1970年の百貨店のチラシが夢と希望に溢れているよ
ちょっと事情があって、あるお客様の荷物を査定引取に行った。
その時、着物とか鉄瓶ではなく、こんなチラシをみつけて、大コーフンしてしまった。
それは僕の古巣の大丸百貨店心斎橋店の新聞サイズの大きな折り込みチラシだ。
未来を開く万博 明日をつくる大丸
とロゴ横にあり、地図には「万博見学のあと ぜひ大丸にお立ち寄りください」とあるから、大阪万博の開催された1970年のものである。
大丸は1961年から1968年まで小売業売上NO1の座にあった。
すでに売上一位の座は奪われていたが、心斎橋店を、南館を「大丸こども館」とするなどして、首位奪還を目指し全館改装した時のチラシのようだ。
僕は大丸に長年勤めながら、心斎橋店の南館が「大丸こども館」だったという話は聞いたことがなかった。
このチラシによると、その名も「ブルジョン」と言う。
「ブルジョン」とはフランス語で<萌え出づる芽> すくすくと育たれるお子様の明日のために 日本ではじめて誕生するこども百貨店 ー 品揃えから施設にいたるまですべてこども本位のアイディアをもりこんだブルジョンがその扉を開きます
とある。
コーフンしたせいで皺だらけにしてしまい、写真が見にくくて申し訳ないが、雰囲気はわかっていただけると思う。
実際に南館の構成はこのように一部をのぞいて子供のためのアイテムや施設でつくられていたようだ。
西ドイツ製メルクリン社の鉄道模型パノラマやミシシッピ川の外輪船の模型なども設置され、南館全体が子供連れで楽しめそうな内容になっている。
裏面にはこの改装を記念して開催された催の案内だ。
モデルの様子などが強く時代を感じさせるけど、左上に呉服があるのがいかにも昭和である。
だって、僕がこういう紙面を会社でつくっていたころは、総合催の呉服の枠というのは、最後の隅にせいぜい2つ3つというところだった。
それが、メインの場所にこれほどの分量である。
ちょうど、僕の母親が授業参観に行っていたような着物が並んでいる。
催の目玉とはいえ、安いものだな、今とほとんど変わらないじゃないかと思ったけど、物価が2~4倍ぐらい安かったと思えば、そんなものかもしれない。
それにしても、このチラシには、無垢な夢と神々しいまでの明るい未来が溢れている。
こんな時代がまた来るといいな!