話題のスーパー電気自動車「テスラ」か「GTR」、どっちを買おうかな
by jurvetson
一年に何度か、海外のお客様を直接事務所にお迎えすることがある。昨日来られたAさんは、ハワイから。
もちろん、着物を買いに来てくださったのだけど、ひょんなことから車談義になった。
「テスラを買ったのよ!まさに、未來の車だわ、最高にクールよ!」
テスラと言えば、アメリカの有名な電気自動車である。
たまたま、先日、充電ステーションがどんどん増えており、西海岸から東海岸へのドライブも便利になったというような記事を読んだばかりだった。
値段は、数百万円から1千万円超え。バッテリーの持ち時間やオプションで異なる。
だけど、そんな金額を出すのなら、まあ、ないけれど、宝くじでもあたって買える状況になったとしたら、迷わずGTRを買う。
そもそも、車なんて、エンジンの振動やマフラーから出る音を楽しみながら走るもので、無音で走るものなんて、「クルマ」じゃない。
だいたい、環境に良いと言われても、ほんとうなのかどうか、懐疑的にならざるをえない。
こちらの記事によれば、さほど、二酸化炭素の排出量が少ないわけでもなく、ほんとうにそれを少なくしようとすれば、原子力発電か太陽光でつくった電気を使用せねばならない。
Aさんのその部分の話は聞き流したのだけど、「めちゃくちゃ早いのよ!交差点で並んだとき、凄い優越感!」っていうところで、ひっかかった。
早い?
電気自動車が?
静止状態から100m、何秒で走れるかというのが、加速力の尺度になっていて、それをちょっと調べてみた。
GTR 3.65秒
フェアレディZ 5.1秒
ランボルギーニムルシエラゴLP640 3.4秒
ポルシェGT2 3.7秒
で、Aさんが持っているテスラSという、いま一番売れている5人乗りの車種のそれは、4.2秒なのだ。
彼女がその車で、フェアレディZと並んだとしても、思いっ切り踏み込めば、らくらく置いていくことができる。
ちなみに、ロードスター(オープンタイプ)であれば、それはたったの3.7秒。
さすがに、ランボルギーニにはかなわないけれど、ポルシェの最高車種と肩を並べるのだ。
僕の愛車は、マツダロードスターNC。
運転の楽しい車という評価は高いけれど、悲しいかな、遅い。
なんと、7.9秒。
Aさんと交差点で並びたくはない。
・・・
突然、Aさんのテスラが羨ましくなってきた。
熱の入ったAさんの話は続く。
「計器類のかっこいいことったらないわ!大きな画面がついていて、しかも、iPhoneのアプリでいろんな操作ができるのよ!」
by jurvetson
おおっ!ほんとだ。
縦長の巨大なディスプレイがついている。
なんでも、このタッチパネルで操作するそうだ。
そして、iPhoneにアプリをダウンロードすれば、たとえば、エンジンを乗る前に始動させておくとか、多くのことが車外からできてしまう。
「でも、笑えることも起きるわよ。たとえば・・・」
あるとき、運転中のエアコンが急に止まってしまったらしい。
エアコンのないまま家に帰って理由が判明した。彼女の息子さんがアプリを自分の携帯にもダウンロードしており、そのアプリで、運転中のママの車に悪戯をしたのだった。
テスラの車の取っ手は、極力空気抵抗を下げるために、収納式になっている。
収納中は、外から取っ手に手をかけて、ドアを開けることができない。
あるとき、彼女はお嬢さんを迎えにいって、後ろに車がつかえて、急いで乗せないといけない状況になった。
慌てて、取っ手を出そう、ドアを開けようとしたけど、タッチパネルを操作しても、そのボタンに到達せず、パニックになってしまった、という。
ともかく、彼女の話を聞いていると、素晴らしい車のようだ。
たしかに、最近、もっとも権威のあるコンシューマーレポートで99点をとったということもニュースになっている。
でも、バッテリーをチャージするのに、時間がかかったり、ステーションがなかったりするんでしょ?
僕は悔し紛れに突っ込む。
「だって、ハワイだもん!長距離走るほどの広さは、もともとないわ。家に帰ったらコンセントをさしておくだけ。翌朝は、マンタンよ」
なるほど。
たしかに、ハワイでは、電池切れの心配はないかもしれない。
彼女の話によると、現時点で、70台のテスラがハワイにあるそうだ。
しかし、アメリカ本土でテスラに乗っているひとのブログなどを読むと、バッテリーの電気切れには苦労しているようだ。
テスラのWebサイトによると、1回の充電で走行可能な距離は、245 マイル = 394.3 kmとなっており、東京~名古屋間の高速325kmを軽々とオーバーし、充分なように思える。
だが、室内の冷暖房を点けるとその距離は大幅に短くなるようだ。また、スピードも80㎞程度に抑えないと、効率が悪くなり、走行距離は短くなるようだ。
このブログには、電池切れで立ち往生しないためのコツが、中には涙ぐましいまでのコツが、書かれている。
*最初は安全をみて、30kmぐらいまでの走行計画を立てたほうが良い(カタログ値はともかく、現実の路上では、渋滞や道に迷ったり、予想もしない悪天候などもある)
*早く目的地に到達したければ、ゆっくり走れ。バッテリーを長持ちさせ、チャージ回数を少なくしたほうが、結果的に早くなる場合もある( 一般コンセントでの充電には数時間かかるし、テスラが提供している公共のスーパーチャージャーでも45分かかる)
*車内外の温度に、常に気を配れ。とくに、車外が凍るように寒いとき、バッテリーの低下に注意せよ。
*安定した速度で走る大きなトラックをみつけて、その後ろを走れ。同じ電気の消費量で、約16㎞/時(10mph)早く走れる。
*地図上のチャージステーションがいつも使えるとは思うな。「来年からそうする予定だよ」って言われることもあれば、「故障中なんだ」とか、営業時間は終了しましたっていう看板がぶら下がっている場合もある。
う~~ん。
テスラは日本でも予約できる。
ハワイではBestチョイスかもしれないけれど、日本ではどうだろう。
テスラに乗っていることが、ある種のイメージ戦略になる人たちにとっては、いの一番に手に入れたい車であることは間違いないだろう。
でも、やっぱり、僕は、いましばらくは、GTRのほうがいいかな。
どっちにしても、買えないことは間違いないんだけど。
by Ciccio