トイレ掃除のやりかたが人間を決める~~~(付:世界のトイレを訪ねて)
きっと、実在すると思う。
トイレの神様のことだ。
そういえば、あるとき、インターン生のAくんを受けいれた。
ある会社からインターンを受け入れることの良い点をいろいろと教わり、ぼくもその気になったのだ。
Aくんにいろいろな仕事をしてもらったのだけど、お互い、気合が足りず、あまり有意義なことにはならなかった。
僕にすれば、「もっと、もっと、貪欲に、がんがん来いよ。くればいくらでも、教えてやるぜ」という気持ちだったのだけど、Aくんにすれば、「なぜ、もっと、与えられないのかな」という思いだったのだろう。
ところで、Aくんは、便所掃除をします、と言って、毎日、便所にこもるので、させるままにしておいた。
もう、インターン期間も終わるというころ。
いわば、無駄な給与を、その会社とAくんに支払い続けたことのだけど、僕の会社の損は良いとしても、Aくんに、何かひとつでも意味のあることを教えることができたか、心配になってきた。
それで、ついに、Aくんに聞いた。
「なんで、いつも、便所掃除してるの?」
「あ、それは、ここを紹介してくれた会社のスタッフが、そうするように、とアドバイスをくれてたんです」
なんだ、言われたからやってたのか。どうりで。
「でもなあ、君がやった便所掃除のあとって、ぜんぜん、ぴかぴか感がないんだよ。あんな便所掃除、やってますってポーズそのものやんか。まったく意味がないんだよ。誰の胸にも響かないって」
「・・・」
「便所掃除やり直してみ。これ以上ないように、ぴかぴかにしてみ」
Aくんは、すこし、痛いところをつかれたとでもいうような顔をして、便所に向かった。
で、「クレンザーみたいなの、ないですか」とか、あれはないですか、これはないですか、というので、あるものは与えて待った。
しばらくして、できました、というので、トイレを見にいった。
便器には、まだ、汚れがあり、天井の換気扇からは、詰まった誇りがぶら下がったままだった。
「これが、ほんとうに、君のできるベストなの?」
思いが伝わるのか伝わらないのか、ともかく、僕はおもいっきり説教をした。
話はかわるが、高速道路のSAで、とんでもなくきれいなトイレに入ったことがある。
人生50年、僕が見たなかで、最高の公衆トイレだった。
寝転べそうなほど、ぴかぴかに磨き上げてあるというだけではないのだ。
花がいっぱい飾ってあり、いろんなメッセージが貼りつけてあった。
トイレにではなく、誰かのお宅の応接間にはいったような雰囲気だった。
あまりのことに、僕は清掃のひとをさがして、その女性に歩み寄り、「こんなきれいなトイレは見たことがない。素晴らしい仕事に感動しました!」と告げた。
たぶん、あのSAのトイレの掃除をしてきれいに飾りつけていたリーダーの方は、いまでは、ステップアップして、さらに重要な場所をきれいにする仕事をしているか、監督などをしているに違いない。
あれだけの仕事を、トイレにされたら、いつかトイレが高級ホテルのようになってしまうかもしれない。
そんなできるひとには、トイレの仕事をまかしてはおけないのだ。
Aくん、伝わったか伝わらなかったかしらないけれど、僕がほんとうに伝えたかったのは、そういうことだったんだよ。
トイレの神様は、ほんとうに、いるんだ。
***説教臭い話になってしまったので、世界のトイレの写真をどうぞ。トイレはその土地の特色を色濃く反映しますね。
バングラディッシュのトイレ。スリル満点。
by Joel Abroad
カメルーンのトイレ。味のある色、清潔感もあり!
by Jace
カシミールのトイレ。スコップは何に使うのか気になる。
by runran
インドのトイレ
by dk900
チェニジアのトイレ。砂漠にある。入るまえに、写真の男にいくらとられるのか気になるなあ。
by grbenching
by markhillary
イギリス・イーリングのトイレ。さすが、イエローサブマリンを生んだ国。
by Phil_NZ
ニュージーランドのトイレ デザイナーさんちょっとやりすぎでは?
by Sustainable sanitation
ザンビアのトイレ。涼しげですなあ。
by mikko_l
by wili_hybrid