「USアマゾンで売るは旬」なのか、「すでに旬を食いつくした人たちが、それをネタに食う旬」なのか?
12年前に商売を始めたとき、古着商売の先輩に言われたことがある。
「売り先と買い先は死んでも言ったらあかんよ」
僕は百貨店を辞めたばかり。
商売のことはある程度わかっていると思っていたけど、その口調があまりに厳しかったので、ああ、そういうものか、と妙に納得したことを覚えている。
昔のことを書けば、また、笑われるかもしれないけれど、12年前、初めてアメリカのオークションサイトebayに出品したとき、思いのほか、売れた。
仕入れルートがあるわけでもなく、商品知識も不足、でも、売れた。
そのとき、古い着物を出品している日本人はわずか数人。
支払いも郵便為替やクレジット決済が主で、PAYPALはまだ主力ではなかった。
わからないことがあるときは、ネットで調べてもなにも出てこなかった。
会社を辞めて、半年。
やっと手にした、生まれて初めての、利益。
これでしばらく、家族を食わすことができると、思った。
で、もちろん、仕入れにいっても、どこで売っているかは、「死んでも」言わなかった。
友人のRも、当時、僕と同じ商売をしていて知り合ったのだが、どこで売っているかは明かさず、「外国に・・・」と言ってごまかしていた。
「あの子、ヤンキーで、英語もできそうもないのに、どうやって、あんなに大量に売ってるんやろ、不思議やわ」と言われていた。
そう聞いたとき、「きっと、ebayの出品者のRだ」と思ったけど、もちろん、「へえ、不思議なことがあるもんですね」とだけ答えた。
その後、ebayは出品者も増え、ヤフオクと同じく、商売の厳しい場所になったのだけど、それは予想できたことで、僕はebayから自社サイトに商売の比重を移して現在に至っている。
ところで、最近、また、新しいネットの商売のフロンティアができているようで、気になっている。
アメリカAmazonに、日本から出品する方法だ。
これがことのほか、好調だという。
そう聞いても、うちの場合は、中古、アンティーク品なので、Amazonに出してみようかとは、あんまり真剣に思わないのだけど、新品の浴衣などは、チャンスがありそうだな、と思っている。
登録して、商品をアマゾンのFBA倉庫に送ってしまえば、あとは、アマゾンがすべてやってくれるということで、簡単至極、だという。
去年あたりから、そういった情報がネット上でもたくさんみつかるようになった。
なかには、商品の在庫も持たず、価格差を利用して儲けている人もいるようで、そういった方法を、情報商材として売っているひとも複数いる。
どいう方法かというと、アメリカのアマゾンで人気のありそうな日本商品を見つける。
たとえば、最新の炊飯器とか、CD、DVDなどだ。
アマゾンでは、出品商品にはすべて番号が振られるので、その番号をコピーして、日本のアマゾンのサイトを開き、それがいくらで売られているか調べる。
もし、アメリカのアマゾンで日本円にして1万円ぐらいで売られているものが、日本のアマゾンで5000円で売られてるものをみつけたとする。
そしたら、その商品を、アマゾンの最安値よりちょっと安い価格をつけて、自分でもアマゾンで出品するのだ。
そして、売れたら、日本のアマゾンから買って、それを、アメリカのお客様に送る。(一般的には、「せどり」という商売の仕方)
いい商売だ。
在庫リスクがない。
在庫リスクがないから、システムをつくってしまえば、無限と言っていいほど、出品数を増やせる。
ネットで見る限り、そういった価格差のある商品というのは、想像するよりたくさんあって、多くの人が儲けを出しているようだ。
しかし、去年あたりから、盛んになりだしたこの方法も、僕やRがebayで黙って利益を出していたような時期は、すでに、過ぎてしまったのかもしれない。
というのも、あまりに多くの情報がヒットするし、なかには、数百点出品しても、わずか数点しか売れない、と嘆いておられるかたもいる。
確かに、価格差の大きなものは、簡単にみつかるけど、価格差の大きなものほど、求めておられるお客様は少なく(ニーズが少ないから、価格差が高いまま放置されているとも言えるかも)、やみくもに、価格差の大きなものを出品しても、もはや、簡単には売れないようだ。
う~~ん、しかし、ほんとうのところは、自分でやっていないので、わからない。
「せどり」ではないが、特定の分野の商品をアメリカのアマゾンに出品して、よく売れているひとが複数いるという、確かな情報がある。
「アメリカのアマゾンで売る」は、ほんとうに旬なのか、「旬をすでに食ったひとたちが、それをネタに次にくる人を食う旬」なのか。
やってみなきゃ、わからないなあ!