくる着物の量に比して、需要が少なくなっているということだ。
需要がないので売れない、そのため、一部のものを除いて、価格の下落がきつい。
かつて、海外向けだけで商売をしていたころ、リーマンショックでみるみる売上が縮小した。
売上が対前年9割になる、かつ、為替が9割になる。つまり、収入は81%になる。
目の前に見えているものは緩やかなのだが、それが3年も続くと、50%を割ることになる。
それまでたイケイケだっただけに、そういう状況になると、次のことを考えるのがとても難しくなる。
海外向け専業から、国内向けの販売も始めることぐらいは、簡単なことに思えるかもしれないが、売上がみるみる減少している時はそんなことも難しい。
僕の場合、3年ぐらいはその状況で海外向けにしがみついて、なんとかしようともがいていた。
あの時の体験は忘れられない。
いま、痛感している。
だからこそ、売上の伸びている今こそ、事業の次の芽を育てる必要がある。
あの時のように売上が下がり始めたときには、次の事業を探すのはとても難しい。
新しい事業には、おかげさまで満額の補助金がおりることになった。
この事業は、「失敗してもよいトライアルのひとつ」ではなく、「うちの会社が生き残り、成長を続けるためには、なにがなんでも成功させなければならない取り組み」である。
アンティークの復刻の着物などを提供するサイトを冬にはオープンさせ、近いうちにオンデマンドベースに持っていきたい。
かならず、成功させる。
photo by Philippe Put