セールスピープルは3%の「最高」と97%の「最悪」。ルーク・スカイウォーカーになりたい!
販売業には光と陰がある。
もちろん、それはわかっている。
ある人は、『お客様のために』を貫く。しかし、ある人は、『自分の利益のため』にを優先して、お客様の見えないところで舌を出す。
ときどき、考える。
それでは、いったい、何割の販売業の人間が『お客様のため』を貫いて、天に恥じることがないのだろうか、と。
以前、不燃木材の話を紹介したが、そこでは『お客様のため』を貫いたひとは10人中ひとり、虚偽の説明をして販売していたひとが10人中9人であった。
光の中にいる1割と、闇、ダークサイドに落ちた9割。
それは、この世の実態を表しているのだろうか。それとも、この問題に限った話であって、世の中はもう少し明るくて、せいぜい、半々というところなのだろうか。
たまたま、今日読んだ記事(The Mind of a Salesman Pt 2: The Dark Side)に、こんな文章があった。
たった3%の純粋なセールスピープルが私の知る「最高」の人たちで、残りの97%は「最悪」に近いところにいる、それはなんと興味深い現実だろうか。それは真に面白いゲームである。
It’s fascinating that the purest 3% of salespeople are among the best people I know, and the other 97% are close to the worst. It’s a truly interesting game.
この記事を書いたGary Vaynerchuk氏は、生まれついてのダントツのセールスマンであり、その経歴を知ると、その言葉がさらに重みを増す。
8才で7軒のレモネード・スタンドを経営し、12才でベースボールカードをショッピングモールで週末に伝説となるほど売り、高校生の時に父の始めたディスカウントの酒屋に加わった。
そこでワインとワインの販売に魅せられ、1997年にWineLibrary.comをつくり4千5百万ドルの規模に成長させた。2006年に始めたWine Library TVでは、すぐに10万人の視聴者を獲得した。2009年にはVaynerMediaを兄弟と設立、マイクロ・コンテンツやストーリーテリングなどにより、フォーチュン500などの大企業にソーシャル・ネットワークでのブランドの確立を助ける事業を始め、4年間で250人の従業員を要する企業に成長させた。
そんな彼が言っている。
光の中にいるのは3%で、残りの97%は闇に落ちている、と。
彼は記事の中で、セールスピープルが住む世界をスターウォーズになぞらえている。(以下はWikiより)
一般にフォース(エネルギー帯。生命体から無機質まであらゆるものを包んで満たしており、未来を予知する力、他人の心を操る力、触れずに物を動かす力などのジェダイやシスの超常的な能力の源となっている)のライトサイド(光明面、light side)に仕えるものをジェダイと呼び、ダークサイド(暗黒面、dark side)に魅入られた者をダーク・ジェダイ(Dark Jedi)と呼ぶ。
ダーク・ジェダイの中でもシスと呼ばれるものたちはダークサイドによる銀河の支配という明確な理念を持っており、ジェダイと事有るごとに対立を続けてきた。もっともジェダイがダークサイドに転向するのは珍しいことではなく、またアナキンのように一度ダークサイドに堕ちてもライトサイドに帰還するジェダイもいたことから、これらは本質的に表裏一体の存在であるといえる。
スターウォーズの世界では、フォースを得てジェダイの騎士になるためには資質と修行が必要だが、ダークサイドに堕ちるものもいる。
彼は言う。
セールスピープルも、その販売技術や能力をもって、ダークサイドに落ちてしまうひとが多い。そうなってしまうと、お客様にとって本当に良いことよりも、その場その場の売上に夢中になり、長く良い関係を築いてリピートしてもらうというようなことを考えないようになる。
そいう自分も、ワインの販売に夢中になっていた若いころ、そのライトサイドとダークサイドの境界線上にいて、今では適切とは思えない潤色や誇大なセールストークを使っていて、そこからハンドルを切るために、すこし時間が必要だったことがある。
でも、自分は、いわばルーク・スカイウォーカーだった、と彼は書いている。
ダース・ベイダーに「お前ならやがて皇帝(=ダース・シディアス)すら倒せる」と言わしめるほどの高い潜在能力を持って生まれ、成長に従ってフォースの暗黒面に近づいたが、皇帝の誘惑に屈することなく、暗黒面に転落しなかったルーク・スカイウォーカー。
商売人となったからには、誰でも、販売のフォース(販売力)を手にしたい。
しかし、ジェダイになるか、ダーク・ジェダイになるかは、そのひとの哲学、師や友の存在、家庭環境などの偶然に支配される。
また、ジェダイからダーク・ジェダイに堕ちるものもいれば、ライトサイドに復帰するものもいる。
Garyさんが言うように、それは本当に面白いゲームだ。
そして、僕もやっぱり、いつか、ルーク・スカイウォーカーみたいになりたい、と思うのだ。
photo by Hartwig HKD