ICHIROYAのブログ

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舞妓さんの豪華刺繍半衿を見て、凡夫の僕が思うこと




さて、これが何か、昨今の男性諸君はおそらく知るまい。
舞妓さんが使った襟である。
舞妓さんは、揚げをした裾引き振袖を着て、だらりの帯を締め、襟元からこういう赤い襟をちらりと見せるのである。

これがいかに贅沢なものか、詳細に写真を見ていただけばわかるかと思う。
赤の縮緬地に、白や金の糸で、盛り上がるように刺繍が施されて、柄が形づくられている。
いったいこれだけの刺繍をするのに、どれほどの時間と修行が必要なのだろうか。

そもそも、この襟は、着物の襟の下につけて、わずかに端が見えるものだ。
そのために、ここまでの手間をかける必要があるのか。
また、襟は、どれほど注意して着ても汚れるものだ。
なにも、それを、よりによって白い糸で、気の遠くなるような時間をかけて、縫うことが、労力に見合うほど、美しさに寄与することなのか。

それでも、こんな襟をつけるところが、舞妓さんの舞妓さんたるところなのだ。
襟ひとつにこれほどの魂が込められている。
全身をおおうあの豪華な舞妓さんの衣装には、いったいどれほどの情熱、労力、職人の経験、伝統がこめられているだろうか。
気が遠くなる。
それは、豪奢を楽しむ男どもと女達のひとつの到達点なのだと思う。


しかし、もちろん、舞妓さんの有り様も、昔とは様変わりしたようだ。
昔のような旦那さんは、もう日本にはいない。
一式数百万円と言われる、舞妓さんたちの豪華な衣装も、いまでは、そうそう新調できないだろう。

この舞妓さんたちの文化を、のちの時代につなぐには、誰かが、がんがん稼いで、毎夜のごとく、祇園で宴会をするしかない。


もちろん、僕には無理だ。
僕はマジメ過ぎて遊びを知らない人間なのだ。
その点、中国共産党の幹部たちは凄い。
民衆のため国のためとか言いながら、裏では蓄財に余念がない。
ツボにはめてやれば、彼らが舞妓さん遊びに狂い、「元」を振りまいてくれること確実である。

それはさておき、やはり、舞妓などの花街の文化は、清濁の渦のなかにしか育たない気がしている。
古き良き時代に、それを支えた、もっともクールな男は、なんといっても、政治家、三木武吉であろう。
Wikiに、彼の経歴と有名な逸話が詳しく載っているので、興味のあるかたは、ご覧いただきたい。(→こちら

下記は、Wikiからの転載である。

*選挙中の立会演説会で対立候補の福家俊一から「戦後男女同権となったものの、ある有力候補のごときは妾を4人も持っている。かかる不徳義漢が国政に関係する資格があるか」と批判された。ところが、次に演壇に立った三木武吉は「私の前に立ったフケ(=福家)ば飛ぶような候補者がある有力候補と申したのは、不肖この三木武吉であります。なるべくなら、皆さんの貴重なる一票は、先の無力候補に投ぜられるより、有力候補たる私に…と、三木は考えます。なお、正確を期さねばならんので、さきの無力候補の数字的間違いを、ここで訂正しておきます。私には、妾が4人あると申されたが、事実は5人であります。5を4と数えるごとき、小学校一年生といえども、恥とすべきであります。1つ数え損なったとみえます。ただし、5人の女性たちは、今日ではいずれも老来廃馬と相成り、役には立ちませぬ。が、これを捨て去るごとき不人情は、三木武吉にはできませんから、みな今日も養っております」と愛人の存在をあっさりと認め、さらに詳細を訂正し、聴衆の爆笑と拍手を呼んだ。

*「およそ大政治家たらんものはだ、いっぺんに数人の女をだ、喧嘩もさせず嫉妬もさせずにだ、操っていくぐらい腕がなくてはならん」と、男っぷり溢れる発言をしたり、松竹梅といわれた3人の妾を囲ったり (ちなみにこれは、愛人のランクではなく、実際に名前が松子、竹子、梅子だった) した。松子には神楽坂で待合茶屋を持たせた。晩年も精力に衰えはなく、72歳で亡くなるときも愛人が5人いたという。しかしその一方で愛妻家でもあり「本当に愛情を持ち続けているのは、やはり女房のかね子だ。ほかの女は好きになった…というだけだ」と述べている。妾たちもかね子を別扱いにして、世話をしていた。


もちろん、三木ほどの度量を持たぬ凡夫の僕は、舞妓さんの半襟の刺繍を見てうっとりし、溜息をついているだけである。
そして、こんな記事アップして、嫁の機嫌を損ねはしないかと、心配しているのである。

ぽてちん。


 

(写真の半襟はサイトに出品しています 半襟1半襟2 ほかは現在すでに売り切れ)