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ICHIROYAのブログ

元気が出る海外の最新トピックや、ウジウジ考えたこととか、たまに着物のこと! 

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君はこのひとを見たか~佐々井秀嶺師のこと



おはるさん に勧められて、「破天~インド仏教の頂点に立つ日本人」(山際素男)を読了しました。
新書ですが、2段組、600ページの大著。
久しぶりに読書したあ~!という感じです。

さて、佐々井秀嶺という名前ご存知ですか?
恥ずかしながら、おはるさんに教えていただくまで、僕も全然知りませんでした。
現代の日本人に、こんなに純粋で行動力のある人物がいたのか、と、その人生には、驚愕とともに、深い、単に「共感」と言ってしまいたくない、まるで別次元の共感を覚えます。

佐々井秀嶺師は、インド在住で、インド仏教の再興のため、いまなお、悲惨な状況におかれているダリット(不可触民)のため、文字通り、自分の命を賭けて戦っておられます。
インドの人口の約8割は、ヒンズー教。そして、ヒンズー教は、悪名高きカースト制度と深く結びついています。
現代のインドは、公平な選挙システムのため、貧民層への配慮がより政治に反映されやすくなっている、と言われているようですが、カーストの思想はいまなお、ヒンズー教の人々に深く根をおろし、ダリット(不可触民)といわれる最下層の人々の悲惨な状況におかれ、精神的な自立と人間としての尊厳を得る道は、遙か遠いようです。

その状況を打破するために、ガンジーとともに独立運動を戦ったアンベードカルというダリット(不可触民)出身の政治家は、壊滅的な状況であった、インド仏教に救いをもとめ、50万人の人々と共に仏教に集団改宗し、仏教復興運動を始めました。
仏教への改宗には、ヒンズー教の思想的な枠組みのなかにいる限り、不可触民としての出自から、自らも逃れられない、そのため、仏教徒に改宗して、まず、自ら人間としての尊厳を取り返そう、という意味がありました。

佐々井秀嶺師は、このアンベードカル氏の後継者として、40年、インドの最下層の人々とともに戦い、多くの人々を、文字通り救ってきたのです。
そして、一説には1億人と言われる仏教徒から、師として、父として、救世主として慕われているのです。

一億人から敬慕されている日本人がほかにいるでしょうか?

いまは故人となられた山際氏のこの本には、佐々井師が、いかに煩悩と求道への強い思い引き裂かれながら、現在に至ったか、何度も自殺を繰り返し、やがて自分の天命・使命を見つけて、インドの最下層の人々に寄り添い、そして、命を賭けて戦ってきたのか、その様子が手に取るように活写されています。

佐々井師の凄さは、本を読んでいただくとして、佐々井師が日本であまり知られておらず、また、日本の仏教界からも、あまり評価されていない様子が気になります。
将来、世界的な賞などを受賞され、そのときに初めて、そんなひとがいたのか、と日本人が気づく、というお決まりのコースをたどりそうです。

佐々井師は、数年前に、一度、帰国されたようです。
そのとき、日本の仏教の現状や、日本人の元気のなさに苦言をていされたようで、ネットで見る限り、そのことに対して、仏教徒側からの反論もあったようです。
いわく、現代の日本人の置かれた状況、カーストはないけれど未来がみえない若者たちの苦境は、インドとはまったく異なる、そこまで言うなら、日本に帰国して、日本人を救ってみよ、と。

こういった反応は、有吉くんの「インドで人生観変わったなんて野郎は日本でまともな苦労も知らない、ロクな人生送ってない奴だろ」という「名言」と通じる部分がある、と感じます。

上述の日本仏教の反論はともかく、有吉くんのそういった言葉の裏には、他人の苦境、不幸に対する感受性の薄さを感じざるをえません。

箒をもって、レストランのテーブルの下を這いまわって、掃除をし、まるで犬のように扱われ、それで一生を終わると決められた人生。
そういった人生があるということを見ても、何も感じない、というのは、どういうことでしょうか。
日本で苦労を知り、いろんな責任を引き受けて頑張っている人こそ、そういった人生がいまだにあるという現実に衝撃を受けて、当然ではないでしょうか。

インドの12億人。
そのなかにたったひとり理想と使命感に燃えた日本人がいた。
だれもが躊躇し諦めてしまうような、凄惨な現実に命をかけて立ち向かっているたったひとりの日本人がいた。
ふつうの人間なら、いやどんなに凄い人物でも、到底、不可能と諦めてしまうような状況に、たったひとりで立ち上がった日本人がいたのです。

もちろん、僕には佐々井師のようなことはできません。
でも、歴史上の人物ではなく、まさに、その人がこの地球上にいて、同じ時間を共有しているのです。
僕は自分の甘さに、ガツンとどでかい一発をくらいました。
あなたはどうでしょうか?
佐々井師のことを、ひとりでも多くの日本人に知ってもらいたい、と思います。

PS 本は素晴らしい力作ですが、長いです。上のYoutubeも45分ありますが、本はちょっとというかたは、ぜひ、時間をつくって、Youtubeを御覧ください。

PS2 佐々井師の来日は2009年。尊敬する染色家の仁平さんが講演会に行っておられ、ブログにそのときの様子を書いておられます!こちらからどうぞ。
佐々井師のことを教えて下さった西川晴恵さんも、講演会に行かれ、ブログに書かれています!こちらからどうぞ

PS3 佐々井師は、東日本大震災の直後、極秘に来日し、供養されていたそうです。そのときの様子のかかれたブログ。(Makiさんから教えていただきました)

PS4 以前のインド関連の記事(インドかもねぎ旅行)