なお、この記事は、読了後、自動消滅するソフトで書かれている!
by Karthick R
忘れてしまいたいことが、山ほどある。
けっして忘れたくないことも、山ほどある。
だけど、忘れてしまいたいことは、絶対に忘れない。
不意に蘇って、そいつのせいで、赤面したり、落ち込んだりする。
けっして忘れたくないことは、一番大事なときに、なぜか、どこかに行ってしまって、見当たらない。
そのせいで、言うべきことが言えなかったり、誰かを傷つけたり、大きな損をしたりする。
まったくもって、困ったものだ。
そいつは、僕のようなダメダメ人間特有の事情で、ふつうのひとは、そんな風に、突然、赤面したり、蒲団にくるまって死んでしまいたい、と思ったりしないのだろうか?
まあ、ともかく、もし、絶対に何も忘れないとなると、それはそれで困ったことになるので、せめて、「これはもう一生、思い出すのやめた!」っていう風に決めたら、もう思い出さずにすむ、っていう風になって欲しい。
そうなったら、僕のような恥だらけの人生も、だいぶん、生きやすくなると思うのだ。
ネット上に上げた文章や画像や動画も、この不完全な僕らの記憶と、似たところがある。
けっして、消えない。
消してしまいたいことほど、キャプチャーされたりして、生き残る。
そのせいで、人生が変わってしまったひとも多くいるに違いない。
しかし、できることなら、ネットでのこの状況も、変えたほうが良いのではないか、と思う。
できるものなら。
たとえば、こんな風に。
*ネット上にあげたり、メールで送ったりするテキストや画像は、1年で自動消失する。
*それをデフォルトに、自分で、自動消失なし~5年、10年などと設定できる。
*画像キャプチャーされたものも、消失のタイミングで、ネット上では表示できないようになる。
こんな風になっていれば、痛恨の極みの文章や画像も、少なくとも、何年か後には、失われる。
こうなれば、僕のような恥を書き散らしてきたものも、ちょっと、安眠しやすくなるというものだ。
でも、そんなことは、不可能だろうな、と思っていたら、去年、こんなアプリがリリースされていた。
Wickrというアプリを使って送ったメールは、設定時間を過ぎると、自動的に消滅する。スパイ映画ででてくる「なお、このメッセージは自動的に消滅する」を地でいくアプリである。
画像も動画も送れ、消失後のデーターは復元できないように処理される。
ただし、このアプリを使うためには、送信側と受信側の両方でアプリを使う必要がある。
あくまでメールでのやり取りの話なので、上に書いた理想からは、程遠いが、ひょっとしたら、将来、理想が現実化するかも、と思わせるアプリではある。
僕の高尚な理想とは裏腹に、このアプリは、なんだか、むふむふな用途に、重宝されていそうな雰囲気である。
しかし、受信側で、スクリーンショット撮られてしまったら、どうするのか。
この点については、アプリのページでは言及がないようである(さっと見た範囲では。もし、違ってたら、すみません)。
ニューヨーク・タイムズの去年の記事には、開発者が「受信側でスクリーンショットを撮った場合、それが送信側にわかるようにしたい」と語っていた、とあるが。
そんなわけで、また、今日も、いつか思い出して、蒲団に潜り込んでじっとしていたくなるような記事を書き散らし、ネットに公開するわけだ。
なお、この記事は、読了後、自動消滅しない。
つまらない記事なのに、まったく、恐縮の極みである。