ポイントマニアの娘婿に感じること
長女の婿は、なんというか、ポイントマニアだ。
僕はポイントカードやポイントにはあまり興味がなく、買い物をするたびに、◯◯カードもっとられますか、と聞かれることにむっとしているほうだ。
だが、彼はとにかくポイントを集めるのが好きなようだ。
たとえば、長女と彼を車に乗せていて、ガソリンを入れようとすると、なんだか知らないポイントカードを出してきて、良かったらこれにポイントつけてもらえますか、とにっこり笑う。
新幹線などのチケットも、僕らの替わりに手配してくれることも多い。そうすることでポイントが貯まるからだそうだ。
長女の話によると、とにかく彼はそうやってこまめにポイントを集めたり、それを使って安くあげたりすることが好きなようだ。
というか、それが生活の一部になっている。
かといって、ケチかというとそうでもなく、長女が欲しいものや必要なものを買うときにはスパットお金を出してくれるという。
今朝、Incのこの記事(A Millennial Mania for Discounts Is Radically Reshaping Retail~ミレニアム世代のディスカウント好きはラディカルに小売を変えている)を読んで、「そうか、彼はとくに変わっているというわけではなく、アメリカでも日本でもそういう若者が増えているのかもしれないな」と、はたと思いあたった。
Incの記事には、こんなデーターが紹介されている。
アメリカでは割引のクーポンをクーポンサイトでゲットしてそれをウェッブショップでう使うということが流行っているのだが、クーポンを使う割合は年代によって劇的に違うらしい。
18~34才 55パーセント
35~54才 38パーセント
54才以上 21パーセント
どうやらポイントや割引をうまく使うと意識は、個人差もあるけれど、年代によるものも大きそうだ。
これはアメリカのデーターだし、日本の若いひとがどうなのかはわからないが、実感としては、ポイントや割引をうまく使っている人が多いような気はする。
当該の記事には、そういったミレニアム世代の意識や購買行動が、小売の世界を変えつつあるということがいくつかの実例とともに紹介されている。
もっともエキサイティングな話としては、Jet.comというスタートアップの話で、まもなく開業するそのサイトは、会員制で(年49.99ドル)で、最安値で買えるサイトになるという。詳細はわからないが、「モノを販売して利益を得るのではなく、会費を利益とし、そのことで最安値での提供を可能にする」というようなことが言われているようだ。
Tuft & Needleというマットレスの製造直売のネットショップでは、自分たちの一般的なマットレスの原価を公開し、こそれがリアル店舗、オンラインショップでいかに利益を上乗せされているかというグラフまで提示している。(このショップはよく売れているそうだ)
(彼らのサイトから)
ともかく、価格に対する意識がかつてなく高まっていることは間違いなさそうだ。
また、ブリック・アンド・モルタルの新しい方法の模索も始まっているが、それも、現物を手にとって見ることができないネットショップの弱点を価格に転嫁せずに克服すると挑戦であるとみることができる。
たとえば、アメリカではショールーム的な店舗をオープンする例が増えてきているらしい。
そこにはサンプルだけがあり、注文するとオンラインショップの倉庫から商品は送られてくる。また、決済もタブレットかなにかをつかってネット上で決済する。
そういう形の店舗であれば、在庫コスト、お金を店舗で扱うコストが不要になる。
また、基本的にオンラインでの宣伝が行き渡っているような状況だと、リアル店舗の立地もあまり高額な商業地である必要もないので、よりローコストな店舗をつくることができそうだし、たしかにオンラインショップとの相乗効果も期待できそうだ。
将来的には、そういったショップを複数のブランドで共同運営するような店舗も出てくるかもしれない。そこでは各ブランドは売上に比例した利益をその店に落とすのではなく、出品数などで決める定額の出品料金を払うようになるのかもしれない。
これからのオンラインビジネスは、より価格に対してシビアに対応していかないと、生き残りが大変になるなと、痛感した。
そして、ビジネスのこれからを考える時、ついつい自分の感性や体験をもとにしてしまうが、自分自身ではなく、娘婿のような人を顧客像として思い描く必要があるなとあらためて思った。
photo by Maria Elena