わずか50語の単語を使って2億部のベストセラーを書いたひとがいる!
1960年のある日、ふたりの男が賭けをした。
掛け金はたった50ドルだったけど、その結果には何百万人という人に影響を与えた。
ひとりはベネット・シェルフ、ランダムハウスの創業者である。
もうひとりはドクター・スース。
シェルフはドクター・スースを挑発した。50個の単語だけを使って、子供を喜ばせる本を書くことなんてできないだろう?と。
ドクター・スースはその賭けを受けた。そして、勝った。
彼はGreen Eggs and Hamという小さな本を書き上げた。
出版されて以来、2億部を売り、ドクター・スースの最も人気のある本になっただけでなく、歴史上もっとも売れた子供の本のひとつとなった。
さて、この手の話はもう聞き飽きておられると思う。
しかし、この逸話を僕はJames Clearさんという方の人気ブログではじめて知り(上記の文章は彼のこの記事の最初の部分の翻訳)、とても面白いと思ったのであえて紹介したい。
この50個の単語ってなんだったんだろうか。
Wikiにそのリストがあった。49語の一音節の単語と、ひとつの2音節の単語(anywhere)であった。
a, am, and, anywhere, are, be, boat, box, car, could, dark, do, eat, eggs, fox, goat, good, green, ham, here, house, I, if, in, let, like, may, me, mouse, not, on, or, rain, Sam, say, see, so, thank, that, the, them, there, they, train, tree, try, will, with, would, you
このリストを読むと、その賭けの面白さ、そして、ドクター・スースの凄さがリアルに理解できるのだ。たったこれだけの言葉で、2億部を売る本をつくることができた。
さて、この逸話を紹介したJamesさんの記事にあるように、この逸話が示すものは、「制約」がいかに創造性を発揮させるかということで、その鮮やかな実例となっている。
僕らはいつも様々な制約に閉じ込められている。
事業を始めたいのに、お金が10万円しかない。
バスケットボールが大好きなのに、身長が165cmしかない。
ブログを書きたいけど、時間がない。
映画を撮りたいけど、お金がない。
しかし、その制約こそが創造性を解き放つ鍵なのだ。
10万円しかなければ、お金を借りてきて店をするのではなく、どこか売らせて貰える場所を探し回ればいいのだ。
165cmしかなくても、ダンクシュートができるようになる人もいるのだ。
どれだけ多忙でもブログの更新を何年もかかさず、プロの著作家になる人もいる。
黒澤明もスピルバーグも少ない予算でつくられた初期の作品が、後期の作品より創造性で劣るということはまったくないではないか。
どんな一流のクリエイターも起業家も、制約の箱の中に閉じ込められてる。
僕らと彼らを隔てるものは、制約のせいで自分の本当にやりたいことを先延ばしにするのか、その制約のなかでも知恵を絞ってそれを始めるのか、そしてそれを目標どおり続けることができるか、ということにつきるのではないだろうか。
こういうライフハック的な話は僕も聞き飽きた感はあるけど、でも、この50語・50ドルの賭けの話は、かなりキタっ!
で、この話を紹介したついでに、自分を追い込むために、宣言をひとつ。
書きたいことを伝えるためのツールとして、短編小説というカタチがいいなと改めて思ったのが1ヶ月ぐらい前。
そして、ブログとは別に、短編小説を書くことにした。時間的な制約が大きいけど、なんとかがんばる!
できたら、ebookで販売してみようかなと思っている。
お楽しみに!???
(追記)FBでアメリカ在住のRさんから以下の情報いただきました。ご参考まで~
子供が小さい頃は、ドクタースースの本は山の様にありました。大きくなって学校の図書室に沢山寄付しちゃいましたが、こちらが暗記する位読まされました。賭けの話は知らなかったです。
彼 の本は韻を踏んでいると言うか、ゴロが良いと言うか、リズムがあると言うか、声に出して読むのに丁度良く、何度も同じ調子の文が繰り返されるので、子供が 言葉を覚えるのにも役に立ちます。お話も奇想天外な展開になって行くのです。おまけに独特のイラスト。不思議な世界です。
このGreen Eggs and Hamは、我が家でも子供が好き嫌いし た時に冗談半分に使いましたよ。’Would you like to eat at here or would you like to eat at there?" "Would you like to eat with a fox?""Would you like to eat in a box?"”Eat it! Eat it!"と言う感じで。
日 本語にしてしまうと全然面白くないので、そちらでは知らない人が圧倒的だと思いますが、アメリカで子供時代にドクタースースを読まなかった人は、ほとんど いないでしょうね。オーランドのユニバーサルスタジオにはドクタースースの本を元にした場所があって、まず全てが曲線だけで作られています。乗り物も有名 な本から取ったものが、2つだったか3つだったか。一番有名なCat in the Hatのグッズもかなり販売されています。
大人が読んでも面白いですよ。機会があれば是非!いちのちゃんに読んであげるとか言って、アメリカアマゾンからでも仕入れて下さい。沢山あるので、迷ったら、お薦めお教えしますよ!
Green Eggs and Ham (Beginner Books(R))
- 作者: Dr. Seuss
- 出版社/メーカー: Random House Books for Young Readers
- 発売日: 1960/08/12
- メディア: ハードカバー
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