たまには本業の着物の話も聞いてください~スピッツの訪問着に帯!
今の若い人は、スピッツという犬を知らないのではないだろうか。
昭和20年代から30年代に大流行した犬で、僕の近所でもよく飼われていた。
なぜスピッツに人気が集まったのか知らない。よく吠える犬ではあったことを覚えている。
この帯はそんな時代、皆がスピッツを愛していた時代につくられた半襦袢(下着)のデザインを帯に転用したものだ。
カジュアルな着物で有名な居内商店さんが作ってくださった。
ダミ声で、「すみません!」が口癖の居内さんが、「すみません!」と12回ぐらい言いながら、この半襦袢を貸して欲しいと言われたので、こんな半襦袢をどうするのかなと半信半疑で送った。
すると、
「すみません!できました!最高の出来です!すみません!」と送ってきてくださったのが、この画像だ。
なんだか狐に、いや、居内さんの風貌はどうみても、狸なのだが、それでもやっぱり狐につままれた気分だ。
こんなかわいい訪問着になってしまっている。
京袋帯にもなっているし、半幅帯にもなっている。
その後、現物も見せてもらったが、ポリエステルでも以前より良い素材を使い、以前にトライしたものより、格段に良い仕上がりになっている。
居内さんの説明によると、インクジェットプリントの精度がますますあがり、かつ、居内さんがここ何年も改善に工夫をかけてこられたおかげで、
「発色の良さ」
「紙へのプリントとの色の誤差がほとんどないこと」
「大手のインクジェットプリントに比べて、はるかに小ロットでプリントしても採算性が高いこと」
「注文から納品までを驚くほど短期間に設定できること」
「サイズバリエーションによるデザイン変更がソフトによって瞬時にできること」
などが、以前に比べてはるかに進歩したということだ。
そして、この分野で居内さんがトップランナーであることは誰も否定しないだろう。
どうやら、居内さんは、ひとつの壁を越えたという確信をもたれているようで、いくつかのプロジェクトを立ち上げておられ、僕もそのプロジェクトに参加させてもらっている。
もちろん、本格的な着物を製作したり、販売しておられる方や、図案家の方からすれば、「これは着物なのか?」という意見もあるだろう。
しかし、本格的な着物は着物。
若い人に気軽に着てもらえる、試してもらえる、とにかく馴染んで身近にしてもらうための着物も着物である。どちらかと言えば、それは洋服の感覚に近いものになり、居内さんが作っておられるようなこういう着物も、そういった着物のひとつだと思う。
ちなみに、訪問着の発売と価格は未定だが、京袋帯(21,600円)と細帯(12,960円)は10月上旬発売予定で、弊社でも予約を受け付けている。(まだページを作っていないのでメールください)
今回のプロジェクトには、僕もかなり凄いことになるのではないかとドキドキしており、実際、予想を超える広がりを見せ始めている。
居内さんとは、落ち着けば、こういうものが必要な呉服店さんに卸もしたいねと話しており、そういう広がりも期待している。
そんなこんなで、僕はブログばかり書いているわけではなく、着物の仕事もしているので、応援よろしくお願いします!