ICHIROYAのブログ

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出版社社長Sさんへの手紙

Sさま

おはようございます。お返事遅くなり申しわけありません。
早い段階で、商業出版のレベルに達していないと判断できたにもかかわらず、長い文章に最後までおつきあいいただき、ほんとうにありがとうございました。Sさんの仕事は、何を読むことに時間を使うかということが、とても重要なことだと思います。にもかかわらず、最後まで読んで頂き、詳細な批評をいただけたことを、深く感謝しております。

さすがに、へこみました。
しかし、書いているものにとっては、専門家の率直な意見は、得難い宝です。
たしかに、プロットも人物造形も稚拙極まりないものだったのだと思います。
考えてみれば、何かを書いている時間はそれなりに作ってきたものの、「小説を書く」ということに関して、充分な時間を割いてきたとは言えません。小説を舐めるなということでしょう。何事かに習熟してプロレベルになるには一万時間の練習が必要という言葉が今更ながらに頭に浮かびます。

夢を追った多くの人たちと同じ迷いの中にいます。
ある程度時間を「小説を書く」訓練に割き続けるのか。
本業を持ちながら、1万時間を達成するためには、10年はかかるでしょう。
かといって、それを達成する才能が欠けているのではないか、10年かけて小説の商業出版ができたとして、たいしたものは書けないんじゃないか、それならいっそ、筆を折って、ほかのことに時間をかけたほうが、社会に貢献できるのではないか、自分にとっても残りの人生が有意義な楽しいものになるのではいか。
いや、しかし、それが楽しいなら、それでもいいんじゃないか・・・


しばらく、迷い続けようと思います。
いまは泥の中に深く沈んで見当たらないやる気も、やがては水面に立ち上がって、どの方向を目指すのか、見えてくるのかと思います。

ほんとうにありがとうございました。