僕が考えるハピネスとは?
ときどき、ハピネスってなんだろうって考える。
いや、きっと、そんな哲学的というか、考えても仕方のないことを考えるのは、僕だけではあるまい。
ハピネスというヤツは、シンプルに思えて、実際はかなりの曲者で、何者かと考える楽しみはなかなか尽きない。
で、すこし、最近感じることを書いてみたい。
もちろん、ハピネスの基礎には、健康であることと、愛する人たちとの関係の良否がある。
それは当たり前のことだけど忘れがちで、無くした途端にその重要性に気づくのはよくある話だ。それのことについては、ここでは述べない。
そのことを除いた場合、幸せだなあ~と感じるのはどんな場合なのか、ちょっと整理してみた。
なんども書いたように、僕は今55才で会社員も長く経験したし、自営業の経験も10年を超える。
幸せだなと実感したときもあるし、不幸だと思っていた時もある。
不思議なもので、幸せかどうかという気持ちは、外からは推し量ることが難しい。
若い人に僕のプロフィールを言ったら、「京大まで出て、会社員としても失敗し、古着屋になった不幸なおっさん」と思われることだろう。
そして、「いや、そんなことないぜ。俺は、いま、充分、幸せだ!」と言ったところで、野心を失くした負け犬のやせ我慢と思われるだろう。
だが、幸せな気持ちというのは、お金をいくらもっているかとか、社会的に名を上げたかということと、直接は結びつかない。
世の中には、社会的な名声とお金を同時に得る人というのは何千人といるだろうが、では、その人たち以外の人生では、ハピネスは得られないのかというと、そんなことはない。
さて、僕が感じていることとは、上の3Dの図なのだが、わかりやすくするために、まず、2次元で説明する。
縦軸に「自由度」をとる。
これは、簡単に言えば、好きなときに好きなことができる度合いである。
自由になる時間がたくさんあるということ、時間を自分の望み通りに仕えるということが一番の要素だ。
財力は、あれば好きなことを好きなときにすることができる場合は多いが、ひとつの要素にしか過ぎない。いくらお金があっても、忙し過ぎて自分のしたいことができないと嘆いている人もいる。それに、たとえば、育児期間なら、財力に関係なく行動は制限されるだろう。
横軸においたのは「目的感」。
つまり、それは、したいことがある状態である。それは、ぼんやりとしたいと思っている状態ではなくて、実際に、それに向かって行動をしているかどうか、その達成したい思いはどれほど強いか、ということの度合いだ。
たとえば、漫画家が自分の最高の作品を書いていると思っているような状態なら、「目的感」は最高になるし、漫画家になりたいのに、生活のためにレストランでバイトをしているような状態であれば、ゼロに近くなる。
この2軸で考えると、最高に幸せな状態というのは、もちろん、どちらも高い、Sのゾーンにいる場合だ。
描きたい漫画を描いている最中で、かつ、締め切りにも追われておらず、自由になる時間がたっぷりあり、行きたいところへ行ける財力もある人気漫画家はSのゾーンにいる。
たとえば、僕が会社勤めを始めた頃、この図でいえば、Aのような位置にいた。
自由になる時間は少なく、経済的にも制約は多く、かつ、与えられた仕事に自分なりの「目的感」をもつことができなかった。
やがて、マネージャーになり、課長になって仕事の面白さを知り、自分なりの目的感をもって働くようになったころ、僕はBにいたと思う。目的感は強く、やりがいはあるのだが、自由度は新入社員の頃から少し広がっただけで、基本的には制約を強く感じていた。
もし、そのまま勤めていれば、定年近くには閑職に追いやられていただろうから、図のように目的感は低く、自由度は高いゾーンに移行していただろうと思う。
このふたつの要素以外に、もうひとつ、大きな要素があって、それは自分が上昇中なのか、下降中なのかということだ。
たとえば、先の漫画家が最新作で酷評されたとする。そして、自分でも昔のような密度の高い作品が書けなくなったと思うとすると、とたんに、その漫画家のハピネスは大きく減少する。
いくらその漫画家が、万人に比べて、2次元のプロットでは恵まれた位置にいたとしてもである。
先のグラフの3次元軸をとり、それを「上昇度」と呼んでみることにすれば、その漫画家は、「目的感」も「自由度」も高いが、「上昇度」が極めて低く(というかマイナスで)、ハピネスを大きく損なっている状態であるといえると思う。
様々な分野のスターたちの生涯を見ていると、ひょっとすると、この軸が一番、ハピネスに影響を与えるのではないかと思えるぐらいだ。
この図で言うと、いまの僕の状態は、どちらかといえば、Bの位置に近いような気がする。
つまり、「目的感」は強くてその方向に向かって努力しているし、その成果が少しずつ現れている状態で、たしかに、上昇方向にいると感じることができるのだ。ただし、時間的な制約はかなりあって、早くそれを整理しなくてはと思っている。
図のAのような位置にいたこともある。
海外向けのビジネスが低調になり、とくにやりたいこと、やるべきことが見つからず、時間だけはたっぷりとできたのだ。その時に、僕が感じていたハピネスは、今よりかなり低かったような気がする。
そうありたいなと願うポジションは、もちろん、Cのポジションで、それをSに近づけていきたいと思う。
Cのポジションにいれば、かりに、社会的な名声が得られなくても、大金持ちになれなくても、それらがあるひとと、根本的に、変わらないハピネスを手にすることができると思うのだ。社会的な名声など得られなくても、何人かの友だちに認めてもらえれば充分にハピネスを感じることができる。
さあ、どうだろう。
これが、最近僕が考える、ハピネスというヤツの正体だ。
あなたは、どんなハピネスをみつけただろうか?