(続報)ところがどっこい、町の本屋さんは、死なない
9月に「ところがどっこい、町の本屋さんは、死なない」という記事を書いて、アメリカで独立系書店ががんばっているらしいという話を紹介した。
それに関連した話をときどきネット上で見かけるのだが、今日、もう少し詳しく事情のわかる記事をみつけたので紹介したい。
Bookstore trilogy sprouts in Bloomfield(ブルームフィールドで本屋3兄弟発育中)
コメントでご指摘いただいたように、あくまでアメリカの話であり、日本にそのまま置き換えて考えることができるかどうかはわからない。
だけど、日本の本屋さんにとって、また、本屋さんを利用させてただく僕らにとって、参考にはなると思う。
さて、ブルームフィールドはピッツバーグのリトルイタリアとして知られているが、この2年間で3軒もの独立書店が開業した。
なぜ、そんなことがおきたのか、書店オーナーに尋ねてみると、いくつかの理由がありそうだ。
それは、家賃がとにかく安いこと。通行人が多いこと、そして、若く教育レベルの高い人たちが多く住む地区(オークランド、シャディサイド、ローレンスビルそしてブルームフィールド)に近接しているなどである。
米国小売書店協会の会長さんは、じつはこういった”ご近所本屋さんブーム(neighborhood's book boon)”は全国的なトレンドになりつつあるという。
その成功は、お店の大きさではなく、どんな本を集めて売るのかということにかかわっている。
また、独立書店がブームとなっている要因として、いくつかの点を上げている。
- Buy-Local Movementが広まっていること(自分の町で買って、自分の街を支えようという機運)
- かつては大手書店だけしか利用できなかったposなどの販売管理テクノロジーが安価で手にはいるようになったこと
- SNSによる販売促進が可能になったこと
- シニアの起業精神が盛んであること
この3軒の書店は、お客様をお互いのお店に紹介しあっており、合同で”本屋まち(bookstore row)”というフェイスブックページもつくっている。
それぞれにフェイスブックページもあるので、そこからどんな本屋さんなのか、下記に紹介した。
店主のひとりのレインさんは言う。
「本屋を開くことは怖かったし、いまでもナーバスになるわ。でも、それはちょうど、今からはじまる素晴らしいランのスタートのポーズをとっているようなものなのよ」
素敵な言葉、胸の熱くなる言葉ではないか!
彼女たちのランが向かう先が、半分バーチャルに吸収されてしまった無機質のような町ではなく、雑多で不器用な、それでも豊かで静かな文化の薫りのする町であることを切に望みたい。
East End Book Exchange
Ms.レインさんが、数カ所のワゴン販売からスタート。1年前に、Liberty Ave.に店鋪開業。
移動販売をしていたとき、自分に問いかけたという。
「なぜ、本屋さんを開業しないの? 私は本が好きで、私は本についてみんなと話すのが好きなのに」
読書会、作家のレクチャー、ビンテージ・セール(古い本やアンティーク雑貨を販売する)などを行っている。
また、Foul Weather Promotionというイベントでは、良い天気の日に本を買うと、店主からハグ!のプレゼントがいただけるらしい!
The Big Idea Bookstore, Inc
2001年創業。しばらくは移動店鋪で販売。Millvale Ave.に店鋪開業。その後、Liberty Ave.へ移転。
カフェが併設されており、カードやそのほかのアイテムも売る。
社会正義、哲学、ニヒリズムなどに関する書籍が多い。
The Muse Stand
店主トレーシーさんは法律関係の仕事を辞めて、今年5月、The Muse StandをLiberty Ave.にオープン。
この地区の本屋さんは3軒目になった。
ほかの2店の邪魔をしたくないから、古本は扱わないとトレーシーさんは言う。
文学、芸術、科学などの雑誌や古典文学を中心に販売している。
MuseStandで提案されているクリスマスシーズンのアイディアが素敵だ。
子供か孫に25冊の本を買ってプレゼントする。それを写真のように積み上げて本のクリスマスツリーにする。そして、クリスマスが来たら、毎晩ひとつづつ本の包を開いて、子供に読んであげる
こんな読書・サイン会にも参加している。
ピッツバーツの5つの書店での読書会&サイン会(一日で)