ハロー!永ちゃん
『永ちゃん』はかっこいい。
一般的に、最高にかっこいいオヤジとみなされている。
その割には、僕の周囲には『永ちゃん』の音楽が好きだというヤツはいない。
いや、昔、大学生の頃、たったひとりいた。
車にYAZAWAのシールを貼り、頭をリーゼントに固めて、80㎞でカーブに突っ込んで車をぶち壊し、オンナばかり追いかけていたKという男だ。
いまもYAZAWAのファンなのか、80Kmでブレーキもかけずにカーブに突っ込んでいるのか知らないが、生きていれば、あいかわらず超人気者だろう。
キャロルの「ファンキーモンキーベイビー」にぶっ飛ばされたのは中学生の頃だった。
しかし、その後は、サザンオールスターズだったし、浜田省吾だったし、RCサクセションだったし、ローリング・ストーンズやエリック・クラプトンだった。
もし、合コンで相手の女の子が「永ちゃんのファン!」とでも言おうものなら、即座にパス!であった。いうまでもなく、向こうでもパス!なのではあったのだが。
矢沢永吉というアーティストは、僕にとってはそういう存在だった。
キャロル時代の1枚を除けば、たった1枚のレコードもCDも持っていなかった。
でも、最近、突然、『永ちゃん』が聴きたくなった。
今年の正月に、小学校・中学校の小さな同窓会に誘ってもらって行ってきたのだが、ちょうど、あの場で再開した古い友人たちに感じたような思い。
40年以上も、それぞれの違う道を歩み、お互い大変だったけど、やっぱり、みんなあの頃のまんまで、同じ時代を戦ってきた、生きてきた仲間だったんだな、っていう感じ。
『永ちゃん』は1949年生まれなので、ちょうど僕より10才兄貴にあたるのだけど、そんな同窓生と同じように感じるのだ。「ファンキーモンキーベイビー」以来、消息だけはたまに聞くけど、住む世界も好みも全然違う、でも同じ時代を生きてきた同級生みたいに。
そんなことで、じつは、きのう、「キャロル」解散後はじめて、矢沢江吉のCDを買ったのだ。3枚組の『ALL TIME BEST ALBUM』を。
シールはついてこなかったので、ダッシュボードやテールにシールは貼っていないけど、車のハードディスクにはすべて録音されて、今車にのれば、必ず『永ちゃん』の曲が流れるようになっている。
wikiの矢沢永吉のページを見て、今更ながら『永ちゃん』の凄さに驚いたのだけど『永ちゃん』ファンなら当然のごとく知っていて、僕が知らなかったことをいくつか発見した。
*身長は180㎝もある!
*ほぼ全曲の作曲をしているが、ほとんど作詞はしていない。
*自作の曲「アイ・ラヴ・ユー、OK」のテープを東芝EMIに持ち込んだが「売れない」と断られた。
*「ロックに詳しい層から見ればダサいモノであっても、本当に自分の内面から生み出した音楽をやる。そうでなければ、恥ずかしくて人前に出られない」という趣旨の発言をしている。
ちょうど、僕の今のクルマは、サーキットでまともに走れるようにと、車高も低めだし、タイヤは少しハの字型についている。
そして、車内では、いつも『永ちゃん』。
で、ノーブレーキでカーブに突っ込んだあいつみたいに、ちょっとだけ、向こう見ずなオトコになった気分を楽しんでいる。
というわけで、いまの僕は、「ハロー、永ちゃん!」なのである。