『キャサリン妃は着物を救えるか?』イギリスガーディアン紙のちょっと微妙な記事
10月8日づけの、イギリス・ガーディアン紙に、『キャサリン妃は着物を救えるか?』という記事が載っていて、微妙に面白かった。
Can Kate Save the kimono?
タイトルはかなりツリ気味で、とくに彼女が『着物』に何かをしてくれたというわけではない。
彼女にかかわりのある部分は、別紙で報道されているこの話。
キャサリン妃がウィリアム王子とともに、アジア太平洋諸国を歴訪されたのだが、最初に到着したシンガポール空港に降り立ったときのドレスが、Jenny Packham デザインによる、Kimono スタイルドレスだった、という話。
Kate Middleton Wears Kimono Style Jenny Packham Dress For Arrival On Asia Tour
ふむ。
日本には来ないけど、アジアに行くから、Kimonoスタイルなのかな。
で、このドレスは、どこがKimonoスタイルなのかな、という疑問も消えない。
(でも素敵なキャサリン妃のドレス姿が何枚か見れます)
で、記事は続けて、Pradaが、2013SSのミラノコレクションで、『kimono-like(着物風の)』あるいは『Japanese-inspired(日本に着想をえた)』ドレスを発表している、ことを紹介している。
Flowery motifs on kimono-like dresses for Prada in Milan(ロイター:動画)
おお、たしかに、日本風の梅や菊の模様が、渋いシンプルな地に染め抜かれているぞ。
たしかに、こちらは、日本風だ。
でも、それがカッコイイのか、新しいのかよくわからない。
海外のひとには新鮮なのかな・・・
と思いつつ、読み進むと、記事は、このようなことがこちら(イギリス・ヨーロッパ)でおきているけど、それは、危機的な状況にある日本の着物産業の再興につながる契機となるか、とつづく。
そのあと、なかなか、手厳しく、的確な内容が続く。
曰く
・花柳界の外では、ほとんどの女性は洋服を着て、フォーマルのときだけ着物を引っ張りだす。
・三越の呉服担当の方は言う。「着物は高く、またファッションが変わってしまったせいで、お客様は激減した。現代の女性たちは、着付けの複雑な(complicated)ルールを学ぼうとしないし、間違った着方をするのを恐れているのです
・着物のもっともおおきな顧客層は、芸者たちである
そうなのだ。
ここでも、読者を意識しているからなのか、ホンキでそう思っているのか、話は常に、芸者さん舞妓さんに大きな比重をかけたものになっていくのだ。
そこから、延々と芸者さんの話になる。
・芸者Umekaさんは、200着もの高価な着物をもっている。
・その着物は5000ポンド(約62万円)とかもっとするものだ
あれ、この金額だけは、ちょっと控えめだぞ。
・カラオケバーやパチンコパーラーとの競争に勝てず、上七軒では、30軒のうち19軒のお茶屋さんが店を閉めた
ふむふむ。
花柳界は、カラオケとパチンコのせいで衰退中?
新説だなあ・・
・5代目田畑喜八さんも息子たちは仕事をつがない。「着物で稼ぐことはできないのです」と悲しげに言う。
・雑誌和楽では、50代の女性に、都会的で活動的な新しい着物を薦めている。しかし、シンプルなその着物の生地は、7000ポンド(約87万円)もするのだ。
・芸者Umekaさんは、200着も着物をもっているのに、普段は洋服を着ています、と認めて、エルメスのハンドバッグを見せてくれた。
・彼女は伝統的な着物が現代の社会に生き残っていけると考えているのだろうか。
・彼女は笑って答えた
・「もちろんですとも! わたしが最後のひとりになっても、着物を着続けますわ!」
とまあ、ちょっと微妙にずれているわけだけど、こうして着物のことを、まあ、大きな誤解もなく、イギリスやヨーロッパのかたに紹介していただけるのは、たいへんうれしいことだな、と思うわけである。