5歳児にもわかるようにビットコインを説明したら
最近、頻繁に「ビットコイン」という言葉を耳にすると思う。
ビットコインは仮想通貨で、誰でもそれを「発掘する」ことができるとか、国が発行するものであった通貨を否定する新時代の通貨だとか、色々と聞くたびに、なんだかわけがわからなくなってしまう。
たまたま、ビットコインについてとてもわかりやすい記事をみつけたので紹介したい。
*Explain Bitcoin Like I’m Five(私が5歳みたいにビットコイン説明したら)
著者Nik CustodioさんはUX Diresctor 。
以下は、割愛したり、部分的に書き足したりした、かなりの意訳(超訳?)です。
photo by epSos .de
風が心地よい5月のある日、僕が君と公園のベンチに座っている。
僕がひとつのリンゴを持っている。
そのリンゴを君にあげる。
そしたら、君はリンゴをひとつ持つようになる。
僕のほうは、ゼロになる。
シンプルだよね。
何が起きたか、もうちょっとじっくり見てみよう。
僕のリンゴは君の手の中に、物理的に移動したよね。
君はそのことが起きたことを知っている。僕もそこにいたし、君もそこにいた。そして君はリンゴを手の中に感じることができる。
そこには僕ら以外には誰もいなかった。
でも、誰かにそれを見ていて確認してもらわなくても、リンゴが移動したことは僕らにはわかっている。
もうリンゴは君のものだ!
僕はリンゴをもう一個君にあげることはできない。もう、リンゴを持っていないから。リンゴは完全に僕のものじゃなくなってしまった。いまや、君が、リンゴを自由にできる。友達にあげてもいいし、その友達がまたその友達にあげてもいい。
そう、こうやって、モノは誰かから誰かの間で移動していくよね。
簡単だ。
で、もうちょっと先まで考えてみよう。
もし、ここに、僕が「デジタルアップル(デジタルなリンゴ)」を持っているとする。
「デジタルアップル」っていうのは、たとえばこんなものだよ。
文字や数字で書かれた設計図みたいなもので、僕の頭のなかや、僕のパソコンの中に書いてあってあるだけなんだ。それを自分のパソコンやスマホで読み込むと、設計図どおりの、たとえば「踊りだすリンゴ」がディスプレイのなかに現れる。
僕が、僕のスマホで表示させた「踊りだすリンゴ」を君がとっても気に入ったとする。
そして、僕のスマホにある「踊りだすリンゴ」をひとつ、君にあげたとするよ。
僕のスマホからは、「踊りだすリンゴ」は消えて、いまや君のスマホで、その「踊りだすリンゴ」が見える。
さあ、ここから面白くなるよ。
photo by Peter Almay
君はどうやって、その「踊りだすリンゴ」、デジタルアップルが僕がくれたものってわかり、それが今や君のものだってわかり、君だけのものって思えるのかな?
僕のスマホから「踊りだすリンゴ」は消えたけど、君のスマホに表示されている「踊りだすリンゴ」は、ひょっとしたら、どこかのサイトからダウンロードしたものかもしれない。
僕は「踊りだすリンゴ」の表示をやめただけで、プログラムはもっていて、いつでもいくつでも何回でも、「踊りだすリンゴ」をスマホに表示させることができるかもしれない。
そう考えると、ホンモノのリンゴを誰かにあげることと、デジタルなリンゴを誰かにあげることは、全然違うことだってわかるよね。
でもね、僕のスマホの「踊りだすリンゴ」が、ホンモノのリンゴみたいに、受け渡しできたら、ひょっとしたら面白いよね!
誰かにあげたら、ホンモノのりんごみたいに、文字通りそのひとだけが持っているようになれば!
あげてしまったら、僕は「踊りだすリンゴ」をどうやっても自分のスマホやパソコンには表示できなくなって、世界中で君だけがそれを自分のスマホで表示させることができるとわかっていたら!
で、どうしたらそうできるか考えてみよう。
photo by Special Collections at Wofford College
一番簡単なのは、ノート(帳簿)をつけることだね。その「踊りだすリンゴ」は、誰から誰に何月何日に移動しました、って。
そして、それを誰かがちゃんと管理しておけばいい。
簡単じゃん!
だけど、難しいこともありそうだよ。
つまり、そのノートを管理しているひとが、勝手に帳簿を書き換えちゃったら困るね。自分にリンゴをみっつつけとことか、自由にできちゃったら、ほんとに困る。
それに、「僕が君にひとつたしかにあげたよ」っていうこと、誰かに見ていてもらわないといけないかもしれないね。だって、僕が「ひとつあげたよ」って言い、君が「ふたつもらったよ」って言い出したら、どっちが正しいかわからなくなちまうもの。そんなとき、誰かが、「たしかにひとつだったよ」って言ってくれないと困るよね。
なんだか難しそうでしょ?
そんなことは、昔はできなかったんだよ。
でも、もしも、そのノート、すべてのやりとりを記録した帳簿が、誰か1人が実物のノートで管理しているんじゃなくて、コンピューターのなかにあって、しかも、みんなのパソコンの中に同時にあって、すべてのやりとりがそこに記録されていたらどうだろう。
そしたら、誰かがずるして自分の分をひとつこっそり増やそうとしても、そのずるはすぐにバレてしまう。だって、すべてのパソコンのなかの記録を書き換えたりできないもの。
それに、そのノートにどう記録するかっていう約束は、誰かひとりが勝手に変えたり決めたりできないようになっているんだ。その約束は一番最初から決められていて、その約束は誰でも知ることができる。
君だって、そのネットワークに加わって、そのノートにやりとりを書くことを手伝ったり、ちょっとしたトラブルを解決することができる。そうやって、このノートを続けていくことに、あるきまった量の貢献をすれば、君のパソコンやスマホに新しい「デジタルアップル」をひとつつくってあげるよ、っていうことになっている*1。
そう、そういうシステムがすでにあって、それが、ビットコインなんだ!
いま話してた「デジタルアップル」こそが、「ビットコイン」という仮想通貨そのものなんだ。
素敵だろ?
で、このビットコインでどんなことができるようになったんだろう。
*その総額は最初から決められていて、誰もがその(多くはない)総額を知っている。
*取引をしたとき、自分のものだった「デジタルアップル」は、たしかに誰かの手に渡り、実在のもののように、やりとりすることができる。ほかのデジタルなもののやりとりとは、そこが異なっている。
*誰かほかの証人がなくても、そのやりとりにウソがないことがわかっている。
そう、このシステムでのやりとりは、僕と君のふたりだけで、デジタルなものを、ホンモノのリンゴのように、確実簡単にすることができるんだ。
いまや、デジタルアップルは、ホンモノのリンゴのように、扱うことができるんだ。
凄いだろ!
だって、ホンモノみたいに扱えるけど、デジタルなんだよ!
デジタルっていうのは、めちゃくちゃ便利なんだ。
1000個のデジタルアップルだってクリックひとつ。大きなトラックは必要ない。
0.00000000000000000000000001個のアップルだって顕微鏡なしでクリックひとつ。
ニューヨークから東京へ、東京からニカラグアへクリックひとつ!
しかも、それはどこかの国のエライさんとか、中央銀行だとか、巨大企業がつくってんじゃなくて、みんなでつくって、みんなで管理して、みんなで「もってる」んだよ!
ビットコインについて、偉いひとたちがいろんなことを言ってるよ。
すっげー役に立つっていう人もいるし、単なる流行で価値はゼロっていう人もいる。オランダのチューリップバブルみたいだっていう人もいる。1ビットコインは1300ドルの価値があるっていう人だっているよ。
僕には僕なりの意見があるよ。でも、そいつはまた改めて。
でも、ビットコインについて、もう君は一番大事なことはわかったと思うよ。
*1:「発掘」と呼ばれている