あなたの配役は、「賞金稼ぎのガンマン」か、「保安官」か、「バーのおやじ」か?
臆病もののくせに、42才のときに、会社を飛び出して自分で商売を始めた。
そのことは、「僕が正真正銘の臆病ものではない」ことを、「かすかに」証明してくれると思うのだが、あくまでそれは「かすかに」にすぎない。やはり、人間にはそれぞれの特性があって、とんでもない勇気やガッツ、根性がその心の芯に強固にある人というのがいる。
いまでは流行らない西部劇だが、そこに出てくる流れものの賞金稼ぎのガンマンはカッコ良かった。
うまく行けば大金を手にすることもできるが、その道は死屍累々。
命知らずの男たちは、金と名誉を求めて、何度も何度も銃弾飛び交う空間に自らの身をさらす。
町のオンナや子供の憧れの視線を集め、やがては去っていく。
そしてガンマンは、生き残って名を残すものもいるが、ほとんどは非業の死を遂げる。
いっぽう、保安官には守るべき家族と町の人たちがいる。
必要とあれば、犯罪者に立ち向かい、リスクを犯すことを厭わないが、ガンを抜くのは最後の最後だ。それまでに、あらゆる手をつくしてみる。
そして、うまく生きながらえれば、静かな名誉と、安定した慎ましい幸せを手にする。
バーのおやじは、ガンマンにも保安官にも冷えたビールを提供するのが、その仕事だ。だれであろうと、店に来た男たちに、サービスを提供し、小さなお金をもらう。賞金のかかった悪人が店に来ても、わからなければそれだけのことだし、もしそうと知って保安官に連絡すれば、店で大捕り物になり、店が破壊される場合もある。だとしても、ブツブツと天に文句を言って、せっせと店を片付ける。
で・・・
僕は会社を飛び出して、つまり「保安官」になるのは諦めて、西部の町に出てみた。
そして、「ガンマン」に憧れて、結局は、「バーのおやじ」になったようだ。
つまり、僕はしょせん「起業家」にはなれず、「商売人」だったようだ。
まあ、僕の人生だし、それが悪いとは言わないが、せめて、めっちゃ美味しいビールを「ガンマン」にも「保安官」にもごちそうして、「Ichiroちゃん、いつも、美味しいビール、ありがとね!」って感謝されたいと思う今日このごろだ。
photo by Steve Corey