次代の『カッコイイ』はどこにある?
ファッション産業っていうのは、値段とか品質とかサービスとか色々とあるけれど、結局は『カッコイイ』かどうかなんだと思う。
値段と品質でいくら頑張ってもカッコよくなければ売れない。
セールスパワーが強ければ売れるけど、さまざまなリスクを抱えた自転車操業だ。
では、モノガタリを語れば売れるのか。
たしかに、売れる。いや、売れたというほうが正しいかもしれない。
モノガタリで売れ!とばかりに、モノガタリの乱造が始まって、色々あって、みんな食傷気味だ。
でも、やっぱり、カッコよければ、多少高くても売れる。
みんなカッコよくなりたいから。
では、次代の『カッコイイ』は、どこにあるのか?
僕らを仰天させるような、まだ見ぬ『カッコイイ』はどこから生まれるのか?
そして、次の世代のキモノの『カッコイイ』は、どんな風なのか?
それがあるとすれば、20前後の若いひとたちから生まれるに違いない、と思う。
データーの確かさは確認できなかったが、『23才で新しいファッションへの扉が閉まる』という話は、妙に納得できるのだ。
つまり、僕や嫁や、さらに娘の麦にも、すでに、新しいファッションを受け入れる感性の扉が閉じられている。
僕らが若いひとたちに、『カッコイイ』を提案できるはずがない。
僕らを含め、大多数の一般人は、それを提案するどころか、理解することすらできなくて当然なのだ。
僕はそのことを肝に命じるているつもりだが、残念なことに、そのことをわからず、若いひとのファッションを、ただただ否定するひとたちもいる。
先日、帯の名門、HINAYAの伊豆蔵さんと話していて、そんな話になった。
伝統的な帯を作りながら、パリでファッションを学んだ伊豆蔵さんは、まったく新しい『カッコイイ』を創造するべく、様々なチャレンジをされている。
『23才で新しいファッションの扉を閉じてしまう』のは、僕らのような普通の大多数の人間のことだ。
伊豆蔵さんや、伊豆蔵さんとネットワークをつくっているクリエイターたちには、それはまったく当てはまらない。
だけど、もしその説に真実が含まれているとしたら、新しい『カッコイイ』を創造しても、23才以上のマジョリティには、それは受け入れられないことを覚悟しておかなければならない。
これは僕の私見だが、新しい『カッコイイ』、新しいキモノの楽しみ方は、23才までの若い人をターゲットに提案していくべきだと思う。
伊豆蔵さんたちは、先日もパリのシャングリラホテルで、写真のようなファッションショーを開催されたばかりだ。
4月18日(金)から約1か月は、清水五条坂のHINAYA KYOTO店で、その時の写真と記録映像の展示そ開催される。写真は、写真家・小濵晴美氏によるものだ。このイベントは、国際写真フェスティバル「KYOTO GRAPHIE」のサテライトイベントとして開催される。
そのイベントに合わせて、そのショーでも着付けを担当したスタイリストの大竹恵理子氏が、弊社のキモノからセレクトして、展示販売することになった。
伊豆蔵さんと仲間たちがどんな『カッコイイ』を創造してくれるのか。
まだ、道は半ばだけれど、弊社の商品や、海外にも広がる弊社のお客様のネットワークを、どのように『カッコイイ』の素材に使っていただけるのか、とってもワクワクしている。
*HINAYAさん ニュースリリース