僕のファーストキス
photo by H. Michael Karshis
僕のファーストキスは最悪だった。
僕は奥手で、それは高校1年の時。その日の早く、バス停で彼女と待ち合わせした。それまで、僕はキスをした経験がなかった。
死にそうに緊張した。
待ち合わせの場所で彼女は待っていた。
彼女は目を閉じた。僕も目を閉じた。
唇と唇をそっと重ねるつもりが、顔と顔が激突してしまった。
彼女はひきっつった笑いをみせた、そして、バスが来て行ってしまった。
僕の話じゃない。
すっかりファンになってしまった、Justuinさんの話だ。
さすがに僕にはファーストキスの話を書く勇気はない。
そして、その体験のあとの気持ちを彼はこう綴っている。
それだけのことだった。
それが僕のファーストキス。
だけど、何かが変わった。バス停から歩きながら、不思議とチカラが湧いてくるのを感じた。もっとも大きなハードルを越えたのだと僕は思った。
僕がファーストキスの体験を書かないのは、恥ずかしいからということもあるが、そもそも、覚えていないからでもある。彼以上に奥手だった。
ほんとうに覚えていないので、ほとんど思い出すこともないような成り行きで、その体験を通り過ぎてしまったに違いない。
しかし、僕にはファーストキスの思い出はないけれど、ファーストキスができなかった思い出がある。
彼が言う『キスがもっとも大きなハードル』だった時代の気持ちをまざまざと思い出した。
僕もそのハードルを乗り越えたくてしかたがなかったのだけど、どうしても方法がわからなかった。兄貴みたいな年上の友だちにそのことを言うと、『バカだな、お前。ぎゅっとして、ぶちゅっで終わりやろ!次に会った時に、絶対にやれ!』と言われ、何度もその決心をしたものの、僕にはついにそのハードルを乗り越えることができなかった。
ジャスティンさんがファーストキスの話で伝えようとしているのは、「誰にでも最初に何かをする時があり、それは相当な心理的なジャンプが必要だ。しかも、たいてい、最初にするときは、それがキスであれ、絵であれ、ビジネスであれ、スピーチであれ、相当にひどく、あとから考えると恥ずかしくなってしまうようなものだ。だけど、それを恐れていたは何事も始まらない。始めてみれば案外簡単なものだ。とにかく、そのハードルを超えて始めよう」ということだ。
その通りだなと思った。
あまりにもあの頃のウジウジした気分をまざまざと思い出したので、つい、この一文が書きたくなった。
それだけのことなんだけど・・・