ICHIROYAのブログ

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富士山よ、娘をよろしく

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今回、山梨に来たのは、ドッグリゾート・ワフだけでなく、もうひとつ目的がありました。
長女の嫁ぎ先が山梨県の富士吉田で、おうちにご訪問して、挨拶をするためでした。

長女はこの秋、結婚します。
この秋というか、実際は、すでに入籍をすませています。
中国語を専攻した長女は、大学卒業後、大阪の小さなメーカーに勤めており、結婚を決めたあともなるべく長く仕事を続けたいと、山梨での新婚生活の開始を秋まで伸ばしています。
相手のたっくんの勤務先、住まいが富士吉田でもあり、また、ふたりのいろいろなこだわりがあって、結婚のスケジュールも、少し変わったことになっています。

1月 結納と教会での婚約式(大阪)
2月 入籍
6月 教会での結婚式(大阪)
9月 新婚旅行
11月 披露宴(富士吉田)

娘を嫁に出す男親というのは、どんな気分になるのかな、と以前、ときどき想像していました。
僕には妹がおり、厳格だった父が、妹を嫁に出さんと駄々をこねて泣いた、と母から聞いていました。
父から多くを受け継いだ僕は、はたして、どうなるのか、自分でも興味深々です。

でも、こんなややこしい、スケジュールでは、いったい、いつ、何度泣いたらよいものか、タイミングに困るではありませんか。
娘の左手薬指にはもうすでに結婚指輪が輝いており、戸籍上は、すでに、「和田祥子」ではなくなっています。
かといって、結婚式も披露宴もまだ先のことであり、娘は家にいて、まだうちの娘のようでもあります。
「なし崩し」とは、まさにこのことです。

都会に住む僕らは、「家」のことは、あまり考えません。
嫁は一人娘でしたが、だからと言って、「杉野」の家がどうなるか、などということは、結婚のときには、あまり意識しませんでした。
が、娘の嫁ぎ先は、山梨県の「富士吉田」で、家族や家の絆が強く残っています。

娘を山梨の家に嫁がせる、ということがどういうことなのか、最初はよくわかりませんでした。
まだどうなるかわからないようですが、娘は、嫁ぎ先の家に同居して、農作業も手伝うと言っています。
結婚後、どの家にどうやって住むか、ということも、本人たちふたりで決めるというよりも、先方の家、両方のお爺さん、おばあさんたちが、皆で相談して決めるようで、娘の話を聞いていても、どうなるのかよくわかりません。
同居となったら、味噌汁の味を決めるのは、先方のおばあさん、お母さんで、娘は、家族みなが納得する家の伝統の味を習得する必要があり、味噌汁の味付けをまかせてもらえるのは、相当先になりそうな感じです。

娘を嫁がせるということは、自分たちが育てた娘を、価値観のことなる別のおうちに、すべて委ねる、ということである、ということがやっとわかってきました。
結婚相手のたっくんに、嫁として迎え入れてもらう、ということだけでなく、娘は、うちの家族から、たっくんもその一部である、たっくんの家・家族のものになる、ということなのです。
当たり前すぎて、馬鹿みたいです。

たっくんは、素敵な男です。
いつも皮肉なことを言っているくせに、陰で誰かの悪口を言っていることを、聞いたことがない、と娘は言います。

たっくんのご両親、ご家族のかたも、いつもやさしく、暖かく、娘や僕らに接してくれます。
大阪から山梨に嫁いでくるのはさぞたいへんだろうと、いろいろと気を使ってくださいます。
僕らにとっては宝物の娘ですが、なんの取り柄もない娘なのに、嫁にもらっていただき、とても感謝しています。
こんなありがたい縁をいただけて、娘も、僕らも、とても幸せです。

富士吉田には富士山しかない、とおっしゃっていた、その富士山は、神々しいまでに綺麗です。
テレビや写真で見る富士山、イメージや記憶の中にある富士山と、ほんとうの富士山は、まったくの別ものであることを知りました。
こちらに滞在中、暇があれば、富士山の姿を追うのですが、どこにいても、その荘厳な姿で、僕を驚かせます。
いろいろな思いを、すべて清めてくれるような、圧倒的な存在感です。

そして、昨夜は、普段よりずっと大きな満月、スーパームーンが夜空を飾ってくれました。

娘が幸せになることは、
よくよく、わかっています。
娘をよろしくお願いします。

ふつつかな娘ですが、
よろしくお願いいたします。