オッシー選手に惚れてしまうやろ!
オリンピックで数々のドラマが、感動の話が生まれている。
41歳の葛西選手や銀メダルや羽生選手の金メダル、高橋選手の生き様などが多くのひとに感動を与えている。成果を出した選手も、期待された成果を出せなかった選手たちも、ほんとうにご苦労様と思う。
ところで、男子アイスホッケーのアメリカvsロシア戦を見られただろうか?
素晴らしい試合だった。ブックメーカーのオッズからみる限り、優勝候補としては、ロシアが2位、アメリカは4位である。ただし「氷上の奇跡」の因縁もあり、もっとも注目の集まった予選の1試合だったことは間違いない。
息詰まる攻防で3ピリオド終えて2-2のタイ。延長でも決着がつかず、シュートアウトとなった。
シュートアウトでは、ゴールキーパーとプレイヤーが一対一でシュートをして決める。3人づつ交互にやって決めたシュートの数が多いほうが勝ちとなる。
それでも決まらないときは、どちらかが決めてどちらかが失敗するまでやる。
国際ルールでは、4人目以降は、同じプレイヤーがしてもよいことになっている。
ロシアの観客席にはプーチン大統領も顔を見せていた。
シュートをするプレイヤーには想像を絶するプレッシャーがかかる。とくに後攻のプレイヤーは、相手が先に成功していた場合、失敗すれば負けが確定する。
この試合のシュートアウトは、なんと8回まで決着がつかなかった。
4回目以降、アメリカチームのシュートをしたのは、すべてオッシー選手だった。
ロシアからはふたりの選手が出てきたが、アメリカ側から出てくるのはいつでも写真の童顔のオッシー選手だった。
ロシアの選手が先に決めた2回も、オッシー選手はきっちりと決めて同点にした。
そして、ロシアが先に失敗して迎えた8回目。オッシー選手はまたもかるがると決めてアメリカに勝利をもぎとった。
一躍、ヒーローになったオッシー選手だけど、アメリカでもNHLに詳しいひと以外には、「オッシーって誰?」という状況だったようだ。
ネットのニュースをみると、オッシー選手は、まさにこういう状況のときのために選ばれた選手で、最後に選ばれた一団に入っていたそうだ。
超有名選手ではないけれど、アメリカ生まれのNHLの選手のなかで、シュートアウトでの成功率がもっとも高い選手で、それを知るコーチが、この試合のすべてを、彼に託したのだった。
Wikiでみると、シュートアウトの達人として、オッシー選手も挙げられており、「ここ数年でデビューした若手選手では最高の成功率を誇る」と書かれている。
オッシー選手は突然のアメリカンヒーローになった気分を訊ねられてこう答えている。
"The American heroes are wearing camo," he replied. "That's not me."
「アメリカンヒーローは迷彩服を着ています。僕じゃありません」
光が当てられることもなく、名誉を得られるわけでもなく、それでも毎日その任務に服している米兵こそがホンモノのヒーローであるととっさに言ってのけた。
かっこ良すぎるワカモノではないか!
惚れてしまうやろ!
ほら、男子アイスホッケーから目が離せないでしょ!
photo by Bridget Samuels