ICHIROYAのブログ

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告白しよう~じつは、僕は「ひも」だった

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by traifan

 

師匠のマルサンさんの口癖は、
「ひもになりたい」 
であった。

しかし、マルサンさんは、その望みを果たさず、天国に行ってしまった。
いや、地獄へ落ちた、というひとも多いが、僕は、天国に行ったと思う。
ほんとのところは、どっちだかわからないが、僕もやがてマルサンさんのいるところに行き、そこで、再会するのは確実なことに思われる。

望みを果たさずにあの世へ行ったと思われたマルサンさんだが、じつは、マルサンさんの存在そのものは、どうやら「ひも」だったらしいのである。

マルサンさんだけではない。
僕も、あなたも、じつは、「ひも」の集合体らしいのだ。

 



 最新号のNewtonの表紙にひきつけられて、買った。
メインの特集は「1時間でよく分かる! 超ひも理論」である。

若い頃、自分がなぜ存在するのか、宇宙の果てはどうなっているのか、宇宙はなぜ存在するのか、不思議で不思議で仕方なく、物理学の最先端を紹介する本をよく読んだ。
どうやら、それを理解するためには、高次の数学の知識が必要とされるので、いったんは数学に挑んだが、頭がついていかず、ほんのさわりで挫折した。

しかし、科学解説書を読んでも、理解するのは難しかった。
当時も、その最先端は、「ひも理論」であった。
が、イメージがわかない。
モノを拡大して見ていくと、やがては、小さな粒となり、その粒もよくよく拡大すると、粒からできており、その粒の周りを、また小さな粒が回っている。
このあたりまでは、想像力がついていく。


しかし、それらは、じつは「ひも」なのだ、と言われると、それは、ついに想像力の到達できる、さらに向こうへ、行ってしまうのだ。
「ひも」ってなんなんだよ。
また、あれかい?
単なる波であり、物質でもある、とか?
それは、比喩にすぎないの?

ところが、想像力が追いつかないうちに、「ひも理論」は、いったん、下火となった。
1980年ごろには、すでに「ひも理論」は過去のものとされ、いわば、ゲテモノ扱いをうけていたのである。
やっぱり、そうだよね、僕は胸をなでおろしていた。


が、いつの間にか、「ひも理論」は「超ひも理論」として生き返り、物理学のど真ん中の最先端にいたのであった。

Newtonを読んではじめたわかったのだが、この「ひも」は、文字通り、「ひも」としてイメージしてよいのである。
つまり、すべての物体は、素粒子からできているけど、その姿は、文字通り「ひも」状なのであった。

たとえば、マルサンさんの身体は、細胞からできており、細胞は分子から、分子は、原子から、原子は素粒子からできているが、その一番小さな単位まで拡大すると、その姿は、「ひも」状に見えるはずなのである。
単なる比喩ではなく、マルサンさんの身体は、文字どおり、「ひも」状のものからできていたのだ。

最先端の理論によれば、この宇宙は、輪ゴムのように閉じた「ひも」と、閉じていない「ひも」からできていてるそうだ。
そして、また頭が混乱するのだが、閉じていない「ひも」は、われらのいる空間をくまなく満たしている「膜のようなもの」にくっついて、離れることができないのだ、という。
 

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by Paul Russell 


まあ、ともかく、現在のところ、こういった「超ひも理論」が、一番、世の中をうまく説明できるらしい。

宇宙存在の謎を解き明かす方法として、人間は、ふたつのツールをもっている。
量子論」と「一般相対性理論」である。
量子論」は、素粒子などの極限に小さな世界を説明する。「一般相対性理論」は 、星や宇宙の歴史など、極限に大きな世界を説明する。
現在のところ、このツールは別々に使われていて、それぞれ、極小の世界と、極大の世界をうまく説明するのだ。

しかし、この世が、「極大の宇宙」と「極小の宇宙」の別のものからできているはずもなく、どちらをも矛盾なく説明する理論があるはずである。
超ひも理論」が、それを可能にするのではないか、との期待が高まっているのである。

超ひも理論」が、
なぜ宇宙が存在するのか、
宇宙の始まりと終わりはどうなるのか、
われらが住むこの宇宙以外にも、宇宙は存在するのか、
そういった謎を、うまく説明してくれるかもしれないのである。

ま、宇宙の謎はともかく、現段階で、はっきりしていることは、できる嫁さんを持ち、ぷらぷらしている誰かをうらやんで、「あいつはひもだから」などと言ってはいけない、ということだ。
僕らも、すでに、めでたく、「ひも」なんだから!
 

エレガントな宇宙―超ひも理論がすべてを解明する

エレガントな宇宙―超ひも理論がすべてを解明する

Newtonの特集の元になった本。未読ですが、おもしろそう!