ひかれてもいい、高齢化の今こそ、男も刺繍!
ホリエモンさんは刑務所で本を読みまくったそうだけど、刑期をそんな風に有益に使えるかたはごく少数だろうなと思う。
僕自身も万一長い長い時間を部屋の中に閉じ込められたら、ずっと本を読んでいられるかちょっと自信がない。
たぶん、半分か2/3ぐらいの時間は、絵を描いたり何かを作ったりして過ごすほうが、僕の場合精神衛生上良いのかもしれない。
もちろん、そういう場合、絵とか書道でもいいんだけれど、絵や書道っていうのはキホン役に立たないものだから作ったあとがやや虚しい。絵手紙なら誰かに送って楽しめるかもしれないが。
その点、工芸品はちゃんとしたものを作ると使ってもらえる可能性があるので、仕事に甲斐がある。
今朝見つけたイギリスのFine Cell Workという団体は、受刑者に刺繍を教えて作品を販売しそのお金を受刑者に支払うという活動をしている。
おおかたのそういった活動と一線を画している点は、その作品のレベルが高いことで、販売会などで手にして購入する人たちは、それを買うことが受刑者の役に立つからという以上に、作品そのもの素晴らしさ心を動かされているようだ。
下の動画や写真を見ていただくとわかるが、たしかにその作品には独特のアートマインドが溢れている。
それを作っている受刑者にとっても、単なるお金を稼ぐ手段という以上の意味、自分のクリエィティブな能力を解き放つ仕事として喜びとともに取り組んでおられるようだ。
もともと「縫う」仕事は、単調さに耐える忍耐と正確さを求められるが、同時に一糸一糸にクリエイティビティも必要になる。
また、長い静かな時間を糸と針を使って過ごすために、縫い手の心は過去へ未来へ思いを寄せるひとのもとへと様々なところへとたゆたう。
千人針を見るたびに、日本人は「縫う」行為に対して特別な思いを抱いてきたのだなと思ってきたのだが、それは、日本人特有ということでもないのかもしれない。
ところで、少し前の調査にWeb25が行った調査によると「女性がちょっと引いてしまう男性の趣味」のランキングのなかに、「刺繍」が9位、「編み物」が4位に入っていた。そこに「刺繍」が入るということは、刺繍を趣味とする男性がある程度はおられるのかな、と思ってちょっと嬉しくなった。
いや、じつは、きのう認知症のグループホームの見学に行ってきたのだが、女性たちの囲む賑やかなテーブルに比べ、男性たちが無言で暗い。
男性たちはほかのひとと交流するでもなく、ただ黙って座っている人が多いという。
僕は、ヘルパーさんたちに偉そうに命令したり悶着を起こしたりはしないと思うが、ただ黙って一日座っているおじいちゃんになりそうだ。
案内してくださったヘルパーさんに「ふふふ、ご自分のこと心配されてます?」と図星をさされてドキッとした。
というわけで、刺繍もいいなと思い始めた。
アンティークの着物や帯にも刺繍は多く使われており、それを直したりちょっと柄を足したりする刺繍の技術があればいくら工賃が安くても、グループホームに入るほどになっても楽しめるかもしれない、と。
ふふふ、高齢化の今こそ、男も刺繍!かも。
花が数字やアルファベットになっているのは刑務所らしい?
ブロックと格子のはまった窓からあふれだす花々