最高の新規事業アプローチ『あなた自身の問題を解決せよ』の落とし穴
事業やプロダクトを考えるときに、自分の身近な問題を探し、それを解決することを起点に考えるという方法があり、誰もそのことを否定しないだろう。
とくに、僕のような小さな事業者やスタートアップを目指しているひとたちには、そのアプローチは有効だと思う。
ただし、ほんとうにそれでいいのかな、とちょっと引っかかるところはあった。
身近な問題の解決から始めて、ほんとうに大きな事業規模のサービス、製品に育てることができるのか。
少し前に読んだ記事、“Solve your own problems”is great advice, but only for so long. (「あなた自身の問題を解決せよ」は偉大なアドバイスだけど、ずっとそれじゃだめだよ)が、僕のその引っ掛かりを整理してくれたので、紹介したい。
筆者は、サヒール・ラヴィンギアさんという有名起業家。18歳のときにデザイナーとしてPinterest に参画、大学をあっさりと中退し、ピンタレストのトップデザイナーとなる。翌年には急成長中のPinterestを退職し、誰でもデジタルコンテンツを簡単に販売できるGumroadを立ち上げた。
そんな彼がこの記事で言っていることは(以下は記事の要約)、そういう「自分の身近な問題を解決する」アプローチは、たしかに有益だ。自分自身も、最初につくったアプリはもっとも安いタクシー会社をみつけて簡単に連絡できるものだった。それはたしかに「自分の問題を解決」してくれたが、人々の生活を変えるほどのものだったろうか?NOだ。
その後の数年、彼はそういった「自分の問題を解決する」サービスをつくり続けた。 どのサービスでも、人々の生活を変えるほどのインパクトはなかったけれど、アプリをつくる自分の能力は格段に洗練された。
そのアプローチを続けていても、大きなインパクトは望めない。そう判断して、彼はピンタレストの二人目の従業員になり、ついでGumroadを立ち上げることになった。
彼の主張はこうだ。
「自分の身近な問題を解決する」アプローチは、たしかに有益だ。
だが、いつまでもそこに留まっていては、世界に大きなインパクトを与える仕事には関われない。スタートはそれで良いが、そこで学んだあと、次の段階、つまり、「たくさんの人の大きな問題を解決すること」に進んだほうが良い。
多くのひとがそこで留まってしまっているが、もしより大きな問題に取り組めば、さらに多くの人のためになることができるはずだ。
そこでこそ、「自分の身近な問題を解決する」ために学んだ多くのノウハウが有効に使えるのだ。(記事要約以上)
たしかに、彼の言う通りだと思う。頭の中がスッキリした!
最後に、この記事から、彼の言葉をそのまま紹介しよう。
たくさんの問題がある。
そして、それをあなたが経験していないなら、あなたがそれを解決できるかもしれない。
ヘルスケアの必要な人たちはそれを「解決する」ポジションにはいない。きれいな水が必要な人たちも同じく、それを「解決できる」境遇にはおかれていないのである。
For many problems, the fact that you haven’t experienced it may mean that you can solve it. Many people that need healthcarearen’t in a position to “solve” it. People that need clean water aren’t either.
photo from Little Visuals