僕のギターが上達しなかったわけ~ギター上達のコツと受験のコツが似ているという話
僕は中学生の頃、勉強が嫌になって、夜中に母親の枕元に座り、高校受験はやめてギタリストになると言った。
もちろん、今では笑い話の子供の戯言であったが、しかし、それほど思いつめている割には、僕のギターの腕前は友だちのなかでも中の下であった。
そもそも、一番うまい友だちのようにミミコピができず、楽譜のない曲を弾きたいと思った時には、ミミコピをした友だちから運指のすべてを教わる必要があった。
でも、ギターが上手くなりたい思いは強く、どうやったら上手くなれるのか途方に暮れていた。
たまたま、 Bryan Bakerさんというギタリスト・作曲家が、The Top Ten Ways To Improve Your Guitar Playing Now(ギター上達のコツ・トップ10)という記事をMediumに上げておられ、ああそうだったんだなと至極納得した。
それを仔細に知りたいかたは元記事にあたっていただくとして(ちょっと読みにくい英語ですが・・・汗)、その10のコツとはこんなリストであった。
10.練習の目的を明確にすること
何が演奏したくて練習しているのか、毎日の練習のときに明確にして取りくむ。
音楽はクリエイティブだけど、演奏はクリエイティブではない。それは何日もかけてゆっくりと山に登るようなもの。地図とゴールなしに歩くことは無意味。
9.テクニックとは筋肉のメモリーと反復のコンビネーションである
早く弾けるようになるのに秘密はない。純粋な身体能力で、それは長い練習時間、練習への没頭によってのみ達成される。私の場合、12才から18才までの6年間、毎日休憩なしで12時間練習した(ほかに何もする時間はなく、睡眠時間は4時間だった)
8.ヘッドフォンをつけずに練習する
7.練習するときは立ち上がってする
自分が将来座って演奏するスタイルをとるつもりなら、座って練習する。立って演奏したいなら、立って練習すべき。
6.どんなギターだろうがアンプだろうが問題ない
5.すべてのコードをどこでおさえていようが、転回できるようにする
私は20の「E」を、ネックの上から下まで使って出すことができる
4.ハンドポジションによる音の違いに鋭敏になれ
3.ピックにこだわれ
2.練習中には、メトロノームを。メトロノームの刻むリズムは神!
1.自分が上手く弾けるようになると固く信じること
さて、このリストを読んで、なるほどと思った。
やはり、何事も長く辛い練習を経なければ達成できないし、また、それをきちんとやり抜きさえすれば、僕だってもう少しギターが上手く弾けるようになっただろうし、ほかのこともできるようになっていただろう。
そういえば、昨日、子供さんのおられるお母さんから、どうやって勉強したら京大に入れますかと訊ねられた。
まず言っておかなければならないけど、35年まえの京大農学部は今より難易度は低かったと思う。僕は現役時代には受験に失敗し、1年浪人してやっと合格したのだが、浪人中のとくに最後の半年ぐらいは、それまでの自分からは考えられないほど長時間勉強したし、そのとき、いくつかコツをつかんだなと思った。
昨日、そのコツらしきものを伝えたのだが、よく考えたら、それも Bryanさんのコツに似ているのだ。
勉強も、とくに受験勉強は、「頭の神経細胞のトレーニング」こそが、高得点を生む分野があると思う。
結局、ギターにせよ、受験勉強にせよ、それを修得するコツは、あまり変わらないのだなという印象を強くもった。
僕のアタマは、現役で東大法学部に合格できるようにはできていない。
だから、そんな人には無縁のアドバイスかもしれないけど、僕程度のレベルの人には参考になるかもしれないので、恥ずかしいけど書いておく。
4.目標と地図を明確にした
浪人中に志望校で迷ったのだが、結局、京大農学部に絞った。私学は受けるのはやめて、当時あった国立二期校にのみすべり止めで出願した。
そう決めて京大農学部の出題傾向などを調べた。いまはどうか知らないが、たとえば日本史は、ある教科書から95%出題されていることを知った。つまり、日本史は、その教科書オンリーで1冊まるまる理解して覚えてしまえば、必ず95点はとれるということである。
もともと国語は比較的得意で、英語や日本史などの暗記ものはやりかたがわかったのだが、数学はどうやってもコツがわからずじまいだった。
結局、数学の点数アップは時間効率が悪いと判断して、途中でかける時間を減らしたのだが、その戦略は正解だった。
志望校を絞って、目標と地図が明確になったら、勉強のやりかたがはっきりと定まったのである。
3.時間をかけた
浪人の最後の半年は、毎日十数時間勉強して、痔になった。
それまでの僕とあまりに違うので、両親が逆に心配したほどだ。
試験のときにはおしりが痛くて座っていられないので、座布団を持っていった。
2.試験当日に頭の中の記憶量が最大になるようにスケジュールを工夫した
たとえば、その日本史の教科書をまるまる覚えたし、これと決めた英語の熟語集とか単語集をほとんどまるごと覚えた。語呂合わせとか様々な工夫をしたが、一番注意したのは、とくに2年目に注意したのは、試験当日に最高の記憶量になるように勉強のスケジュールを工夫したことだ。
覚えようとしたことを忘れないように、いったん覚えたことは、たとえば、3日後、1週間後、1か月後などと、決めた間隔で必ず目に触れるようにスケジュールを立てた。
1年目は、覚えようとはしたが、覚えることの膨大さに途方に暮れていたような状態で、試験当日に覚えているかどうかは、出たとこ勝負と思っていた。
当時から僕は記憶力がいい方とは言えなかったので覚えることは苦しかったが、そうすると、なんとか記憶に刻むことができた。そして、試験当日に、覚えているべきことは覚えているという自信があった。
1.かならず合格すると信じた
国立二期校のすべり止めはあったが私学は受けず、万一2連敗すると、二浪に突入である。もちろん、怖かった。だけど、絶対にできるはずと、自分を信じた。
また、いくつかの本を信じた。早い目に信じる本を決めたら、ほかの本に目移りしたりせず、その本を徹底的に読み込んで覚えた。
(ブコメいただいたので、追記)暗記の方法については、とくに変わった方法ってないと思います。それこそ、ギターの練習と同じじゃないでしょうか。僕の場合、語呂合わせを徹底的に考えるとか、同じ本を線やマークだらけにしながら使うとか、自作のまとめのノートを作ってそれを聖書みたいに大切に使うとか、普通のことしかしていません。でも、2年目の勉強は、細かなスケジュールを立てていたので、なんだか輪唱を歌うような感じで、いろいろな科目のいろいろなところを次々に見かえしてました。たとえば、英語熟語のテキストを例文を含めて丸暗記記したんですけど、そのテキストはたしか、通しで読んでまた最初に帰るようなやり方ではなく、5分割ぐらいにして、それぞれのところから読むような感じにしていたと思います。で、やっぱり記憶量は、脳にさらした時間に比例するので、暗記物で勝負しようとすると、勉強時間は長くならざるを得ないと思います。(ふつうは)
ひょっとして、受験生にこの記事が届いたら・・・頑張ってくださいね!
受験勉強だって、ギターの練習と同じです!
photo from Amgad Fahmi