ICHIROYAのブログ

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ICHIROYAニュースレター 第77号


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●ICHIROYAニュースレター 第77号● 2017/6/17

サイトURL http://japan.ichiroya.com/

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イチロウヤの和田(由佳)です。

 きょうは、イチロウヤのお客様の、シーラ・クリフさんが書かれたキモノについての本をご紹介します。

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'The Social Life of Kimono': Innovation faces tradition in the fight to keep kimono relevant | The Japan Times

 

www.japantimes.co.jp

 「The Social Life of Kimono」と名づけられたこの本は イギリス出身で、たまたま日本に短期滞在で来たつもりがひょんなことからキモノに魅せられ、25年以上も日本にいるというシーラさんが今年出版書された本です。着付けの学校で2年学んだシーラさんは 今では大学教授で キモノと日本社会についての研究成果を 海外の機関誌に発表したり英国やドバイでは私物の着物コレクションの展示会、そのほか海外で友禅染のワークショップをしたり、キモノを学び広めることをライフワークとした、大変ユニークな女性です。

 

実は他のお客様から、「ジャパンタイムスにとっても面白い記事がのってるよ」と上記の記事を教えてもらい、面白そうな本がでたんだなとぼんやり思っていました。この本の作者がうちのお客様のシーラさんとは 気が付かなかったのです(うちにはシーラ・クリフと日本語で登録されていたので、この本の作者のSheilaさんとは気がついていなかったのです、ハズカシイ。そう言えば本を書くって言ったお客さんがいたっけ???もしや??ということでやっと気付いた次第です。それがこの本です ↓↓↓↓

 

 

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読んでビックリ!全く予想したものとちがっていたのです。

この表紙の写真から ははあ、最近の若い人の自由なキモノのスタイルについて書いた本だなーもしかして古い伝統的すぎるキモノについてのアンチテーゼみたいな本かな?などと勝手に想像していました。

 

ところがどっこい!予想は全く裏切られました。目からウロコとは・・・このことでしょう。海外の方から見た、キモノ礼讃くらいに軽く考えていた私はガツン!ウヒャア、ちょっとイチロウも見てみて、聞いてよ!と読んだ端からイチロウに話す始末でございました。

 

この本はキモノと社会の関わりについて 日本で伝統的なキモノ産業に携わる人から、海外の現在のキモノコミュニティーまで、たくさんのキーパーソンに聞き取りをして分析した、いわば「今キモノとはどんな位置にあるのか」を丁寧に取材して書かれた本です。

平安時代からのキモノの変遷(彼女のコレクションの写真もあり)や、現代の著名な友禅や織り・組紐の作家の仕事も紹介しながら、私たちの不安をよそに、やすやすと国境を超えてしまった現代のキモノ事情をダイナミックに伝えています。

 

キモノを作る人、売る人、そして着る人-そこには日本人も海外の人もどちらにも大きなムーブメントがあるのです。全部書き出したらとまらない~ですので、まずはこれ↓

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 日本の「KIMONO姫」というキモノをファッションとしてとらえている雑誌があるのですが、そのスタイルが大好きな海外のファンの人たちで、オンラインマガジンまでできているのです。上記がそれ!オランダをはじめヨーロッパの国々やオーストラリア、アメリカなどに住むキモノファンの人たちがクリエイティブにキモノを楽しんでいるのです。これ以外にもすでに10年以上もつづいている有名なImmortal Geisha(なんとメンバーは4千人以上)と言うキモノ好きのためのフォーラムや、日本発の「着物姿で集まって歩く」Kimono de Jack と言う催しも、まずはUKではじまり、オランダ、スペイン、アメリカ、スウェーデン・香港などなど、各地で行われています。

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呉服屋さん出身ではないわたしたちが今の仕事を初めて18年・・・毎日たくさんのキモノを目にして、中には博物館級の古くて素晴らしい仕事のものにも出会うことがあり、大変な特権だと思いながらも、どこか(キモノはこれからどこへいくんだろう)という疑問がいつもありました。

キモノはこれから お茶やお花をされる人たちだけに継承されていくのかな?結婚式や卒業式で着るだけ?それともキモノの将来は「コスプレ」にあるのかな?キモノの将来像が描けないままだった私ですが。

 

さてさて私とほぼ同年代のシーラさんはというと・・・

25年以上まえからキモノの色柄の美しさに素直に興味を持ち(初めて神社の市でキモノだと思って買ったものが 実は赤い襦袢!だったそうです)先入観や、偏見なくキモノを着たり、着付けをしたり、どんどんキモノの生活にはまっていきます。

シーラさんは着物を通じて色んな人と出会ううちに新しいムーブメントがあることに気づきます。日本国内では 若い作家さんがそだち、キモノを自分のファッションとしてして、ハレのときだけではなく、普段からエンジョイ!している人たちが大勢いるのです。彼女の本の中には 日本で海外で、自分でキモノを着ることを選んで楽しんでいる人たちが大勢でてきます。

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新しく斬新なキモノの着方は、本来のキモノらしさをなくして西洋の洋服に似てしまうのかな--そういった杞憂はシーラさんにふっとばされます。キモノの過去をみてごらんなさいーいつも変化と進化をくりかえしているじゃないですかと。

だからそんな心配はいらないんです。キモノだって時代に沿って変化してきました。

(原文です)

"Some worry that kimono loses its kimono-ness, something of it essence, as it interacts more with western fashion. But if we look back 1,200 years and about the high clogs of young guys and the wonky back seams of fashionable countiers, we realize that these worries are probably as old as fashion itself. The kimono of tomorrow will not be the kimono ofyesterday, which is a great thing because of not one wants to be a "yesterday."

 そして、今のキモノ文化をささえているのは一部の限られた人たちじゃないことを、たんす屋さんの中川氏の言葉をかりておしえてくれます。

「富士山は頂上はほんとに狭くちいさなところだが、広い広い裾野によってささえられている。この広大な裾野のせいであの高い頂上まで噴火の力が届くのです。贅を尽くした高級なきものは一部の人たちのためかもしれないけれど、それらが存在するのも、大勢の人たちが古い着物や中古や、値の張らない着物を自分たちの生活の中で自然に楽しんでいるからなんです。そうやって着物が生きていくことが、つくり手や市場を育てて着物の未来を作っているんです」

・・・とちょっとコムズカシク訳してしまいましたが、現代のファッションを見ていても 昔みたいにみんなおんなじ、その年の流行を着なくちゃ、年齢相応にねという感じがなくなってきていますね。たくさんものを持たなくても、自分らしさを出せる、そんなファッションになってきているような気がします。

 この本を見ると 気負わず自分らしく自然な感じで キモノを着てみようかなあ・・・そんな気持ちがわいてきます-と思いますがいかがでしょうか?

 

写真が素晴らしいのもこの本の魅力です。これは日本なのか?はたまた海外なのか?この人は何人なのか?キモノのある風景におどろかれることでしょう。

アマゾンで買えます!日本語訳もでればいいですが、この本(英語)がでたばかりなので・・・是非一度ごらんくださいませ。

 

The Social Life of Kimono: Japanese Fashion Past and Present (Dress, Body, Culture)

The Social Life of Kimono: Japanese Fashion Past and Present (Dress, Body, Culture)

 

 

www.amazon.com